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看護師が解説!介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス

介護保険の訪問サービスとは、要支援・要介護認定を受けた人が利用できるサービスです。

介護士や看護師、理学療法士などが自宅を訪れて、生活に必要なサービスや医療処置、リハビリを行います。

この記事では、訪問介護・訪問看護・訪問リハビリのサービス内容とサービス時間を有効的に使って頂き、介護負担を軽減できるポイントを説明しています。

介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス
この記事の目次

はじめに

同居されているご家族の介護に、1日のうちどのくらいの時間を使っていらっしゃいますか?

厚労省が行なった「2019年国民生活基礎調査」によると、自宅で同居しているご家族が、1日にどのぐらいの時間を介護に使っているかというデータがあります。

要介護2までは家族介護は「必要なときに手を貸す程度」、要介護3からは「ほとんど終日」という人が一番多くなっています。

調査の結果を見ると、要介護度が高くなるほど、ご家族が介護に使う時間が多くなっているのが分かります。

介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス
要介護度別にみた同居の主な介護者の介護時間構成割合(2019 国民生活調査)

訪問サービスは家に居ながらサービスを受けることが出来るため、利用しやすいサービスです。サービスの平均的な提供時間は1時間です。

この時間を有効に活用し、介護負担を軽減するためにはどうしたらよいのか整理していきましょう。

訪問サービスを利用する家族のメリット

訪問サービスは生活の介助や看護、リハビリテーションなどのサービスを提供するものです。訪問サービスを利用することで以下のようなメリットが得られます。

(1)専門的なケアを自宅で受けることができる。

医療ケアやリハビリテーションを訪問看護師、理学療法士などから受けられる点が大きなメリットです。

(2)安心を得ることができる。

様々な専門家に相談でき、一人で介護をおこなっていないという安心感を得ることができます。

例えば、介護士にはどんなオムツを使ったら良いのか、看護師には体調について、理学療法士には日常生活の介助の方法などを相談できます。

(3)介護の負担を軽減できる。

日常の介護にかかる時間を短縮し、一時的にリフレッシュの時間を取ることができます。
サービス時間は一緒にいる必要はなく、買い物や休息をとることが出来ます。

もちろんサービス中に同席し、(2)で説明した相談をされても良いでしょう。

3つの訪問サービス

訪問介護

介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス

訪問介護士が自宅を訪問し、生活に必要な介助をおこなってくれるサービスです。

訪問介護は2種類のサービスがあります。

①身体介護:身体に直接触れて行う介護のこと

サービスの内容

・シャワー浴介助、入浴介助、清拭

・歩行、移乗、移動介助

・排泄の介助

・更衣の介助

 ・食事介助 

・体位変換

②生活援助:家事を行うことが難しい方に代わって、日常生活に必要な援助を行うこと

サービスの内容

・掃除・洗濯

・食事の準備

・買い物

・衣類の整理

・ベットメイキング

・ゴミ出し

・薬の受け取り

訪問看護

介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス

看護師が直接自宅を訪問し、状態観察や医療的な処置、清潔ケアなどをおこなってくれるサービスです。

サービスの内容

・健康管理(病状の観察と判断)

・食事・栄養・水分管理

・清潔・排泄ケア・口腔ケア

・傷や床ずれの処置

・胃ろうの管理、ストーマの管理

・点滴やインシュリン注射

・吸引

・人工呼吸器などの医療機器の管理

・薬の飲み方の指導や管理

・介護方法に関する相談やアドバイス

・終末期のケア

・かかりつけの医師への報告、連絡、相談

・24時間体制でのケア

訪問リハビリ

介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、リハビリテーションを行うサービスです。

サービス内容

・関節の動く範囲が制限されないようにする訓練、筋力を強くする訓練

・歩行、寝返り、起き上がり、立ち上がり、座る、階段昇降などの基本動作の訓練

・食事、排泄、着替え、入浴動作などの生活動作の訓練

・調理や洗濯などの一連の家事動作の訓練

・失語症に対する言語機能

・嚥下障害に対する嚥下訓練

・介助方法の指導、アドバイス

・福祉用具の活用方法のアドバイス

・住宅改修のアドバイス

各訪問サービスの利用条件

①訪問介護

【利用対象者と利用回数】

要介護1~5の方で利用限度額範囲内なら毎日可能です。

※利用限度額とは要介護度別に使って良い金額が決まっており、その上限額のことをいいます。

各サービスや提供時間によって料金が決まっており、ケアマネジャーが限度額範囲内でサービスを組み合わせてくれます。

【利用可能時間】

身体介護

・20分以上30分未満
・30分以上1時間未満
・1時間以上1時間半未満
・1時間半以上2時間未満

生活援助

・20分以上45分未満
・45分以上

②訪問看護

【利用対象者と利用回数】

要支援1、2の方と要介護1~5の方で利用限度額範囲内なら毎日可能です。

【利用可能時間】

・20分未満
・30分未満
・30分以上60分未満、
・60分以上90分未満

③訪問リハビリ

【利用対象者と利用回数】

要支援1、2の方と要介護1~5の方で利用限度額範囲内なら毎日可能です。

【利用可能時間】

訪問リハビリの利用時間は1週間に利用できる時間が決まっています。

他のサービスと同様、利用限度額に応じサービス時間や回数を選択していきます。

要支援1

・1週間に6回120分が上限
(1回20分以上)

・20分の場合は週4回
・40分の場合は週2回

要支援2

・1週間に6回120分が上限
(1回20分以上)

・20分の場合は週6回
・40分の場合は週3回

要介護の場合、要支援1、2同様に1週間に120分が上限ですが、退院日から起算し、3ヶ月以内は医師の指示に基づき20分を週12回まで利用出来ます。

要介護1~5

・1週間で120分が上限
・20分の場合は週6回(退院後3ヶ月は週12回まで可能)
・40分の場合は週3回

介護負担を軽減するポイント

介護負担軽減①介護負担を時間単位で軽減できる訪問サービス

訪問サービスを利用していて、介護に負担を感じていれば以下のポイントを確認してみて下さい。

訪問介護

①身体介護のタイミングはあっているか

身体介護は身体的な負担が大きい介護のひとつです。
排泄の間隔に合わせ、おむつ交換や入浴などのサービスを計画的に取り入れましょう。

②訪問回数の検討

訪問介護は1日に複数回訪問が可能です。
介護をするご家族が忙しい時間に利用することで、介護負担を軽減できます。

訪問看護

介護の困りごととして排泄ケアを言われる方が多いです。訪問看護師に相談してみましょう。

①トイレのタイミングを調整する。

便が出にくい場合、便秘薬の調整や浣腸、摘便などのケアを検討してもらいましょう。

②清潔ケアと排泄ケアの相談

訪問時に必要に応じて清潔ケアや排泄ケアをおこなってもらうように、訪問看護師に依頼することが出来ます。
訪問日に排泄のトラブルがあったとしても、慌てずに対応してもらえます。

訪問リハビリ

①具体的な課題を伝える

介護方法で困っていることを具体的に伝えましょう。
介護をする人の身体に負担がないように、介護の仕方を教えてもらうことができます。

②住宅環境や福祉用具のアドバイスをしてもらう。

歩行が不安定な場合は転倒する危険性が高まります。
福祉用具の検討や家具の配置などのアドバイスを求めましょう。

各専門家の訪問日に介護を受ける人の状態報告だけでなく、介護をするご家族の困りごとを積極的に伝えましょう。

様々なアドバイスやサービスの見直しを行うことで、介護負担を軽減し介護サービスを効果的に活用できると思います。

まとめ

住み慣れた家で介護を受ける人が生活を続けるためには、介護をする人の休息や介護に対する不安を軽減することが必要です。

限られた時間でサービスを受ける場合でも、各専門家に任せて散歩に行くなどしてリフレッシュし、分からないことがあれば相談していきましょう。

リフレッシュが必要な理由は、介護をする人のリラックスした状態が、介護を受ける人へも伝わるからです。

例えば休息すれば心に余裕が生まれます。

介護を受ける人に対しても、日々の慌ただしさから苛立っていた感情を和らげ、優しく接することが可能になります。

介護や日々の生活について相談することが大切な理由は、多くのご家族が介護は家族の義務だと考え、一生懸命に取り組まれていると感じるからです。
責任感が大きくなりすぎて、疲弊してしまわないように訪問サービスの担当者やケアマネジャーに相談しましょう。

そして、各サービスのメリットや特徴を理解して、訪問サービスの時間を有意義に活用し、介護負担を軽減していきましょう。

次回の記事では、通所サービスを利用して介護負担を軽減するポイントをお伝えします。


この記事を書いた人

看護師:郷堀有里夏

郷堀有里夏

<プロフィール>

看護師経験30年。急性期病棟やICUを10年経験した後、施設看護や訪問看護、ケアマネジャーとして多くの介護を必要とする方々やそのご家族と関わる。

県外で勤務していた頃、母親が介護状態となり地元へ帰省する。

仕事と介護と自分の人生に悩んでいた頃、認知科学を学ぶ。

学びを通してわだかまりのあった親子間や家族間の葛藤を解消し、介護中に修復する事が出来た。そして、母親を施設から引き取り家族と共に在宅看取りを行うことが出来た。

自身の経験を通して、「健やかに自分らしく生きること」や「安心して介護や看取りが行える環境づくり」が重要だと感じ、心の介護専門家として講座やお話会を通じ情報を提供している。

<経歴、職歴>

(一社)日本ナースオーブ所属 Wellnessナース

看護師経験30年(訪問看護管理者、施設看護、介護支援専門員、救急センター、ICU)

保険外自費サポート ひかりハートケア登録ナース

<講座>

親にイライラしない介護コミュニケーション/ウェルネス講座

<その他の活動>

心から看る介護と認知症のお話会

後悔しない親の介護 / ブログ

人生が豊かになる介護メルマガ


著者の Facebook
https://www.facebook.com/yurina.gohori/

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