適応障害の症状があると、仕事や生活に支障をきたす可能性があります。
いつもならできる仕事量でも、心と体に不調があると負担に感じることがあります。
しかし、生活をしていくうえで仕事は切り離せません。
体調に応じた仕事量や勤務時間を調整することで就労を続けることも可能です。
ここでは、適応障害と診断されたら仕事をどのように調整するかについてご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
1.環境調整と治療を優先に
適応障害と診断されたら、一番先に行うことは環境調整です。
適応障害は特定のストレスが原因で発症するため、ストレスとなる原因を除くことで症状は改善します。
特に仕事がストレスの原因であれば、上司に相談してストレスの原因から遠ざけてもらえるよう配慮をしてもらうことも必要です。
もし、ストレスの原因が直属の上司の場合は、その上司以外の管理職に相談するという選択もあります。
同じ部署の管理職に言いにくい場合は、会社の人事部に相談して対応してもらいましょう。
必要があれば、一定期間お休みを申請して心身を休める時間を確保します。
こうして、環境を整えて症状を和らげることで自分を整えていくことに集中します。
つぎに、内服治療で症状を改善していきます。
主治医と相談しながら、内服の量や用法にしたがって服用していきます。
他にも、認知療法やカウンセリングで自分の陥りやすい思考パターンに気付き、解決方法を見つけるという治療法もあります。
このように環境調整や内服治療などを併用して心と体の不調を改善していきます。
2.同じ職場で働き続けるために
適応障害と診断されたとしても、症状が軽い場合は働き続けることも可能です。
しかし、無理は禁物です。
適応障害は、外見では見分けがつかないという特徴があります。
そのため、まわりからは大丈夫と判断され通常の仕事量を依頼されることが想定されます。
適応障害の症状が出ている状態で働き続ける場合、職場のスタッフにも理解や配慮をしてもらう必要があります。
業務や環境を調整するためには、職場の上司や産業保健スタッフ、人事部に協力してもらう必要があります。
環境や業務を調整することで、適応障害と診断された後でも症状や体調を見ながら無理のない範囲で働くことが大切です。
①業務量を調整する
適応障害の原因が多忙からきているのであれば、業務量を減らせないか上司や同僚に相談をしてみましょう。
業務量を減らすことができない場合は、今日の業務を優先的に行い、翌日に持ち越せる業務は無理をせずに持ち越しましょう。
業務量が多いと、時間に追われ焦りと緊張で空回りする可能性があります。
忙しいときほど、深呼吸を行うなど緊張をほぐして仕事に取り組みましょう。
②職場環境を調整する
職場環境とは通勤や職場の配置や人間関係も含みます。
職場環境が原因であれば、環境調整を行う必要があります。
・可能であれば在宅ワークへ切り替える
・時短勤務といった勤務時間の調整
・席の位置
などストレスの原因となっている環境について、上司と話し合って仕事がしやすい環境を作っていきましょう。
③業務内容を変える
業務の内容がストレスの原因となっている場合は、担当業務の変更を検討しましょう。
・業務の分担を変更する
・業務を日替わりで行う
・部署移動を申し出る
などがあげられます。
ここで注意したいことは、業務が変更したことで他の業務を担当することになり、新たなストレスになる可能性があるため無理のないように調整していきましょう。
④自分に合ったストレス対処法を見つける
心と体が不調だと、さまざまな場面でストレスを受けやすくなります。
まず、充分な休息と規則正しい生活をすることを最優先にしましょう。
よくあるストレス対処法として、リラクゼーション・ウォーキングなどの軽い運動・映画鑑賞などの趣味が挙げられます。
ご自身にあったリフレッシュ方法を日々の生活に取り入れるとストレスからの回復が早くなります。
3.症状が強い・疲れが抜けない場合は休む
仕事をしていると、どうしても無理をしてしまいます。
適応障害の人だけでなく、健康な人でも同じことが言えます。
仕事をしている途中でも、つらいと感じた場合はその場を離れて休憩を取りましょう。
さらに、適応障害の人は朝起きるときにつらい症状に悩まされることがあります。
つらい症状を抑えながら出社することも多いと思います。
どうしても、つらい場合は仕事を休みましょう。
無理をすることで、症状が悪化する場合もあります。
症状は無理をした結果、体に不調をきたしているサインです。
心と体を休めてあげましょう。
4.転職を検討する
スタッフが少なくて業務量が調整できない。
同じような理由で、環境調整が配慮できない。
などの理由で、同じ職場で働くことが難しいと感じたり、思うように働けなかったりした場合は退職や転職を検討するのもひとつの方法です。
適応障害は、改善する病気ですが環境によっては再発・悪化することもあるため、転職する場合は雇用の条件など確認する必要があります。
注意したいことは、転職も新しい環境に変わるため新たなストレスの引き金になる可能性があるためご家族や主治医へ相談しながら慎重に判断しましょう。
5.まとめ
生活をしていく以上、仕事は切り離せません。
適応障害を発症する原因のほとんどが、職場環境や人間関係といわれています。
職場の上司や同僚へ相談し、業務量や関わるスタッフの配慮をしてもらうことは大切です。
そして、なによりも大切なのは自分の心と体を整えることが大切だと考えます。
適応障害の人は、つい厳しい道を歩む癖があります。
体調が悪いときくらい、周りの人に甘えてもいいのではないでしょうか。
引用・参考文献
LITALIKO(りたりこ)仕事ナビ
・適応障害の治療方法は?治療と仕事を両立するポイントを説明します
・手公生涯になったら仕事はどうする?休職・復職・転職を考えるときのポイントを解説
この記事を書いた人
渡邉 加代子
【プロフィール】
看護師歴24年目。
これまで急性期(整形外科・外科・脳外科・内科・循環器)病棟での勤務を経験。
2016年に現在の職場に転職し、回復期リハビリテーション病棟は配属となる。
2019年から栄養サポートチームに所属し、各専門職と協力して週1回、入院患者様の栄養ケアを行っている。
今後は、退院先での適切な栄養ケアが継続できるようにパンフレットの作成や地域高齢者を抱えるご家族への栄養相談や講座の開催を考えている。
【所属】
一般社団法人 日本ナースオーブ所属 ウェルネスナース
【執筆】
食と健康について考えるブログ/note
【講座】
Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座