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看護師が解説! 小児の発達障害①発達障害に気づくきっかけと診断までの流れ

現在、発達障害で支援が必要とされる子どもの数は年々増えています。
しかし、「障害」という言葉からネガティブな印象を抱く方も少なくないのではないでしょうか。

この記事では発達障害についてネガティブな印象を少しでも軽く出来るよう、まず発達障害に気づくきっかけと診断までの流れについてお伝えします。

小児の発達障害①発達障害に気づくきっかけと診断までの流れ
この記事の目次

発達障害とは?

発達障害とは、脳の発達がアンバランスで得意な部分と苦手な部分が出るために、人間関係や日常生活上で困りごとが生じてしまう状態のことです。

発達障害の種類

①自閉症スペクトラム症(ASD)

「コミュニケーションの苦手さ」「こだわり」「感覚過敏」という特徴があります。

コミュニケーションの苦手さ

私達は言葉だけではなく表情、話し方、口調、ジェスチャーなど様々なことを織り交ぜながらコミュニケーションをしています。
赤ちゃんの時から周りの人の表情、動作など真似をしていき、どんな意味があるのかを学びます。

しかし自閉症スペクトラム症であると、そういったことを認識し、真似をすることが苦手です。
ですから、非言語のコミュニケーションを察することが苦手という状態になっていきます。

言葉そのものの意味を受け取る傾向にあり、空気を読む、ユーモアを理解するといったような言葉の外側にある意図を理解することが苦手になりやすいです。

こだわり

同じことを繰り返したり、特定の習慣に執着したり、特定のものに対して没頭したりします。
身体を同じ方向に動かしたり、靴を右から履かないと気が済まなかったり、電車の踏切の動画が好きで延々と見続けたりします。
変化も苦手で、家の家具や物など特定の位置にないと落ち着かないということもあります。

感覚過敏

五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)の感覚を受け取り過ぎてしまい、生活に支障をきたしてしまう特性です。テレビの光がまぶしく感じすぎたり、ドライヤーや掃除機の音が苦手だったりと個人によって特徴があります。また触られることが苦手で、手をつなぐことや抱っこ、帽子や散髪を嫌がることもあります。

②注意欠陥多動性障害(ADHD)

「注意欠陥」「多動」「衝動」の3つの特性が現れます。

注意欠陥

集中したり、何かに注意を向け続けたりすることが苦手です。
気になるものや、刺激の強いものに注意が向いてしまう傾向があります。
人の話を聞いていても、何か気になることがあると、そちらの方に注意が向いてしまい、周りから見ると上の空で話を聞いているように見えてしまうことがあります。

忘れ物や物を失くしてしまうことが多いです。
注意を向け続けることが苦手であるために、物事を順序立てて考え、整理することが苦手です。

多動

じっとしていることが苦手です。
そわそわして、動きまわってしまう特性があります。
席に座ってじっとしていなければならない時でも、立ち上がって席を離れてしまうことがあります。

衝動

「ちょっと考える」ことが苦手です。思いついたことをすぐ行動に移してしまう特性があります。

相手の反応を考えずに、思ったことを口にしてしまいトラブルになってしまうことがあります。
また相手の話をさえぎって、自分のしたい話をずっとしてしまうこともあります。

周りからの刺激に対して、すぐ反応してしまうという特性もあるため自分の感情をコントロールすることが苦手です。
自分自身の思い通りにならないと、感情を爆発させて相手を叩いてしまったり、近くにあるものを投げてしまったりすることがあります。

③学習障害(LD)

学習障害とは基本的な学習である読み・書き・計算の習得に困難さを感じる障害です。知的発達の遅れが無いが上記の習得に困難を感じることが特徴です。
学習障害は「読字障害」「書字障害」「算数障害」の3つに分けられます。

読字障害

文字を読むことが苦手です。
例えば「わ」や「ね」、「シ」と「ツ」をなど似ている文字を見分けることが難しいです。
読み間違えたり、文章を飛ばして読んでしまったりすることがあります。

書字障害

文字を正しく書いたり、書き写したりすることが苦手です。
例えば、「は」と「ほ」、「日」と「目」など間違えて書き写したり、マス目からはみ出て文字を書いたり、鏡文字を書いたりすることがあります。

算数障害

数の理解、暗算や筆算の処理などが苦手です。

発達障害と気づきやすい症状

小児の発達障害①発達障害に気づくきっかけと診断までの流れ

 赤ちゃんの時期

感覚過敏さや非言語のコミュニケーションで「あれ?」と違和感があり、発達障害かもしれないと気づくきっかけになりやすいです。

・顔を触ろうとすると嫌がる
・手を触ろうとすると嫌がる
・抱っこを嫌がる、抱っこをしようとしても身体が緊張していて抱きにくい
・目線が合わない
・あやしても笑わない

幼稚園・保育園の時期

赤ちゃんの時期に比べ、行動範囲が広がります。
また集団生活が始まるため他者とどのようにコミュニケーションをとっているか、急な行動はないかなど気づくきっかけは増えていきます。

・ずっと1人で遊んでいる
・理由もなく友達や先生を叩いてしまう
・朝の会など座っていられない
・急にどこかへ行こうとする
・急に大声を出す
・物によくぶつかる
・相手の動作の真似が出来ない

小学生の時期

幼稚園・保育園に比べ、規則や学習の機会が増えていきます。
そして友達とのコミュニケーションも徐々に複雑になっていきます。

・忘れ物や失くし物が増える
・規則が守れず、集団行動が苦手
・授業中に座っていられない
・宿題を期限までに提出出来ない
・教科書を読めない、文字を書けない、算数が出来ないなど学習に偏りが出てくる
・友達とのトラブルが増える

小児の発達障害①発達障害に気づくきっかけと診断までの流れ

診断までの流れ

住んでいる都道府県の発達支援センターや子育て支援センターを確認する

発達支援センターでは年齢を問わず、発達障害についての相談が出来ます。
しかし都道府県、政令指定都市に設置すれば良いとなっているため、自宅近くにあるとは限りません。
その場合はお近くの子育て支援センターでも相談出来ます。

発達障害を診断出来る病院へ行く

発達障害を診断出来る小児科医師や精神科医師のところへ行く必要があります。

注意しなければならないポイントがあります。

発達障害を診断している実績のある病院は数カ月先まで予約が埋まっていることもあり、予約が取りにくいです。
予約の取りやすさ、通いやすさなどを総合的に判断し、最初は1つの病院に決めるのではなく複数の病院の候補を決めておいた方が良いでしょう。

診察と検査を受ける

専門の医師による診察を受けます。医師からは家での様子や幼稚園・保育園・小学校での様子をなど聞かれます。
発達の程度を調べる検査、知能検査、脳に異常が無いか確認するための脳波検査などを行います。

医師の診察と検査の結果を総合的に判断し、発達障害かどうか診断します。

小児の発達障害①発達障害に気づくきっかけと診断までの流れ

さいごに

「障害」という言葉から、ネガティブなイメージを抱く方も少なくありません。

外国では発達障害という言葉は使われず、個性として捉えられていることが多いです。
また発達障害の一部は「ギフテッド」と呼ばれ、高い才能を持っている子ども達もいます。

歴史上の人物ではレオナルド・ダヴィンチやアルバート・アインシュタインは自閉症スペクトラム症、注意欠陥多動性障害があったと言われています。

葛飾北斎も注意欠陥多動性障害があり、掃除が出来なくて家がゴミ屋敷となる度に引っ越しをしたそうで、人生の中で93回も引っ越しをしたという逸話は有名かもしれませんね。

私自身が関わっていた発達障害と診断され子どもの中には、小学生ながらもプログラミングや動画編集を独学で学び、アプリを開発したり、動画投稿をしてクリエイター活動をしていたりしているお子さんがいました。

発達障害は脳の発達に偏りがあると言われています。
早めに支援を始めることで得意なところを伸ばしつつ、苦手なところをフォローしていくことが出来ます。

「発達障害かもしれない」と感じた際は専門機関に相談してみてくださいね。


この記事を書いた人

山本みどり 【プロフィール】 看護師経験。大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。 現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。発達ケアを通して、子どもとご家族が安心して過ごせるように支援をしている。 【経歴】 看護師歴6年(NICU、精神科、訪問看護/成人・精神特化・小児発達ケア)

山本みどり

【プロフィール】
看護師経験。大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。
現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。発達ケアを通して、子どもとご家族が安心して過ごせるように支援をしている。
食から身体のことを整えたいと思い、プライベートでは中医学・薬膳を学んでいる。

【経歴】
看護師/Webライター
看護師歴6年 NICU、精神科、訪問看護(成人・精神特化・小児発達ケア)
家政婦やベビーシッターとしても働いている

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