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看護師が優しく教える 不眠症③体内時計を整えて安眠を確保しよう

私たちの睡眠は、自然界の昼夜リズムと体内時計の働きによって導かれています。

しかし、現代社会では「体内時計の乱れ」を引き起こす環境が多く存在するために不眠症が増えていると言われています。

この記事では、「体内時計を整えて安眠を確保するための方法」をお伝えしていきます。

太陽、地球、月
この記事の目次

1.体内時計と睡眠の関係

人間は脳とその他ほとんどの臓器に「体内時計」を備えています。
この体内時計の仕組みはとてもシンプルで、自然界の昼夜リズムに合わせ約25時間の体内リズムをつくっています。
外が明るくて暖かい昼間は活動モードに、暗く寒い夜は休息モードになるようにコントロールされています。
またこの「体内時計」は“活動と休息”や“覚醒と睡眠”の周期だけではなく、自律神経系や免疫系、ホルモン分泌など、身体機能の多くをコントロールしています

では、現代人はなぜ「体内時計」が乱れやすいのでしょうか?
実は、体内時計の『時刻合わせ』で最も影響力の大きいものが「光」です。
現代では、夜遅くまで明るい環境が身近にあり、からだが不自然で不規則な「光」の影響を受けていることで体内時計が乱れてくると言われています。
このほか、「食事」や「運動」も『体内時計の時刻合わせ』に大きな影響を与えています。

睡眠だけでなく、身体機能の重要な役割を果たしている「体内時計」
それではこの「体内時計」を整えるためにはどうしたらよいのでしょうか?

体内時計

2.体内時計を整える3つのポイント

ここでは体内時計を整えるポイントを「」「食事」「運動」の3つに分けてお伝えしていきます。

1.「光」で体内時計を整える

人間の体内時計の周期は約25時間と言われており、1日24時間のリズムと比べ少し長いことが分かっています。この1時間のずれをリセットするために欠かせないのが太陽の光です。
特に朝日に含まれる青色の成分には体内時計を整える働きがあると言われています。

毎朝同じ時間に起きてカーテンを全開にし、たっぷり朝日を浴びるとよいでしょう。

日中もなるべく外出して、太陽の光を浴びることが大切です。
外出が難しい場合には、窓際に座って光を浴びる時間をつくるのがおすすめです。

また、太陽の光だけでなく、照明の強さも関係します。
日中だからと電気をつけず暗い部屋で過ごす方もいます。
昼夜のメリハリをつけるために昼間はカーテンを開け、それでも暗い場合は照明をしっかりつけましょう
夕方以降は照明を落とし、「外が暗くなったよ」とからだに合図してあげるよう工夫しましょう。

陽を浴びる

2.「食事」で体内時計を整える

「腸」や「肝臓」にも体内時計が存在しており、毎日同じ時間に食事をとることで体内時計が整ってきます。
特に朝の食事は体内時計をリセットする効果が大きいと言われていますが、朝食を欠食する人もいるでしょう。また、夜遅くに高カロリーや高脂質の食事をとったりすると、夜間にむけ休もうとしていたからだが混乱し体内時計を乱す原因になります。

朝食は毎日同じ時間にとり、夕食は20時まで、遅くても就寝2~3時間前には済ませましょう
体内時計を整えるためには、食事時間と食事内容を見直すことが大切です。

食事

3.「運動」で体内時計を整える

日中にからだを動かす習慣がある人は、質のよい睡眠を得られるという研究結果があります。
からだを動かすことは心地よい疲労をつくり、自然な休息をうみだします。
また日常の活動の他、「運動」することも心身の健康や睡眠にとって良い効果があります。
しかし運動には覚醒効果があり、取り入れるには時間の工夫が必要です。
夜に運動をする習慣がある場合は、様々なホルモンが活性化するため、睡眠を妨げる原因にもなります。
眠れない方は、日中の活動量や活動時間を見直してみましょう。

運動後の深呼吸

3.安眠をつくる24時間の過ごし方

  1. 朝は同じ時間に起きて、朝日をたっぷり浴びる。
  2. 朝食をしっかり食べる。
  3. 日中は活動的に過ごす。
  4. 日中は明るいところで過ごす。
    日に一度は外出するのがおすすめです。室内で過ごす場合は日差しの入る明るい部屋で過ごしましょう。薄暗い日は照明をつけてからだに光をとり入れるとよいでしょう。
  5. 昼寝は短く15分以内が最適。
    人は本来1日に2回眠る遺伝子を持っています。13時~15時頃にとる15分以内の短い昼寝は疲労回復に最適です。ただし、昼の睡眠よりも夜の睡眠の方が高い疲労回復効果をもっているため、夜に支障がでるほどの昼寝は逆効果といえます。15分程度でスッキリ目覚めるには、昼寝前にカフェインを摂ることもおすすめです。カフェインは摂った後15分程度で覚醒効果が現れてきます。
  6. 夕方以降の室内照明は暗めにする。
  7. 夕食は20時までに済ませる。
    遅い時間に食事をする時は、胃や肝臓の体内時計が混乱しないよう食事内容を軽めにしましょう。
  8. スマホ、パソコンなどのブルーライトは就寝2時間前にはオフする。
    ブルーライトは太陽の光に似ており、就寝前にそれを浴びることで体内時計が乱れることが分かっています。電子書籍と紙の本では読後の睡眠の質に差がでると言われています。
    就寝2時間前はブルーライトをオフする習慣が望ましいです。どうしても必要な場合は、ブルーライトをカットしてくれるシートや眼鏡を利用してください
  9. 就寝前のたばこ、カフェイン、お酒は控える。
    ■カフェイン覚醒作用があり、就寝前に摂取すると体内時計が顕著に遅れることが分かっています。
    カフェインはコーヒーや紅茶が良く知られていますが、実は緑茶の方が含有量が多く気付かないまま日常的に飲んでいる人もいます。就寝前は白湯や麦茶、黒豆茶などに変更するとよいでしょう。

    ■たばこ覚醒作用があり、寝付けない、眠りが浅くなるなどの睡眠障害を引き起こします。

    ■お酒寝つきが良くなるという理由で寝酒をする人がいます。
    お酒を飲むことで緊張が一時的に緩まり寝つきが良くなると思われています。しかしその作用は持続せず、睡眠が浅くなり、途中で目覚めることにつながります。
    就寝前のお酒は睡眠の質も量も低下させ、不眠症を悪化させる原因です。
    お酒以外の方法を試してみましょう。
  10. 就寝前はリラックスした環境をつくる。
    就寝時刻が近づいてくると、体内時計は活動モードからだんだんとリラックス状態をつくり、休息モードに導いてくれています。その働きを後押しする環境づくりが大切です。
    音楽を聴く、香りを楽しむ、ストレッチをする、など自分にあったリラックス方法を見つけていきましょう。
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4.まとめ

私たちの睡眠は「体内時計」でコントロールされています。
現代社会では体内時計が乱れやすい環境にあり、眠れない人が増えています。
「眠れる人」になるためには、積極的に体内時計を整える工夫が必要になってきています。

今回は「体内時計を整えるための3つのポイント」と「安眠をつくる24時間の過ごし方」についてお伝えしました。
正しい情報を得ながら、何が自分にちょうど良く、心地が良いのか、あなたに合った安眠のスタイルを見つけるお手伝いができたら幸いです。

体内時計:e-ヘルスネット(厚生労働省)
・熟睡者:クリスティアン・ベネディクト・ミンナ・トゥーンべリエル著 サンマーク出版



この記事を書いた人

安富由紀子 <プロフィール> 看護師・保健師として、何千人という生活習慣病やその予備軍と診断された方の保健指導や健康教育に携わる。その中で心身共に健康であるためには、「自分が大切にしていることを知ること」「なりたい自分に向かうこと」が重要であることに気が付く。 現在では「健幸ビジョンコンサルタント」として既存の医療では解決できなかった“心から健康で幸せになる方法”を社会に啓蒙するため、個人や企業での健康相談、研修、コンサルティングを行っている。 <クレド> ①指導をしない ②徹底した対話と、感情や意思を引き出す関わり ③クライアント自身の思考や情報取得を尊重して主体性を育む関わり <経歴> 看護師・保健師 専門は生活習慣病予防 (一社)日本ナースオーブ ウェルネスナース (一社)日本看護コーチ協会 認定看護コーチ <講座・執筆> ・治療選択ワークショップ主催・講師(株式会社ぷれしゃす様 ) 「もしもあなたが乳がんになったら」 ・エンディングノート作成講座・講師(株式会社ウィシュレーン様) 「延命治療、あなたの意志の伝え方~家族に重圧を残さないために」 ・ウェルネス講座 講師(一般社団法人日本ナースオーブ様)

安富由紀子

<プロフィール>
看護師・保健師として、何千人という生活習慣病やその予備軍と診断された方の保健指導や健康教育に携わる。その中で心身共に健康であるためには、「自分が大切にしていることを知ること」「なりたい自分に向かうこと」が重要であることに気が付く。

現在では「健幸ビジョンコンサルタント」として既存の医療では解決できなかった“心から健康で幸せになる方法”を社会に啓蒙するため、個人や企業での健康相談、研修、コンサルティングを行っている。

<クレド>
①指導をしない
②徹底した対話と、感情や意思を引き出す関わり
③クライアント自身の思考や情報取得を尊重して主体性を育む関わり

<経歴>
看護師・保健師 専門は生活習慣病予防
(一社)日本ナースオーブ ウェルネスナース
(一社)日本看護コーチ協会 認定看護コーチ

<講座・執筆>
・治療選択ワークショップ主催・講師(株式会社ぷれしゃす様 )
「もしもあなたが乳がんになったら」
・エンディングノート作成講座・講師(株式会社ウィシュレーン様)
「延命治療、あなたの意志の伝え方~家族に重圧を残さないために」
・ウェルネス講座 講師(一般社団法人日本ナースオーブ様)

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