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高齢でも大丈夫!?頸椎の手術に踏み切るポイント

もし、高齢のご家族が医師から手術が必要だと、告げられた時あなたならどうしますか?

しかも、大切な神経や血管が通っている頚椎だとしたら・・・。

「高齢なのに、首の手術は必要なのだろうか?」

「手術したら元通りに生活できるの?」

患者さんやご家族がまず感じるのは、こんな不安ではないでしょうか?

私が、脊椎の手術を専門とする病棟に勤務している時、多くの高齢患者さんも頚椎手術を受けられていました。

症状が強く体が動かせなかった高齢な方が頚椎の手術を受けて、手足の動きが改善して笑顔で歩いて退院した方もいれば、術前は自立した生活を行えていたのに、術後の合併症で介護が必要になった患者さんも見てきました。

高齢者は、健康であってもさまざまなリスクを抱えています。

簡単な手術であっても、体への負担は大きいため万全の準備で手術に臨む必要があります。

この記事では、高齢のご家族が頚椎の手術が必要となったとき、手術に踏み切るために必要な知識をお伝えしていきたいと思います。

この記事の目次

1.高齢者が抱えているリスク

高齢者の体は、加齢に伴い健康な人であってもさまざまな変化が現れます

手術や体調不良を起こすと、一気に状態が悪化する可能性もあるため術後の管理は慎重に行う必要があります。

どのような危険性があるかについて簡単にまとめました。

①臓器機能の低下

心臓や肺・腎臓・肝臓は年齢とともに少しずつ余力が低下していきます。

手術を受けるとなると身体への負担は若い年齢層に比べて大きいものとなります。

臓器の機能低下は、一つの臓器だけでなく複数が同時に影響を受けやすいのも特徴です。

軽い不調がきっかけとなり、全身の状態が一気に不安定になることもあり注意が必要です。

②予備能力・回復力の低下

高齢者は健康な状態から、ストレスが加わったときに対応できる予備能力が低下することで臓器の機能低下を起こしやすいと言われます。

また、弱った状態からもとの状態にまで戻る力も低下するため回復に時間を必要とします。

③恒常性維持機能の低下

高齢者は周囲の変化に対応できずに体調を崩してしまう場合もあります。

また、環境が変わることによって精神面にも影響を及ぼす場合があり症状が進むと認知症になる場合もあります。

④日常生活動作の能力が低下しやすい

病気やケガで安静期間が長引くことで食欲低下をきたし、栄養バランスが崩れ

筋力低下など運動機能の低下をきたしやすくなります。

さらに、安静により関節が固くなる関節拘縮を起こしやすくなります。

ベッド上での生活が長くなることで、同じ体位でいることが多くなると褥瘡(じょくそう)を起こしやすくなります

⑤重篤化しやすい

予備能力低下や回復力の低下により、少しの不調でも悪化しやすくなる危険性を持っています。

2.手術を考えるサイン

高齢者は通常の生活のなかでも、さまざまなリスクを背負っています。

手術や治療を行うとなれば更にリスクが高くなると言えます。

しかし、症状を放置し今までの生活習慣を続けていると悪化する可能性が高くなります。

では、どんなときに手術を検討する段階といえるのでしょうか。

ここでは、高齢者の手術を検討するために必要なサインについて説明していきます。

手術を検討する重大なサイン

頚椎の手術を検討するポイントは、首や肩の痛みだけでなく、指先の動き歩行状態排尿や排便の異常などの脊髄神経の圧迫症状があるかないかが重要になります。

①手指の巧緻性(こうちせい)障害

巧緻性とは細かい動きのことを指します。

・服のボタンの付け外しがしにくい

・お箸が持ちにくくなる

・細かいものを落としやすくなった

②歩行障害・ふらつき

・まっすぐに歩けない

・階段の昇り降りのときに力が入らない

・足に力が入らない

・スリッパが脱げやすい

・つまずきやすい

③手足のしびれ・感覚障害

・両手両足がしびれる

・感覚が鈍い

・手足が冷たく感じる

④筋力低下

・ものを握る力が弱くなる

・腕が上がらない

・疲労感が強くなる

⑤日常生活に支障をきたす症状がある

・鎮痛剤やブロック注射、リハビリを3~6ヶ月行っても症状が改善しない

・痛みやしびれが強くなる

などが挙げられます。

3.頚椎の手術に踏み切るときに注意したいこと

頚椎の手術は早期治療が基本です。

理由は神経の圧迫が長く続くほど回復にも時間がかかるからです。

患者さんの年齢や既往疾患、医師の考え方によってはリハビリを行いながら鎮痛剤の内服や神経ブロックなどの疼痛コントロールを行い症状の改善を図る場合もあります。

それでも改善しない場合に手術を検討する場合もあります。

頚椎の手術をたくさん行っている医師の場合だと、神経の圧迫を解くことで症状は改善するため早い時期に手術を提案する場合もあります。

手術を行うことになった場合、術後の経過が今後の人生に大きく影響すると私は考えます。

しかし、どれだけ術前に検査をして大丈夫と判断されても、高齢者はさまざまなリスクを抱えているため気は抜けないのが特徴です。

術前は症状がありながらも、日常生活は自立していた人でも全身麻酔の影響や術後の痛みや環境の変化で術後せん妄という状態に陥る場合もあります。

この状態が長くつづくと認知症につながる可能性もあります。

術後の痛みや安静期間が続くことで筋力低下を引き起こす場合もありリハビリが進まないケースもあります。

さらに術後感染のリスクや術後肺炎などの重症化も引き起こすことも多く予測ができないため術後の管理は細心の注意が必要となってきます。

4.年齢ではなく「生活」を考える

頚椎の手術を提案されたとき

「もう高齢だから」と本人も家族も諦めることがあります。

・今の症状でこれからの生活が成り立つか

・鎮痛剤の効果はあるのか

・リハビリを続けていくことで現状を維持できるのか

さまざまな選択肢はあります。

どの選択を選んでも正しいと思います。

高齢になってくると、治療の選択は人生の選択だと思います。

だからこそ、手術の説明を一緒に聞いてご家族やご本人と話し合って決めてほしいと感じます。

5.おわりに

若年層の術後の経過に比べ、高齢者の術後は回復に時間がかかります。

痛みやしびれは術後すぐに改善する人もいますが、高齢者の場合は時間をかけてゆっくり改善する人が多いように感じます。

焦らずに長い目で見ていくことが大切です。

術後の体力や筋力がどれだけ回復するかは、本人のリハビリ意欲にもかかっていますが、ご家族の励ましや声掛けが一番の支えだと臨床で関わっていたときに感じました。

また、治療について話すことはご家族と過ごす時間が増えるきっかけになると思います。

大切なご家族のことだからこそ、家族と話し合い決めていくことで後悔のない選択ができるのではないでしょうか。

引用・参考文献

健康長寿ネット:高齢者の身体的特徴

国立長寿医療研究センター:頚髄症に対する早期手術のすすめ

この記事を書いた人

看護師大竹加代子

大竹 加代子

大阪在住。身内の死をきっかけに、よりよい生き方を社会に広めたいと思い看護師となる。

整形外科・外科・脳外科・内科・循環器の急性期病棟を経て、回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟へ勤務・現在に至る。

現役看護師として医療に携わる一方、こころの健康が身体の健康に及ぼす影響を実感し、こころと身体の健康を取り扱う看護師Wellnessナースとしてメンタルケア・認知科学の学びをすすめながら、適応障害の人のための電話相談やセミナー開催に向け取り組んでいる。

《経歴》
看護師歴25年
プロコミュニケーター
NLPマスタープラクティショナー
一般社団法人 日本ナースオーブ所属 Wellnessナース
保険外訪問看護 看取り対話師

《執筆》
株式会社 ELAN 様 
看護師が解説!高齢者の骨折予防
看護師監修 介護側の食事指導
note 女性の適応障害に適応するブログ

《講座》
Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座

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