情報社会となった現在は、スマホやパソコンを見る機会が増えています。便利になった一方で首の痛みや肩こり、頭痛を訴える人が急激に増加しているのをご存じでしょうか。その背景にあるのが、ストレートネック(頚椎前弯消失)です。
ストレートネックは、スマホやパソコンを長時間使用することが習慣になっている現代では誰でも起こりうる姿勢由来の異常の1つです。
この記事では、ストレートネックとは何か、身体や精神面への影響、ストレートネックの予防やセルフケアについて解説していきます。
この記事の目次
1.現代生活が生む新しい国民病―ストレートネックとは
通常、首の骨は30~40度前方にゆるやかなS字のカーブを描いて頭部の重さを分散し直立歩行ができるようにバランスを保っています。
仕事や私生活で、デスクワークやパソコン作業を行なうと前傾姿勢(うつむくこと)になります。
前傾姿勢が長時間続くと頭部が前にせり出します。
そのため本来の生理的湾曲がなくなり、首の骨の配列が直線的になってしまいます。
これをストレートネックといいます。
OZmall ストレートネックとは? より引用
近年、急激にストレートネックになっている人の割合が増えています。
特に、スマホを使っている20代のほかに、70代以上にもストレートネックが多いのが驚きですね。
70代以上にストレートネックが多い原因は、加齢に伴う骨の変形や筋力低下による姿勢の変化で前傾姿勢になることでストレートネックになる人が多いようです。
日本経済新聞 20代の56%が「スマホ首」より引用
2.ストレートネックが心と体に及ぼす影響―心身相関―
ストレートネックは、単に首が凝る・疲れるだけではありません。
生理的湾曲は「体の土台」であり、土台が崩れると関係がないと思われる箇所にも次々と問題が起こります。
たとえば・・・
・重心のズレによる姿勢の悪化(猫背・巻き肩)
・呼吸が浅くなる
・頭痛や眼精疲労が増える
・自律神経のバランスが乱れる
・血行不良が慢性化する
などが挙げられます
最初の症状は、首周囲のコリや痛みから始まります。
それでも、放置してスマホやパソコンの作業の時に前傾姿勢でいると生理的湾曲が失われ、首を通る神経を刺激して手足に痛みやしびれを引き起こすことがあります。
ストレートネックになった場合、首の筋肉は常に引っ張られた状態となります。
休息をしているつもりでも、筋肉が緩まない慢性的な筋緊張の状態が続きます。
そのため、首に負担がかかると連動するように不調や症状が起こります。
また、ストレートネックは体の不調を通して心の不調にもつながる可能性があるため注意が必要です。
代表的なのは、
・自律神経の乱れを通じてうつ病・睡眠障害・不安・集中力の低下を起こす
・痛みや不快感からくる心身へのストレス
が挙げられます。
ストレートネックになると、筋緊張により血行不良になりやすく、特に脳への血流が低下することでうつ病などの精神疾患を引き起こす可能性があります。
更に、慢性的な体の痛みや不快感は知らないうちに精神的なストレスとなり心のバランスを崩す原因にもなります。
3.ストレートネックかも?と感じたらー簡単なセルフチェックの方法―
自分がストレートネックかどうか、簡単なセルフチェックをご紹介します。
【ストレートネックのセルフチェック】
①壁を背にして立つ
かかとを壁につけて、背中も壁につけます。
②体の各部を壁につける
おしりを壁につけて、踵とお尻、肩甲骨が自然に壁に触れるように姿勢を整えます。
③後頭部が壁につくか確認する
自然に後頭部が壁につくかを確認します。
*正常な場合:
力まずに後頭部が壁につきます
*ストレートネックの可能性がある場合:
後頭部が壁につかない、無理に後頭部をつけようとすると首や肩、背中に違和感がある
藤沢整体院 ストレートネックの見分け方より引用
4.ストレートネックの予防とケア
ストレートネックの予防とケアのポイントは
✓正しい姿勢を保つこと
✓こまめな休憩とストレッチ
✓適切な寝具の使用
が挙げられます。
具体的な方法は
①姿勢の改善と工夫
・デスクワーク
椅子に深く座り、背筋を伸ばし、パソコンスタンドなどでモニター画面を目の高さに調整する。
・スマホ使用時
画面を目の高さまで両手やスマホスタンドで支え、首が前に傾かないようにする。
・日常の姿勢
鏡で姿勢のチェックを時々行うことをおすすめします。
立っているときに、鏡を横から見ながら肩・背中・足が一直線になるように意識しましょう。
②ストレッチと運動
・休憩中にストレッチをする
デスクワークをしているとき、定期的な休憩を挟み、首をゆっくり回す・肩甲骨を寄せたりするなどのストレッチを行います。
・ネックリラクゼーション
背もたれのある椅子に座り、両手で首の後ろを支えてゆっくりと後ろに倒し30秒ほどキープします。
③寝具の見直し
睡眠は、人生の1/3を占めます。
そのため寝具はご自身の体に合ったものを選ぶことが大切です。
・枕の選び方
硬すぎず・柔らかすぎず、首の高さに合った高さ・硬さの枕を選びます。
必要であれば、タオルで高さを微調整しましょう。
・寝返りができる広さを確保する
自然な寝返りが打ちやすいように、寝具は十分な広さと適切な硬さのものを選びましょう。
5.おわりに
デスクワークでパソコン作業をすることが多く、スマホをほとんどの人が持っている今、ストレートネックは誰でもなりうる可能性があります。
首が凝る・痛い・違和感があるといった小さな症状から始まるストレートネックですが、放置することで深刻な心と体の不調につながります。
また、首は神経が集まる場所です。
神経は繊細であるため一旦負担がかかると、回復するのにかなりの時間を要します。
症状を軽視せずに、続くようであれば整形外科などの医療機関にかかることをおすすめします。
引用参考文献
日本経済新聞
藤沢整体院 ホームページ ストレートネックの見分け方
この記事を書いた人
大竹 加代子
大阪在住。身内の死をきっかけに、よりよい生き方を社会に広めたいと思い看護師となる。
整形外科・外科・脳外科・内科・循環器の急性期病棟を経て、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟へ勤務・現在に至る。
現役看護師として医療に携わる一方、こころの健康が身体の健康に及ぼす影響を実感し、こころと身体の健康を取り扱う看護師Wellnessナースとしてメンタルケア・認知科学の学びをすすめながら、適応障害の人のための電話相談やセミナー開催に向け取り組んでいる。
《経歴》
看護師歴25年
プロコミュニケーター
NLPマスタープラクティショナー
一般社団法人 日本ナースオーブ所属 Wellnessナース
保険外訪問看護 看取り対話師
《執筆》
株式会社 ELAN 様
看護師が解説!高齢者の骨折予防
看護師監修 介護側の食事指導
note 女性の適応障害に適応するブログ
《講座》
Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座