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看護師が解説!婦人科系症状②なぜ痛むの!?女性器特有の痛みを自分でチェック

婦人科系症状②なぜ痛む!?女性特有の痛みを自分でチェック

女性が自分のからだに起きた女性特有の症状を周りの人に相談することは、ハードルが高くありませんか。
また、どのような検査をされるのかわからなくて、病院に受診することも二の足を踏んでしまいがちです。

この記事は、女性が婦人科系の症状を自分でチェックすることで、早めに専門家の診断や治療を受ける手助けとなればと考え、書き始めました。

第2回目は、女性器特有の「痛み」をとりあげます。

痛みは、からだのどこかがおかしいと不調を訴える、大切なシグナルです。
女性が抱える女性器の痛みの種類と原因、その対処方法についてお伝えしたいと思います。

自分自身の、女性の健康を守るために、女性器の痛みに関する知識を深めてみませんか。

この記事の目次

1. 女性が抱える女性器の痛みの種類と原因

第1回目の「どの程度なら大丈夫!?女性の不正出血を自分でチェック」でお伝えした、不正出血の前兆や不正出血とともに痛みが出現することもあります。
女性器特有の痛みの原因はいろいろあります。部位別に考えられる原因は次のようなものです。

1) 外陰・膣に起こる痛み

帯下、外陰部の不潔状態の持続、大腸菌やカンジダ、クラミジアといった細菌などが原因で感染し、痛みが起こります。もともと、膣は卵胞ホルモン(エストロゲン)の働きによってpH3.8~4.5の酸性に保つことで、感染をブロックしています。
ストレスや外陰部の洗いすぎなどによって、膣内のpHのバランスが崩れると病原体が侵入しやすく、感染が起こりやすくなります。
また、50歳以降の女性は卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し帯下が少なくなるため、感染をブロックする機能が低下し、炎症や感染が起こりやすくなります。

その他、性行為時に膣内が傷つくことで、その部分から病原体が侵入し、感染が起こることもあります。

痛みはヒリヒリする感じだったり、排尿時の痛みだったり、下着が擦れることで痛みを感じたりします。かゆみや不正出血を伴うことが多いです。

2) 子宮や卵巣などの骨盤内で起こる痛み

外陰・膣の感染が体内に入り、子宮や卵巣などの骨盤内に感染が広がり、痛みが起こることがほとんどです。
どちらかというと性成熟期である40歳前半までの女性に多いのですが、婦人科系の手術をしたことがある女性にも起きる可能性は高いと言われているため、50歳以降の女性でも起こります。

下腹部や感染している部位を押さえると痛みを感じます。骨盤内に感染が広がっているため、腰や背中に痛みを感じたり、37.5度以上の発熱、悪寒戦慄、頻尿、悪心嘔吐などの症状も伴ったりすることが多いです。

その他、卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用が黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用よりも強いことで起こる、子宮内膜症、子宮内膜症が原因で起こる卵巣腫瘍、子宮筋腫、子宮腫瘍といった病気が原因の痛みもあります。

月経前の前駆症状として下腹部痛が強かったり、月経痛も強かったり、月経量が多かったりすることが特徴です。ただし、閉経を過ぎると卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌は減少するため、子宮内膜症の症状は起こりにくくなったり、子宮筋腫が小さくなったりすることもあると言われています。

3) その他の原因による痛み

ストレスや不安など心理的な要因で、婦人科系の痛みのように感じることもあります。また、坐骨神経痛が強くて、外陰に痛みを感じることもあります。

お腹を押さえる女性、腹痛、腹痛に耐える

2. 痛みを自分でチェックする方法

痛みは軽いものから激痛を感じるものまでさまざまです。
激痛を感じるものは緊急性の高い病気が考えられますが、性格や今までの経験によって痛みの感じ方は人それぞれです。
痛みの程度と病気の重症度が必ず一致するとは言い切れないため、いつもと違う痛みや何度も繰り返す痛みがある時は、病院を受診しましょう。

もしかすると、病院を受診することが恥ずかしかったり、月経が終わると痛みがなくなるため忘れてしまったり、受診せずに過ごす方もいるかもしれません。
しかし、感染が長期化すると卵管の閉塞などが起こり、不妊や子宮外妊娠、流産や早産、母体経由で赤ちゃんに感染するといった原因につながります。さらに骨盤内から肝臓など他の臓器に感染が広がると重症化し、命に関わる状態になりかねません。

痛みは、からだのどこかがおかしいと不調を訴える、大切なシグナルです。放置しないで受診するようにしてください。

病院を受診する時に、一般的に聞かれる質問は次の通りです。これらの質問をもとに自分でチェックしてみましょう。

①痛みの部位や種類の状況
  • 部位はどこか?
    ・下腹部痛み
    ・腹痛
    ・その他
  • 痛みはどれくらいか
  • 痛みの持続時間はどのくらいか
    ・持続している
    ・何分かごとに痛む
    ・腸の蠕動運動と一致する
    ・その他
  • どのような時に痛むのか
②その他の症状
  • 性器出血はないか。あれば程度と性状はどうか
  • 吐き気や嘔吐はないか
  • めまいやふらつきはないか
  • 動悸はないか
  • 全身倦怠感や全身脱力感はないか
③産婦人科の病院や検診の経験
  • 子宮や卵巣の病気をしたことがあるか
  • 子宮や卵巣の病気で手術をしたことがあるか
  • 性感染症に罹ったことがあるか
  • 子宮頸がんや対がん検診は受けたことがあるか
④月経歴や妊娠歴、出産歴
  • 初経の年齢はいつか
  • 月経周期は何日か
  • 最近の月経は何月何日から何日間あったか
  • 月経痛の程度はどうか
  • 月経痛と現在の痛みは関係があるか
  • 月経の量はどの程度か
  • 妊娠の回数、出産の回数は何回か
⑤生活習慣など
  • 食事は規則的か
  • 運動習慣はあるか
  • ストレスがあるか
  • 以前または現在、治療した(している)病気はあるか
  • 薬は服用しているか、服用している場合どのような薬か
  • 経口避妊薬を服用しているか
  • アレルギーはあるか

痛みがある場合、痛みの原因を特定するために検査や処置が行われます。第1回目の記事に「婦人科系の検査をスムーズに受けるコツ」を紹介していますので参考にしてください。

また、検査や処置、診察を待つ間で一番心配なことは、激痛でショック状態に陥ることです。痛みがひどくて、からだがしんどい時は我慢しすぎず、看護師や事務員の方へ相談してください。できるだけ痛みが楽になる姿勢で過ごせるようにお手伝いしたり、診察の順番を考えたりしてくれるはずです。

痛みの度合い、痛みの段階

3. 日常生活で気をつけるポイント

痛みの原因は感染で起こることも多いため、日常生活に一つでも取れ入れて女性特有の痛みを予防できればと思い、注意事項を書いてみました。

1) 清潔を保ち、感染を防ぐ

  • 外陰は香料や刺激の強い石けんは避けて、優しく洗いましょう。
  • 通気性のよいもの、締めつけが強くない下着を身につけましょう。
  • 排便の後は前から後ろに拭きましょう。
  • 生理用ナプキンやタンポンは定期的に交換し、長時間使用することは避けましょう。
  • コンドームをつけない状態の性交渉は避けましょう。

2) ホルモンバランスが崩れないように、生活習慣を整える

  •  趣味やヨガ、瞑想を取り入れみてはどうでしょうか。
  • 適度な運動を取り入れて、骨盤底筋を鍛えましょう。
  • 長時間座りっぱなしはやめて、骨盤の血流を改善しましょう。
  • 質の良い睡眠を確保しましょう。
  • 栄養バランスのとれた食事を心がけて、免疫力を維持しましょう。

3) 異常がないか確認する

  • 年に一度は婦人科健診を受けましょう。
  • 定期的に自分で外陰や膣の状態を触って、異常がないか確認しましょう。

4. まとめ

  • 女性器の痛みは、感染症や卵胞ホルモンの影響、ストレスによって起こります。
  • いつもと違う痛みや何度も繰り返す痛みがある時は、病院を受診しましょう。放置してしまうと、不妊などにつながる可能性があります。
  • 常生活の中で、清潔を保つこと、ホルモンバランスが整うよう生活習慣を整えることなどによって、痛みを予防することにつながります。

次回は、分泌物を自分でチェックすることをお伝えします。

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この記事を書いた人

看護師:山田かおり 経歴〉 看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務) 看護教員養成研修 修了  認定看護師教育課程(認知症看護) 修了  医療安全管理者養成研修 修了  認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了 〈講座〉  認知症ケアに関する講座 多数  未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

ヤマダ カオリ

〈プロフィール〉
親に勧められ、自分が希望する心理学への道をあきらめ、看護学校に入学し、病院に就職する。周りの同期のように看護が楽しいと感じられず、私のしたいこととは違うと思い続け、「看護師は向いていない」と悩みながら3年間 病院で勤務後、退職する。事務職に転職しようとパソコンや簿記を学ぶが、25歳では事務職への転職は難しく、生活のために看護師に復帰する。

復帰後はマンネリ化した機能別業務に、再度「看護師は向いていない」と感じる日々が続いていた頃、関連病院で病床数増床のため看護師を募集していることを知り、心機一転すれば看護の楽しさがわかるのではと思い、異動を希望し、上京する。上京した病院で、自宅で最期を迎えたいと希望する患者や家族への退院指導の難しさと充実感を知り、新人教育担当として新人看護師が日々成長していく姿に励まされ、5S活動やQCサークル活動を通じて業務改善に手ごたえを感じるなど、看護師を続けたいと思えるようになった。それからは、自分の興味の赴くままに学びを深め、特に認知症に関する知識や技術を身につけ、「その人の行動の意味することは何か、生活歴を通して気づく看護の楽しさ」を伝えたいと思うようになった。
現在は、「看護が楽しい」と感じる仲間を増やしたくて、看護学校で看護教員をしている。

〈経歴〉
看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務)
看護教員養成研修 修了
認定看護師教育課程(認知症看護) 修了
医療安全管理者養成研修 修了
認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了

〈講座〉
認知症ケアに関する講座 多数
未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

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