何が原因かわからず、治ってはまた繰り返す蕁麻疹に悩まされている方は多いと思います。
蕁麻疹の根本的な原因は様々ですが、原因をわからないまま放置すると、蕁麻疹が起きやすい体質に変化してしまうため、早めに対策することが重要です。
そこで今回は、しつこい蕁麻疹を解決するための原因と対処法をお伝えします。つらい蕁麻疹は早めに手を打ちましょう!
この記事の目次
1.蕁麻疹とは?
蕁麻疹とは、盛り上がった発疹が皮膚の一部、または何か所にも現れる症状です。円形、地図状と表現をされますが、蕁麻疹の形に本質的な意味はありません。
蕁麻疹は、夕方から夜間にかけて症状が出やすい傾向があります。「何だか痒いなぁ」と思って見ると、蕁麻疹だったということは、誰でも一度はあるのではないでしょうか。
蕁麻疹は発疹と同時にがまんができないほどのかゆみを伴いますが、人によってはチクチクと焼けるような感覚もあります。
多くは数時間から数日で軽快し、痕が残ることはありません。
しかし、悪化すると呼吸困難などアナフィラキシーショックの症状に移行する場合がありますので、原因物質によっては命にもかかわるとても危険な症状です。
蕁麻疹という名前の由来
蕁麻疹という名前は、イラクサの葉に触れた時に起こる症状が由来だといわれています。イラクサの生薬名は「蕁麻(じんま)」と呼ばれます。イラクサの葉には刺毛があるため漢字では「刺草」と書きます。
2.蕁麻疹の原因
蕁麻疹はかゆみの原因物質であるヒスタミンが、体内に放出されることで毛細血管が変化し、発症します。発症の原因物質としては、食物や植物、薬品などによるアレルギーによるものや病気が関係していることもありますが、疲労やストレスなど、複数の原因が重なって発症することがあるため、原因を特定することは難しいのが現状です。
表に蕁麻疹の原因物質の一例をあげていますので参考にしてください。
3.蕁麻疹とストレスの関係
就職や引っ越しなど人生の転機となる場面や、新しい生活リズムに馴染むまでの間に、蕁麻疹を発症した人もおられると思います。
私の娘も同じく、高校に入学して、クラブ活動で連日帰りが遅くなった週末の夜に、地図のような盛り上がった蕁麻疹が太ももに出ることが何度かありました。
しかし、学校生活にも慣れて、意欲的にクラブ活動に参加するようになってからは、蕁麻疹を発症することはなくなりました。
このようなことから、身体に疲れが溜まり、心理的に大きな負担を感じている時に蕁麻疹を発症することがあります。それが、反応閾値と自律神経との関係です。
それぞれについて説明します。
①反応閾値
心理的な負担は、「反応閾値」といって、行動を起こすために必要な刺激量の限界値のことです。
反応閾値が低い場合は、ストレスを感じやすく、感情が内臓の機能に顕著に影響されます。一方、反応閾値が高い人は、出来事に対して反応することが少ないため、他人に言われたことを気にしない、細かいことを気にしないということになります。
部屋が汚れていても気にしないということになりますから、どちらが良いか、悪いかということではなく、物事に対して適度に柔軟に対応できるほど、疲れがたまりにくくなるのではないかと思います。
②自律神経
ストレスのたまった状態が長期に及ぶと、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが乱れて、胃腸の働きが鈍くなります。
胃腸の働きが弱まると、栄養の吸収や代謝が追い付かずに、免疫系が影響され、皮膚のバリア機能の低下、便秘、眠りが浅いなど、皮膚にとっても悪影響を及ぼすことになってしまいます。
自律神経が乱れている時には情緒が不安定になりやすく、暴飲暴食、夜更かしなどが増悪因子となる場合があります。
ストレスを自覚していない状態でも、身体からのメッセージが蕁麻疹として現れている可能性があります。「つかれているなぁ…」「ストレスが溜まっているかもしれない…」
そう感じた時は、身体のメッセージを素直に受け取り、無理をせず休養をとるようにしましょう。
それでも、蕁麻疹があらわれた場合は、次にお伝えする対処法を行うと悪化を予防することができます。
4.蕁麻疹の対処法
蕁麻疹の原因物質が分かっている場合は、原因物質を取り入れないように気を付け、ストレスを溜めないようにすることで蕁麻疹の発症や悪化を予防することができます。
慢性的な蕁麻疹は、夕方から夜に出現することが多く、たいていは数時間、遅くても数日以内に痕を残さず治ります。
しかし、かゆみを我慢できずに掻きむしってしまうと、その刺激がかゆみをより強くし、ただれや出血を伴い、悪化する可能性があります。
そのような状態になる前に、蕁麻疹が現れた時は、次にお伝えするケアをお勧めします。
①かゆみがある時
蕁麻疹に気づいた時は、冷たくした濡れタオルや保冷剤をタオルで包み、かゆみの部分に当てると次第にかゆみが治まります。タオルや保冷剤が、体温で温まってきたら交換しましょう。
②かゆみが我慢できない時
市販のかゆみ止めの軟膏があれば使用しましょう。塗ったあとにポンポンと軽くはたくようにすると、効果が出るまでにかゆみを我慢することができます。
③掻いて悪化した場合
ただれ、出血した場合は市販のステロイド軟膏を塗ると良いでしょう。その際は必ず薬剤師に症状を伝えて症状に合った強さの軟膏を選ぶことが必要です。
2~3日経過を見て悪化している場合は必ず皮膚科を受診するようにしましょう。
④発疹やかゆみ以外の症状
蕁麻疹の症状で、発疹やかゆみだけではなく、まぶたや唇、顔全体が腫れて、呼吸が苦しくなってきたという場合は早めに受診をするようにしてください。
5.まとめ
私たちの心と体は、見えないところでつながっています。内側で感じていることが外側で蕁麻疹になって現れた、と考えると、物事に対する考え方や、無理していた自分を振り返ることができると思います。
身体が教えてくれる大切なメッセージを受け取り、自分を大切にする気づきにして頂くと、おのずと自分なりの対処方法を考えられるのではないかと思います。
この記事を書いた人
福井三賀子
<プロフィール>
小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。
同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。
結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。
在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。
現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。
<経歴>
看護師経験20年。
外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来)
介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム)
介護支援専門員6年
<資格>
看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター
<活動>
講座「更年期は黄金期」
ブログ「幸せな更年期への道のり」
メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」
スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」
動画配信YouTube「看護師mikakoの更年期チャンネル」