私は、消化器内科のある病棟で、17年働いてきた看護師です。
看護師なので学生時代から、教科書や、医療の現場で「肝臓」について習います。
肝臓には、こういう働きや役割があります。
- ・代謝
-
栄養をエネルギーや必要とする形に変えたりする工場の役割
- ・貯蔵
-
ブドウ糖をグリコーゲンとして備蓄
- ・解毒
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アルコール タバコ 薬 食品添加物などを無害なものにする
胆汁の生成:脂質の消化吸収、デトックス、コレステロールの調整
などを行うのが、肝臓です。
けっこうな、働き者ですね。
では、肝臓について痛みを感じることはあると思いますか? ないと思いますか?
答えは「痛みはない」です。
健康診断で
「脂肪肝ですよ」
って、言われた方、痛みの自覚症状はなかったのではないでしょうか?
痛みがないのは、肝臓だからです。
沈黙の臓器と言われるゆえんですね。
私が勤務していた時のこと。
看護業務の中に病棟や、外来勤務で、診察の補助として医師の診察に着くことがありました。
その時に医師から
「どうして、こんなになるまで放っておいたの?」
と言われている患者様を多々目にしました。
「いや~、症状が何も無かったし…」
「どこも、どうもなかったから…」
などとおっしゃる患者さんも見受けられました。
そんな患者様と医師のやり取りを見ていて、
「本当に痛くないのね、教科書で習った通りだなあ」
などと、頭の中では呑気に考えていました。
そう。
看護師とて、自分自身がその病気にならなければ、その病気の全ては、知り得ません。
机上のなんとかって、言いいますよね?
それくらい、知識のみで仕事をしているのです。
そうしながら、徐々に、患者様の病状、病態、経過を見て学び、教科書と照らし合わせて、覚えて、知っていくわけです。
その当時の私も、肝臓が悪くなったことがなかったので、呑気に他人事として考えていられたわけです。
様々な病気がありますが、痛みという点だけで考えれば「脂肪肝」は、いい方なのかもしれません。
なぜなら痛くて、泣いて、のたうち回って、助けてくれ~!!って、叫ぶような臓器ではないのですから。
臓器の中でなら、肝臓の病気が一番ラッキーなのかも?
なんてわけはありません!
どんな病気でも、ならないに越したことはないですからね。
私も平均寿命の真ん中をとっくに折り返した今になって「人間、健康に勝るものは無い!!」と実感としてわかるようになりました。
病気にならないことが一番です。
病気になってしまうと様々な生活に関することで趣味や、興味をもった事や、やりたい事などが出来なくなったり、制限がかかったりしてしまいがちです。
そうならないためには、やはり、健康でないといけません
それでは、脂肪肝はどうでしょうか。
痛くないですし、症状がないですし、健康ではない、こともない。
なぜなら症状がありませんから
症状がないと、何を恐れるべきなのかが分からないですよね。
だからこそ、気付いた時には遅かった!ということになるのです。
それでは、何故、「脂肪肝を恐れなさい」と、言うのか?
それは、ここ数十年の間に
「肝臓の病気の初期段階が、脂肪肝である」
と言っても過言ではなくなったからなのです。
そもそも、肝臓には、アルコールを飲む人が悪くなる臓器っていうイメージがありませんか?
飲酒しない人からすると、「私は関係ないわ」って思う気持ちはよくわかりますし、私もそう思っていました。
確かに、昔、私が働き始めた2~30年前は、そうだったのです。
酒飲みがなる病気といえば肝臓の病気でした。
今も、そこは変わりないのですが、ここ数十年でお酒を飲まないのに、肝臓の病気になる人が増えているのです。
その肝臓の病気の初期段階に診断されるのが、「脂肪肝」なんです。
それでは、お酒も飲まないのに、脂肪肝と診断される人はどういう人なのでしょうか
そう、それは、私です!
などと冗談のように言っていますが事実でして、筆者は、車の運転が好きなので、基本的にお酒は飲みません。なのに、脂肪肝だと医師から言われました。
かれこれ、10年ほど前の30代後半だった頃の事です。
肝臓専門医の医師と一緒に仕事をするようになったある日
「あんた、脂肪肝でしょ!体型見ればわかるのよ」
と、言われました。
「ええ?見ただけで?そんな~、そんなわけない!」
と思いましたが、実際脂肪肝でした。
それでは、どのような体型なのか?
ぽっちゃりです。小太りです。
BMI 30くらい。
その当時はまだBMI 28くらいでしたが、おデブさんな見た目で脂肪肝だとわかるそうです。
日本肥満学会の定めた基準では
BMI18.5未満が「低体重(やせ)」
BMI18.5以上25未満が「普通体重」
BMI25以上が「肥満」
なお肥満はその度合いによってさらに「肥満1」から「肥満4」に分類されます。
参考:厚生労働省 eーヘルスネット
お酒を飲まなくても、脂肪肝。
これが一番、心配なパターンだったりします。
だって、私自身、今も何の症状もありませんから。
次回、脂肪肝って、治るの?につづきます。
この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)