
最近よく耳にするようになった「気象病」という言葉。気象病は、天気の影響(気圧や温度、湿度など)を受けて引き起こされる心身の不調の総称です。季節の変わり目に感じる身体のだるさや、気圧変動にともなう頭痛や肩こりなども気象病です。今回は、季節ごとに起こりやすい気象病の症状についてまとめてみました。
この記事の目次
1.気象病 春
みなさんは「春の5K」をご存じでしょうか?春の気候を表したもので、乾燥、花粉、強風、寒暖差、黄砂のことを言います。
春は偏西風の影響を受けて高気圧と低気圧が交互にやって来るため、「春に3日の晴れなし」と言われるように、天気がころころ変わります。
また、「三寒四温」の言葉通り、気温差の変動も大きくなります。さらに太平洋側を中心に強い風が吹くことも特徴です。
強風にともない花粉が飛散し、偏西風の影響で黄砂がやってきます。近年は黄砂だけでなくPM2.5も話題に上がりますね。
乾燥する原因は、気温が上昇するに従って空気中の水分許容量が増えるためです。
気温が上がると空気に含まれる水分量が増えるため、結果として相対湿度が下がり、空気が乾燥しやすくなります。
天気が身体に影響を及ぼす原因は、自律神経の乱れです。
人間の身体には気圧変動を感じるセンサーが耳の奥(内耳)にあります。気圧が下がることで外からの圧力が低下し、その結果血管が拡張します。
低気圧の影響で身体の血管が拡張しても、自律神経が正常に働いていれば交感神経の働きで血管を収縮させますが、乱れていると上手く調整できません。
脳の血管が拡張すると、周囲を刺激し頭痛の一因となります。肩の周囲の血管が拡張した状態では、肩こりが生じます。めまいは、気圧変化を感知する内耳の平衡感覚が乱れて起こります。
寒暖差は身体のだるさを引き起こし、強風は、花粉・黄砂がアレルゲン(アレルギー症状を起こす原因)となってアレルギー症状を誘発します。
その症状は、くしゃみ、鼻水、咳や喘息、目のかゆみなどです。
強風の影響で肌が乾燥しやすい上に、アレルゲンが飛んでくるため皮膚トラブルも起こしやすくなります。このように、春には身体に様々な負荷がかかり心身に影響します。
入学や進級、就職など新しいスタートを切ることが多い春は、精神的な負担も加わり体調を崩しやすい時期と言えます。自律神経を整えるために規則正しい生活習慣を守りつつ、個々にアレルギー対策を行いましょう。肌の保湿もお忘れなく。
2.気象病 夏
初夏は、徐々に日差しは強まりますが湿度は低めなので爽やかな日が多いです。とはいえ、近年急激に温度が上昇することもあり油断はできません。
夏になると、太平洋高気圧に覆われ、高温多湿で蒸し暑い晴れの日が続きます。7月上旬までは梅雨前線による雨が多く、梅雨明け後は一気に真夏日・熱帯夜が出現します。
入道雲(積乱雲)による夕立やゲリラ豪雨に加え、台風の接近も徐々に増えます。
梅雨の時期、湿度が高くなると体温調整や消化機能に影響が出ると言われており、これも自律神経と深い関係があります。湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体温調節がうまくできません。
すると、身体がむくみ胃腸に不調が起りやすくなります。気圧変動もあるため、身体のだるさ・頭痛・肩こりなども現れます。
昨今の夏の特徴といえば年々更新される猛暑です。
その影響で起こりやすいのは夏バテで、身体のだるさや立ちくらみ、食欲不振や下痢・便秘などの消化器症状があります。これらは、室内と屋外の温度差や冷たいものの食べ過ぎ、熱帯夜による不眠、水分の摂取不足などによる自律神経の乱れが影響しています。
また、忘れてはいけないのが熱中症です。熱中症は、喉や皮膚の乾きから始まり、めまいや吐き気を生じ、重度になると意識障害が生じて死に至ります。熱中症で搬送される人の割合は、屋外だけでなく屋内での発症も多く、特に高齢者では夜間の発症が目立ちます。
また、食中毒にも注意が必要です。適切な室温管理と水分補給に努めましょう。初夏から適度な運動により上手に汗がかけるように身体を鍛えておくことが重要です。
3.気象病 秋
秋といえば台風ですね。秋雨前線による長雨を経てしばし穏やかな秋晴れが続きます。
その後徐々に朝晩の寒暖差が激しくなります。
日没が急激に早まり、夜が長くなります。
秋は、身体に厳しい夏の疲れが残っている上に、台風や長雨の影響を受けることになります。繰り返し述べてきた気圧変動に伴う症状に加え、強風による雷鳴喘息、長雨による気分の落ち込みやうつ症状の悪化などが起こりやすくなります。
詳しくは、「気象病」知ってる!台風や大雨と心身の不調に記しています。
併せてご覧下さい。
また、台風などによる災害も増える時期であり、当事者になると予期せぬ負担が増えます。日照時間の減少によって、もの悲しさを感じたりするなど精神面への影響が出やすい時期でもあります。
台風をはじめとする災害時の備えを確認するとともに、長い夜を楽しく過ごす準備をする時期と捉えると良いかもしれません。
4.気象病 冬
冬は、シベリア高気圧の影響を受け「西高東低」の気圧配置になります。日本海側では雪や雨が多く、太平洋側では乾燥した晴れの日が続くというように、地域により天気が異なります。
気温が低い上に強い北西の季節風で乾燥しやすく、寒暖差が大きいことも特徴です。 
寒さが身体に及ぼす影響として注目すべきは血管収縮です。
血行不良による身体の冷えはもちろんのこと、筋肉が硬くなる、神経が過敏になるなどにより肩凝り、腰痛、関節痛や神経痛などを起こします。
血行不良の状態に寒暖差が加わると、急激な血圧上昇をきたし脳血管障害や狭心症・心筋梗塞などを発症しやすくなり、特に高血圧や心疾患のある方は注意が必要です。
気圧変動による症状に加え、空気の乾燥による皮膚のトラブルやインフルエンザをはじめとする感染症の流行にも注意が必要です。
自宅では部屋と廊下の温度差に配慮しましょう。
トイレや入浴時の浴室と脱衣場はスポットで温められる暖房器具を用意すると安心です。
外出時は調節しやすい衣類とマスクの着用を、帰宅時はうがい手洗いを励行し、日頃から十分な栄養と休息をとって感染症予防に留意しましょう。皮膚の保湿もお忘れなく。
まとめ
季節ごとに身体はさまざまな影響を受けています。その中で共通して求められるのは、しなやかで強い自律神経を持つことです。日々の生活を整え、常に働き続けている身体をいたわりながら、気候に負けない身体をつくることが大切です。次回は、改めて気象病と上手く付き合う方法について考えたいと思います。
参考資料
日本気象協会 https://tenki.jp/
頭痛―るhttps://zutool.jp/
教育出版https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/
この記事を書いた人
看護師:青木 容子
〈プロフィール〉
看護師経験30年
(病院勤務通算8年、身体障害者施設3年、訪問看護15年、そのほか新生児訪問指導など)
現在は特別養護老人ホームなどで勤務する傍らCANNUS新長田を運営中。
紙屋克子氏らから、NICD:意識障害・寝たきり(廃用症候群)患者への生活行動回復看護を、黒岩恭子氏からは黒岩メソッドを学び、実践するとともにそれらの普及を目指している。