花粉症の原因は、名前の通り「花粉」です。これをいかに避けるかが症状軽減のカギとなります。とはいえ、花粉を完全に遮断するのは難しいものです。そこでこの記事では、お金をかけず、だれでも試せる花粉症対策を紹介します。
この記事の目次
1. 花粉の飛散状況を知って、行動を工夫しよう
花粉は昼前後と夕方に多く飛散するといわれています。
特に、次のような天気になると花粉が多く飛散しています。
・ 晴れて、気温が高い日
・ 空気が乾燥して、風が強い日
・ 雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日続いたあと
また、花粉の飛散状況は地域によって異なります。日本気象協会など天気予報をインターネット上で確認できるサイトには、市町村ごとにスギやヒノキの花粉の飛散予測を24時間、1週間単位で確認できます。花粉の飛散予測を確認して、出かける時間帯や対策を取るタイミングを決めましょう。
2. 外出時に気をつけたいこと
1) 花粉がつきにくい服装を選ぶ
一般的にウール製の衣類は、木綿や化繊に比べて花粉が付着しやすいといわれています。そのため、外出するときの服装にも気をつけることが必要です。花粉の飛び始めはまだ肌寒く重ね着がしたい季節ですが、ウール素材のコート類の着用は避けた方がよさそうです。最近は花粉付着抑制素材を使用した衣類も売られています。
それから、静電気も衣類に花粉を付着させる原因の一つです。外出前に、静電気防止スプレーを適量吹き付けておくことで花粉の付着を抑えることができます。
そのほか、からだに付着する花粉を減少させるために、つばの広い帽子をかぶったり、手袋を使ったりすることもよいでしょう。
2) マスクやメガネで花粉の侵入をブロック
ある実験では、マスクをつけているとマスクをしない場合と比べて、花粉を約70%減少させる効果があったそうです。また、メガネもかけていない場合と比べて、目に入る花粉の量は約40%減少したそうです。
マスクをつけることで、鼻の症状を軽くする効果があります。マスクを選ぶ時のポイントは次の3つです。
・ 顔にフィットしていて、横に隙間ができていない
・ 呼吸がしやすい
・ 毎日交換できる使い捨てのもの
また、マスクの内側にガーゼを当てるなど(インナーマスク)をすると、さらに鼻に入る花粉が減少することが分かっています。
マスクの正しいつけ方は、新型コロナウイルスの予防対策で身についていらっしゃる方も多いかとは思いますが、今一度確認してください。
それから、花粉の飛散している季節にコンタクトレンズを使用すると、レンズの刺激が花粉によるアレルギー性結膜炎の症状を悪化させる可能性があります。不便かもしれませんが、花粉の時期だけはメガネをかけて過ごす方がよいでしょう。
【閑話休題】~花粉対策グッズに関するお悩み解決~ JAPOCマークを知っていますか?
JAPOCマークは、「花粉問題対策事業者協議会」が制定している認証規格です。今までさまざまな花粉対策製品は各企業が独自の評価方法で性能情報を提供してきました。しかし、消費者からどれを選べばよいかわかりづらいという声が上がっていました。そこで、企業や行政、大学などが協力して花粉対策性能と使い心地のよさを両立した製品を客観的に評価するため、認証制度ができました。この認証マークにはカラー版とモノクロ版がありますが、デザイン上の違いで、いずれも認証の意味や効果は変わりません。現在では、空気清浄機やマスクなどがこの認証を受けています。
3) 外出から帰ってきたらすること
家の中に花粉を持ち込まないように、服や髪などについた花粉をしっかり落とすことが必要です。
(1) 玄関で花粉をシャットアウト
コートやズボン・スカートのすそ、帽子やマフラーなどはもちろんですが、パーカーなどのフードの中にも花粉は付着しています。家の中に入る前に、髪を手で払う、上着を脱いでバサバサする、粘着クリーナーでコロコロするなど、花粉を払い落としてから、家に入り、着替えをしましょう。
(2) うがいや手洗い、洗顔で花粉をシャットアウト
からだについた花粉を確実に落としたい時は、外出から戻ってそのままシャワーでからだを洗い流すことが一番の方法です。
シャワーが難しいようでしたら、うがいや手洗い、洗顔で、花粉を洗い流しましょう。ただし、丁寧に洗わないと、のどや目、鼻などについた花粉がからだの中に侵入し、かえって症状が悪化することがあります。
目に入った花粉は、防腐剤無添加の洗眼薬や、人口涙液点眼薬などで洗い流します。
3. 室内に花粉を持ち込まないための工夫
お金に余裕があれば、空気清浄機を置くと家の中の花粉対策としては効果的なのでしょうが、この記事のタイトルはお金をかけない花粉症対策ですので、空気清浄機は省略しています。
1) こまめな掃除がポイント
入ってきた花粉は床やカーテンなどに付着しています。掃除機かけや拭き掃除、カーテンの洗濯はこまめに行いましょう。
2) 窓の開け方にもひと工夫
花粉の飛散が多い、昼前後や夕方に換気することは避けた方がよいでしょう。窓を開ける幅を10cm程度にして、レースのカーテンをして換気をすると、花粉の量は4分の1に減少することができるといわれています。
花粉の飛散が多そうな日は、窓を閉めて過ごしましょう。
4. 花粉に負けないからだをつくろう
1) 花粉に強くなる食べ物や飲み物
花粉症の症状を軽減するために、次のような食材や飲み物が効果的といわれています。
(1) 抗炎症作用のある食べ物
鮭やマグロなどのオメガ-3脂肪酸を含む魚、アボカド、クルミやアーモンドなどのナッツ類など
(2) 抗酸化作用のあるビタミンCとEを含む食べ物
柑橘類、キウイ、ブロッコリー、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ホウレン草など
(3) 免疫力をあげるビタミンDを含む食べ物
魚(鮭やマグロ、サバ、ししゃも)、牛レバー、チーズ、卵、きのこ類など
(4) 腸内環境を整える乳酸菌を含む食べ物
ヨーグルトや納豆、キムチ、ぬか漬け、酒粕などの発酵食品
(5) 血行を良くする温かい飲み物
生姜やレモンを使った温かいお茶、カフェインが含まれていないハーブティー
2) ストレスをためない習慣で免疫力アップ
ストレスは免疫力を下げます。緊張をゆるめ、副交感神経を整えるためには次のようなことが効果的です。
・よく眠る
・お風呂でゆったりと過ごす
・深呼吸をする
・読書や音楽を楽しむ
・散歩で気分転換する
こうした習慣が、症状をやわらげる助けになります。
5. まとめ
花粉症は長期間にわたって付き合わなければならない症状の一つです。しかし、お金をかけなくても、毎日のちょっとした工夫や習慣で症状を軽くすることは十分に可能です。
・花粉の飛散予報をチェックして、外出の時間帯や対策のタイミングを工夫しましょう。
・外出時はマスクやメガネ、花粉のつきにくい服装でしっかりガードしましょう。
・帰宅後は衣類や髪の花粉を払ってから入り、手洗い・うがい・洗顔で花粉を洗い流しましょう。
・食事や睡眠、リラックスする時間を大切にして、免疫力を高めましょう。
この記事で紹介した方法を、ぜひ自分に合った形で取り入れていただけるとうれしいです。
次回は、帯状疱疹の治療についてお伝えします。
この記事を書いた人
ヤマダ カオリ
〈プロフィール〉
親に勧められ、自分が希望する心理学への道をあきらめ、看護学校に入学し、病院に就職する。周りの同期のように看護が楽しいと感じられず、私のしたいこととは違うと思い続け、「看護師は向いていない」と悩みながら3年間 病院で勤務後、退職する。事務職に転職しようとパソコンや簿記を学ぶが、25歳では事務職への転職は難しく、生活のために看護師に復帰する。
復帰後はマンネリ化した機能別業務に、再度「看護師は向いていない」と感じる日々が続いていた頃、関連病院で病床数増床のため看護師を募集していることを知り、心機一転すれば看護の楽しさがわかるのではと思い、異動を希望し、上京する。上京した病院で、自宅で最期を迎えたいと希望する患者や家族への退院指導の難しさと充実感を知り、新人教育担当として新人看護師が日々成長していく姿に励まされ、5S活動やQCサークル活動を通じて業務改善に手ごたえを感じるなど、看護師を続けたいと思えるようになった。それからは、自分の興味の赴くままに学びを深め、特に認知症に関する知識や技術を身につけ、「その人の行動の意味することは何か、生活歴を通して気づく看護の楽しさ」を伝えたいと思うようになった。
現在は、「看護が楽しい」と感じる仲間を増やしたくて、看護学校で看護教員をしている。
〈経歴〉
看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務)
看護教員養成研修 修了
認定看護師教育課程(認知症看護) 修了
医療安全管理者養成研修 修了
認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了
〈講座〉
認知症ケアに関する講座 多数
未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)