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首は頭を支える交差点!頭の重さってどれくらい?

私たちの身体の一部である首は、頭と体をつなぐ部分であることをご存じでしょうか。

成人であれば、およそ5~6Kgもある脳を首の骨とそれを取り巻く筋肉で支えています。

普段、あまり意識しない部分ですが、体の中で一番不調が起こりやすい場所でもあります。

一旦、不調が起こると体だけでなく心まで影響を及ぼすことはあまり知られていません。

情報社会である今、パソコンやスマートフォンを見る機会が多く姿勢が悪くなることでさまざまな症状が出てくるのは首に負担がかかっているからです。

今回の記事では、首の構造や役割について書いていきます。

この記事の目次

1.頚椎の構造

上半身は、脊椎と言われる小さな骨が積み重なった構造をしています。

脊椎の中で、首を支える骨の部分を頚椎(けいつい)といいます。

頚椎は、脊椎の一番上の部分から7個までを指します。

脊椎は脳から全身に張り巡らされる神経や血管を通すトンネルのような役割を果たしています。

脊椎の一番上の頚椎は、頭蓋骨を乗せるリングのような形をしています。

2番目の頚椎は、柱状の突起があり首を回すときの軸の役割を果たします。

この2つの骨が嚙み合うことで、左右に首を回すことができます。

やくしゅいん コラム首の回旋異常 より引用

脊椎と脊椎の間には、「椎間板」というクッションがあり衝撃を吸収する働きがあります。

頚椎には、もともと前方にやや反るような生理的な前弯があり、このカーブが本来の頭の重さを分散し衝撃を吸収する役割を果たしています。

2.神経の通り道

脳から出た脊髄神経が、脊椎を通り全身へと枝分かれしていき脳の指令に従い身体を動かします。

同時に、脳神経の1つでもある迷走神経も脳から首を通り、胸や腹部の臓器へ枝分かれし内臓へと分布します。

佐藤整形外科医院ホームページ 頚椎症性脊髄症より引用 

迷走神経は呼吸・心拍・消化・免疫など、生命維持に欠かせない神経です。

普段は、意識しなくても自動的に動いてくれる心臓や消化管の機能を担ってくれています。

ただし、長時間に及ぶ緊張状態が続くとバランスを崩しやすく消化管や睡眠など影響を及ぼす可能性が高く放置すると、さまざまな病気の引き金になるため注意が必要です。

特に、首の不調を引き起こすことで自律神経のバランスは崩れやすく、首や肩の筋肉がこわばると、迷走神経の働きが低下し「食欲がない」「眠りが浅い」「不安が強い」といった症状が出てきます。

逆に、首周囲の筋肉を緩めることで血流が良くなり、呼吸や心拍が安定しリラックスしやすくなり質のいい睡眠が得られるようになります。

このように、首の状態はそのまま自律神経のバランスを映し出していると言えます。

3.身体の不思議:錐体交叉(すいたいこうさ)

脳から全身へ指令を送る神経は「運動神経」と呼ばれています。

手の動きで例えると、

右手を動かしたときに指令を出しているのは左脳です。

反対に左手を動かしたときは右脳から指令が出ています。

なぜ、左右の脳と左右の手が入れ替わるのでしょうか。

その理由は脳のすぐ下にある延髄(えんずい)にあります。

延髄は脳と脊髄(せきずい)のつなぎ目に当たるところで、神経の大部分が左右に交差します。

               看護roo!脊髄の機能(1)神経系の機能 より引用

右脳から出た神経は延髄あたりで左側へ、左脳から出た神経は右側へと交差し首を通って身体の各部分へつながります。

この交差があるため、脳卒中などで片側の脳に障害が起こると反対の手足に麻痺が起こります。

私たちは、この交差によってバランスを保っています。

脳の右半球は「空間認識」や「感情の処理」を担い、左半球は「言語」や「論理思考」を司ります。

左右の脳がそれぞれ異なる働きを持ち、神経が交差するので反対側の体をコントロールし、感覚と運動のバランスが取れています。

4.頭と体をつなぐ場所

首は、骨と筋肉の相互作用で左右約90°見渡し、視覚情報を得るための補助をしてくれます。

更に、生命維持に欠かせない大切な通り道です。

・脳へ酸素を運ぶ動脈

・二酸化炭素を運び出す静脈

・脳と全身をつなぐ脊髄神経

など、頚椎から多くの神経が枝分かれして全身へと指令を送ります。

たくさんの神経が通っているからこそ、首にコリや痛みといった不調が起こることでさまざまな症状がでます。

首の不調は体の症状だけでなく心にも大きく影響します。

首が痛い時、頭や肩まで痛くなることはないでしょうか。

また、首が痛くて仕事や勉強に専念できないといったことも多いのではないでしょうか。

それほどに首は、私たちの生活に影響がある重要で大切な部分で脳と体をつなげる情報と伝達の通り道です。

5.おわりに

首は、頭を支える役割に加え神経や血管を守る交通の要所でもあり繊細な場所でもあります。

頚椎のわずかなズレや筋肉の緊張が、神経の伝達や血流に影響し心身のバランスを左右します。

それほどまでに首は心と体にとって大切な部分です。

首は、頭と体をつなげる架け橋でもあり、手足や内臓を動かすのに必要な神経が一束になって通っています。

神経や頚椎を守るために筋肉が無数に入り組んでいるので、非常に繊細な場所でもあり、ストレスや姿勢・加齢などの影響を受けると、コリや痛みなどを起こしやすいとも言われています。

しかし、忙しい現代は不調に思いながら日々過ごしている方も多いのではないでしょうか。

長い年月、放置することで発症する病気もあるため簡単にできる首のケアやリラックスできる方法を日常に取り入れることをおすすめします。

引用参考文献

東京脳神経センター ‘‘首こり‘‘がどのように自律神経失調症に影響するのか

看護roo!運動神経はどこを通っているの?

やくしゅいん コラム首の回旋異常

佐藤整形外科医院 頚椎性脊髄症

この記事を書いた人

看護師大竹加代子

大竹 加代子

大阪在住。身内の死をきっかけに、よりよい生き方を社会に広めたいと思い看護師となる。

整形外科・外科・脳外科・内科・循環器の急性期病棟を経て、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟へ勤務・現在に至る。

現役看護師として医療に携わる一方、こころの健康が身体の健康に及ぼす影響を実感し、こころと身体の健康を取り扱う看護師Wellnessナースとしてメンタルケア・認知科学の学びをすすめながら、適応障害の人のための電話相談やセミナー開催に向け取り組んでいる。

《経歴》
看護師歴25年
プロコミュニケーター
NLPマスタープラクティショナー
一般社団法人 日本ナースオーブ所属 Wellnessナース
保険外訪問看護 看取り対話師

《執筆》
株式会社 ELAN 様 
看護師が解説!高齢者の骨折予防
看護師監修 介護側の食事指導
note 女性の適応障害に適応するブログ

《講座》
Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座

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