子どもの皮膚は一見、水分をたくさん含み健康的に見えるかもしれませんが、角質が薄くバリア機能が不十分な状態です。小さな発赤であっても、かいているうちに化膿し、症状が悪化する場合もあります。
かゆみは子どもの精神状態を不安定にして、夜間の不眠や食欲不振にもなりかねないですから、慢性化しないうちに何とか予防したいものです
そこで今回はかゆみを伴う子どもの代表的な皮膚疾患と、スキンケアの方法についてお伝えします。子どもの皮膚を守ることは健やかな成長につながりますので、知っておくと安心です。
この記事の目次
1.皮膚のかゆみの原因と疾患
皮膚がかゆくなる原因には外的な要因と内的な要因があります。子どものかゆみを鎮めるためには原因がどこにあるかを見極めて、それに応じた対策をおこなうことが大切です。
それぞれの要因を主な皮膚疾患別に説明していきます。
【外的要因】
①あせも
あせもは、汗をかいたあとに赤いブツブツした湿疹ができます。汗をかきやすい子どもは夏場に限らずあせもが出来る可能性があります。特に高温多湿な時期は大量に汗をかくために汗腺が詰って汗を出せなくなり、水ぶくれができることもあります。
②おむつかぶれ
おむつかぶれは、便や尿の刺激でお尻の皮膚がただれたり、ジュクジュクする症状で「おむつ皮膚炎」といいます。肛門周囲を中心に足の付け根や腰まわりなど、おむつが当たっている部分に炎症が起こります。
おむつかぶれの最大の要因はおむつを長時間交換しなかったことです。
排せつ物や汗でおむつ内の湿度が高まり、皮膚がふやけて柔らかくなっているところに排せつ物のアンモニアや酵素が刺激を与えてしまうことによります。
特に新生児から低月齢の赤ちゃんは排泄の回数も多く便も緩いため、おむつかぶれを繰り返してしまいます。下痢の時はさらに悪化しやすいためおむつはこまめに交換しましょう。
③しもやけ
しもやけは、寒い時期に血行が悪くなることで発症します。気温が4~5℃一日の寒暖差が10℃前後になる冬の始まりの時期に発症しやすくなります。しもやけは手足の指先や耳たぶ、鼻、頬に発症しやすく赤くなり腫れてかゆみを伴います。
④虫さされ
虫さされによるかゆみは一種のアレルギー反応です。子どもは刺されてから1~2日経ってから発疹やかゆみが出ることが多く、大きく腫れることもあります。
刺す虫はハチ、噛む虫は、ムカデやクモです。また、血を吸う虫にブヨ、アブ、ノミ、マダニがいます。アレルギー体質によってはショック症状を起こす場合があるので注意が必要です。
【内的要因】
⑤アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、アトピー訴因を持っている子どもから大人まで発症します。子どもは乳児期、幼児期、学童期で症状に違いがありますが、良くなったり、悪くなったりと繰り返しながら慢性化していきます。
乳児期は、頭や顔に赤くてジュクジュクした湿疹がみられます。口のまわりや頬によくみられることがあります。
幼児・学童期は皮膚がカサカサと乾燥するようになります。足や手の関節の内側が赤くなり、ブツブツと鳥肌に見えることもあります。耳たぶが切れることもあります。
⑥食物アレルギー
食物が原因で蕁麻疹が出たり、顔や手足が腫れる場合もあります。原因となる食物には大豆、卵、そば、エビ、カニ、小麦などがあります。
皮膚科で原因物質を特定することが良いでしょう。
2.かゆみを落ち着かせる対策
かゆい時は、ついかきむしりたくなってしまうものです。
私もアトピー性皮膚炎と長年付き合っていますので、かゆみが襲ってきたときに発作的にかいてしまう気持ちは十分理解しています。
しかし、かくことでかゆみの物質であるヒスタミンが放出されて、皮膚が外部の刺激に敏感になってしまいます。
そうすると、少しの刺激でもかゆみがおこりやすくなり、悪循環となってしまいます。
皮膚疾患を悪化しないためにはかかないことが重要なのです。
そうはいっても子どもがかゆみを我慢することはそう簡単に出来ることではありません。
少しでもかゆみを落ち着かせる方法をお伝えします。
①冷たいタオルや保冷剤で冷やす
かゆみは皮膚の温度が上がると増していきます。入浴後や入眠中に子どもがかゆがる場合は冷たい水で濡らしたタオルや(タオルで包んだ)保冷剤を当てて冷やすことをお勧めします。
②市販薬を塗る
子どもの湿疹は一時的なものであれば市販薬を試してみるのも一つの方法だと思います。成分によって適した症状があるため薬剤師に相談してみると良いでしょう。
主な成分と用途については次の表を参考にしてください。
3.子どもの皮膚を守るスキンケア
子どもの皮膚は厚さが大人の半分しかないうえに、外部刺激にとても敏感です。
しかし、汗をかいたり、ほこりによって汚れやすいのも特徴です。
そのような敏感な肌皮膚を健康に保つためには、洗う・補う・守ることが大切です。
子どものスキンケアは以下のような手順で行いましょう。
①洗う
皮膚についた汗やほこりは、早いうちに洗い流しましょう。夏場は汗をかきやすいのでその都度、濡れたタオルで拭く、こまめにシャワーを浴びることで皮膚トラブルを予防できます。
洗浄剤は低刺激のものを使用しましょう。強くこすり過ぎると皮膚が乾燥しかゆみの原因になるため手を使い、やさしく洗うようにしてください。
②補う
汚れを洗い流した後は低刺激のローションなどで保湿しましょう。赤ちゃんでも使用できる低刺激のものがお勧めです。
冬場など空気が乾燥している時は外部刺激にも敏感に反応します。赤ちゃん用のワセリンなどを塗ると皮膚を保護することが出来ます。
③守る
皮膚に刺激を与える紫外線は一年中降り注いでいます。季節や時間帯によって低刺激の日焼け止めを使用すると敏感な皮膚を守ることが出来ます。しかし、適度に日光を浴びることは子どもの成長に欠かせません。長い間屋外で遊ぶことは控え、適度に休息をとるようにしましょう。また、衣類の摩擦や洗剤の香料なども刺激になることがあるので注意が必要です。
こまめに爪を切ることも忘れないでください。
乳幼児のスキンケアは皮膚トラブルを予防するだけではなく、子どもが健やかに成長をするための大切な時間です。
肌と肌が触れ合うことで、「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンが分泌されることが、科学的にも明らかになっています。子どもへのスキンケアは皮膚トラブルを予防することでもありますが、親子の愛情を深めることで、よりいっそう、皮膚は潤いをたもつことにもつながります。
4.受診が必要な場合
①ウイルス性、細菌性の皮膚疾患
ウイルス性の皮膚疾患でかゆみを伴うものに、水ぼうそうや帯状疱疹があります。
②アトピー性皮膚炎が悪化している場合
アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイドが入った外用薬が中心となりますが薬効が強いものから弱いものまで段階があります。そのため、症状をと経過を見ながらそれに合った薬を医師が処方します湿疹やかゆみを繰り返している場合や悪化している時は受診をするようにしましょう
5.まとめ
皮膚は内側の状態を現す鏡のようなものです。子どもの皮膚に湿疹ができるということは必要ないものを排除しようとする排泄作用ですから、その原因を探しながら、子どもの心と向き合うことが大切ですね。
この記事を書いた人
福井三賀子
<プロフィール>
小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。
同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。
結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。
在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。
現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。
<経歴>
看護師経験20年。
外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来)
介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム)
介護支援専門員6年
<資格>
看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター
<活動>
講座「更年期は黄金期」
ブログ「幸せな更年期への道のり」
メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」
スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」
動画配信YouTube「看護師mikakoの更年期チャンネル」