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50代で脳梗塞歴あり。不安なので後見人を立てて財産管理をお願いしたいんです

人気司法書士の村山澄江先生が実際に対応したトラブルケースをモデルに、解決法のヒントをお届けします。
※実際に登場する人物・所属・家族関係などはすべて架空のものです。

「独り身なので、また倒れたときに不安…将来の後見人になってもらえませんか?」

キクミミご相談事例:50代で脳梗塞歴あり。不安なので後見人を立てて財産管理をお願いしたいんです

50代で脳梗塞の経験あり…司法書士と任意後見契約を結びたい

これは、子どものいない55歳の男性Hさんからの相談でした。

「数年前に脳梗塞で倒れたときに、一時は意識不明になりました。

その後、奇跡的に回復しましたが、将来、いつまた同様のことが起きるかわかりません。任意後見契約のことを親戚に聞き、自分で調べて司法書士さんにお願いできると知り、相談に来ました」と依頼者。

任意後見契約とは、後見人を任意で立てる制度です。
後見人には、自分の財産管理や日常取引の代理等を行ってもらうことができます。

今回の依頼者のように、子どもや近くに頼れる親族のいないケースでは、信頼のおける知人や友人、もしくは司法書士などの専門家に任意後見人として契約することができます。

司法書士と任意後見契約と死後事務委任契約を締結

Hさんの依頼を受け、当方の司法書士と任意後見契約を締結し、いざというときのために備えました。

任意後見人となった司法書士は、元気な状態から判断能力が低下するときをチェックするため、見守り契約を締結し、月に1回程度の電話で、Hさんが元気かどうかを確認しています。

Hさんが倒れ、万が一亡くなった場合にどうするかは、Hさんに希望を聞き、すべて書面にて死後事務委任契約書に盛り込んであります。

死後事務委任契約とは、文字通り、死後にやってもらいたいこと、例えば葬儀や納骨などをお願いしておく契約です。死後事務委任契約も、任意後見契約と一緒に公正証書で作りました。

自身が死亡したときに連絡してほしい人のリストには仲良しの友達がずらっと並んでいます。葬儀はこんな風に行ってほしいという希望も書いてあります。

もしHさんが倒れたら、任意後見人は家庭裁判所に申立てをし、任意後見監督人が選任され、任意後見契約が発効します。

任意後見監督人とは、裁判所がランダムに選任する監督人で、任意後見人が任意後見契約の内容通り、適正に仕事をしているかを、任意後見人から財産目録などを提出させるなどして、監督する役割を持ちます。
任意後見監督人が選任されてはじめて、任意後見人として活動できるようになります。

任意後見契約が発効した後は、財産管理と身上看護をしていくことになります。

持病などがあり、将来の財産管理に不安がある場合は、任意後見契約を検討することで、安心感を得ることが可能です。子どもや家族、親戚などがいない場合も、専門家などに依頼することができるので、ぜひ検討してみましょう。


解説してくれたのは司法書士 村山澄江先生

司法書士村山澄江事務所 村山澄江先生

村山澄江(むらやますみえ) 先生 プロフィール

民事信託・成年後見の専門家、司法書士
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員
簡裁訴訟代理関係業務認定会員

1979年名古屋生まれ。早稲田大学卒業。
2003年司法書士試験合格。

成年後見の相談者数300件以上。

民事信託と成年後見の専門家として全国でセミナー等行っている。

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