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看護師が解説!乳児の予防接種①どうする?子どものワクチン

予防接種をする赤ちゃん

みなさんはVPDという言葉を耳にしたことがありますか?子どもはよく病気をします。

VPD

  • Vaccine(ワクチン)
  • Preventable(防げる)
  • Diseases(病気)

の略で、ワクチンで防げる病気のことをいいます。

ワクチンとは、病気に対する抵抗力を作るための薬剤です。

そして、特定の病気に対する免疫をつけるためにワクチンを接種することが予防接種です。
予防接種は、その効果が大きい反面、悪い反応も少なからずあります。

初めての子育てとなるご両親の中には、いくつもの種類がある予防接種に不安を感じられている方も多いのではないでしょうか?

そこで現在の予防接種事情を含め5回シリーズで乳幼児の予防接種についてお伝えします

この記事の目次

1.予防接種が必要な理由

乳幼児期は病気に対する抵抗力(免疫)が不十分です。

生まれたての赤ちゃんにはお母さんから受け継いだ免疫もありますが、全ての病気に有効ではありません。
年齢が低いほど重症になりやすい病気もあります。

これらの病気を防ぐためにも予防接種は必要です。

予防接種の効果

  1. 病気にかかるのを防ぐ
  2. 病気にかかっても重症になるのを防ぐ
  3. 病気の流行を防ぐ

免疫があると、その病気のウイルスや細菌が体内に入ってきたとき身体が直ぐに対応でき、病気にかかりにくくすることができます。

もし病気にかかったとしても、症状は軽く重症化することを予防することができます。
感染症の中には、一度かかれば生涯二度とかからないものがあります。
自然にかかれば強い免疫が獲得できるといわれています。

一方重症になると脳炎や肺炎などの合併症を起こし、重い後遺症をのこす可能性もあります。

予防接種の効果は個人だけのものとは限りません。
誰もが予防接種を受けることで、社会的な流行を防ぐことにも繋がります。

グローバル化が進んでいる今日、予防接種の重要性はますます大きくなっているといえます。

2.予防接種の種類

乳幼児が受ける予防接種は、主に予防接種法に基づき実施される「定期接種」です。その他に任意で受けるものがあります。

定期接種
  • 集団予防や重篤な病気の予防に重点がおかれ、市町村長が行います。
  • 本人(保護者)には努力義務があり、国は積極的な接種を推奨しています。
    規定された対象年齢の期間であれば自己負担がありません。

該当するもの:5種混合(4種混合+ヒブ)、肺炎球菌、ロタウイルス感染症、B型肝炎、BCG、水痘(みずぼうそう)、麻疹(はしか)、日本脳炎など

任意接種

努力義務はありませんが、今後定期接種化にむけて検討されているものもあります。

該当するもの:おたふくかぜ、インフルエンザなど

3.ワクチンの種類

ワクチンには、4種類あります。
以下の表に、その特徴と該当する病気をまとめました。

種類特徴該当するもの
生ワクチン  ・生きたウイルスや細菌の病原性(毒性)を、症状が出ないよう弱くしたもの
・弱毒化された病原体が体内で繁殖し免疫をつける
・自然感染に近い状態になりワクチンの効果が得やすい
・接種後に発熱や発疹などの症状が出る場合がある
水痘(みずぼうそう)   
おたふくかぜ
麻疹(はしか)
ロタウイルス感染症
など
不活化
ワクチン
・加熱処理や薬剤処理によりウイルスや細菌の病原性(毒性)を無くしたもの
・免疫を作るために必要な成分だけを取りだしたものもある
・接種しても病原体が体内で繁殖することはない
・安全性は高いが複数回の接種が必要
B型肝炎、ヒブ感染症  
小児の肺炎球菌感染症百日咳
ポリオ
日本脳炎
インフルエンザなど
トキソイド・病原体(細菌)の出す毒素を薬剤処理により毒性を無くして作られたもの
・不活化ワクチンと同様に複数回接種が必要
ジフテリア
破傷風など
mRNA
ワクチン
・ウイルスを構成するたんぱく質の遺伝情報を投与する
・遺伝情報を接種することで体内に作られたウイルスのたんぱく質に身体が反応して免疫をつける
新型コロナウイルス感染症

4.予防接種のスケジュール

乳幼児の予防接種は生後2ヶ月目から受けることができます

スケジュールには基本パターンがありますので、参考にして計画を立てましょう。

予防接種は一度に複数のワクチンを接種します。
一度に何種類も大丈夫?と不安に思われる方もあると思いますが、研究により効果や安全性が検証されています。
ちなみに乳幼児への同時接種では、左右の腕と太ももに1本ずつ接種します。

~1歳までの予防接種計画の例~

接種時期接種するワクチン
2ヶ月目5種混合①・肺炎球菌①・B型肝炎①  
ロタウイルス(2回と3回のものがあります)①
*R6年4月より前に1回目をスタートした方は、4種混合+ヒブです
3ヶ月目5種混合②・肺炎球菌②・B型肝炎②・ロタウイルス②
4ヶ月目5種混合③・肺炎球菌③
ロタウイルス③(3回接種のもののみ)
5ヶ月目BCG
8ヶ月目B型肝炎③
1歳水痘①・MR①・おたふくかぜ①
4週間後5種混合④・肺炎球菌④
注.ワクチンの後にある〇内の数字は接種回数を示します。
予防接種について調べる

接種スケジュールは、医師によって考え方に違いがある場合もあります。
予定を立てても、風邪をひいて発熱(37.5℃以上)や咳、鼻が出るなどの症状があることもあります。

そんな時は、かかりつけ医と相談してスケジュールを修正してください。

接種可能な期間には、余裕があるので焦らなくても大丈夫です。

アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、じんましんが出たことがあるなどの場合でも、通常接種は可能です。
1度目の接種後アレルギー症状が出た場合は、かかりつけ医にご相談下さい。

ただし、「うっかり助成期間が終わっていた」ということがないように、体調に問題が無ければ基本に忠実に接種することをお勧めします。

下の表は「KNOW VPD!」で公開されている予防接種スケジュールです。
ダウンロードできますので、ご活用下さい。

5.予防接種の副反応

予防接種後は副反応が生じることがあります。

副反応とは、ワクチン接種後に起るアレルギー症状や発熱などの好ましくない反応です。

急な副反応であるアナフィラキシーショックは、呼吸困難などのアレルギー症状で注射後比較的早い時間に起ります。
30分程度は待機するなどして、何かあったとき直ぐ医師に連絡できるようにしておきます。

接種後はそのままお出かけなどせずに、お家でゆっくり過ごしましょう。

当日の入浴は可能ですが、注射部位をこすらないようにします。
その他の副反応には、発熱や発疹、注射した部位の発赤や硬結(硬くなる)などがあります。
個人差があり、2~3日で治まることが多いですが不安があれば予防接種を受けた医師に相談しましょう。

3人の寝ているあかちゃん

6.まとめ

予防接種は、病気にかからない、かかっても重症にならない、周囲に感染させないために大切です。

どんな予防接種があるのか、受けるときに注意することなどを理解し、大切な我が子の命を守るために計画的に予防接種を受けて下さい。

次回は、令和6年4月から新しく始まった5種混合ワクチンについてお伝えします。

2023年予防接種に関するQ&A集 一般社団法人 日本ワクチン産業協会
KNOW VPD!
日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」
ワクチン.net 


この記事を書いた人

看護師:青木容子 看護師経験30年 (病院勤務通算8年、身体障害者施設3年、訪問看護15年、そのほか新生児訪問指導など) 現在は特別養護老人ホームなどで勤務する傍らCANNUS新長田を運営中。 紙屋克子氏らから、NICD:意識障害・寝たきり(廃用症候群)患者への生活行動回復看護を、黒岩恭子氏からは黒岩メソッドを学び、実践するとともにそれらの普及を目指している。

看護師:青木 容子
〈プロフィール〉

看護師経験30年

(病院勤務通算8年、身体障害者施設3年、訪問看護15年、そのほか新生児訪問指導など)

現在は特別養護老人ホームなどで勤務する傍らCANNUS新長田を運営中。

紙屋克子氏らから、NICD:意識障害・寝たきり(廃用症候群)患者への生活行動回復看護を、黒岩恭子氏からは黒岩メソッドを学び、実践するとともにそれらの普及を目指している。

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