
健康で生活するために必要不可欠な睡眠。しかし、多くの日本人に睡眠不足の傾向があり、その原因として現在の生活スタイルの影響があります。仕事や勉強に追われる、ついついゲームやSNSに没頭してしまうなど、気が付けば睡眠の時間が奪われています。短くなりがちだからこそ、貴重な睡眠時間をより良いものにしたいですね。こちらでは心地よく眠れる5つのポイントについてお伝えします。
この記事の目次
1.心地よく眠るための準備
睡眠は個人差が大きく、睡眠の質を良くする方法は人によって異なります。
しかし、睡眠の質に影響を及ぼす習慣は明確です。寝不足かな?と感じられている方は、当てはまるものがないか確認してみましょう。
厚生労働省のe健康作りネットには睡眠チェックシートがあります。
日々の睡眠時間が記録もできるので、記入してみると睡眠時間の短さに驚くかも知れません。自分の睡眠時間を見える化するためにも、ご活用下さい。 睡眠チェックシート(コチラ)
睡眠の質を改善するには、まず自身の睡眠について意識することが最初の一歩になります。
自分の睡眠時間を確認し、その短さに「これはマズイかも」と思われた方は、先ず睡眠の量を増やしましょう。普段より30分早く布団に入り、一週間の合計睡眠時間を増やします。
その一週間で、健康状態や気分、仕事のパフォーマンスにどんな影響があったのか振り返ってみてください。
ただし、仕事をリタイヤした方など自由になる時間が増えたリタイヤ世代は、無理に睡眠時間を増やすと逆効果になる場合もありますので、ご注意下さい。
2.心地よく眠るための部屋づくり
よい眠りに必要な環境に重要なものは、主に光・音・温度です。
①光
睡眠にはホルモンのひとつであるメラトニンが影響しています。
メラトニンは、光の影響を受けて昼間は少なく、夜間に多く分泌され体内時計の役割を担っています。21時頃から分泌され、身体をリラックスさせて休息モードに切り替えます。
体温や血圧を下げて眠る準備を促しますが、強い光が目に入ると分泌が抑制され眠る準備ができません。
また、明るい光そのものには覚醒を促す作用もあるため眠気が覚めてしまいます。
夜間のリビング照明には電球色が好ましく、間接照明も効果的です。
落ち着いた雰囲気のあるレストランを参考にして下さい。
また、寝室の窓から外の光が漏れるお宅では遮光カーテンを活用しましょう。
夜間トイレに行かれる際に歩くとき不安な方は、寝室出入り口付近やや廊下に人感センサーを設置するのもよいでしょう。
②音
人間の耳は眠っている間も聞こえています。特に人の話し声は気になりやすいです。
ご家族との生活リズムが合わないなど、静かな環境が確保できない時は耳栓を使ってみましょう。
③温度
暑くても寒くても眠りにくいものです。
睡眠に適した室温は、夏23~28℃、冬18~22℃で、体温調整のために夏でも寝具を一枚かけて眠れる温度が最適です。朝まで一定の温度を保ちましょう。
冬場は空気の乾燥が強いため湿度の調節(50~60%)も必要です。
エアコンを使用される場合、風が直接身体にあたらないように寝具の位置を調整します。
また、廊下やトイレとの温度差が大きいと入眠の妨げになるだけでなく、身体への負担も大きいためご注意下さい。
3.心地よく眠るための寝具
寝具は睡眠中、体内時計によって変化する体温の調整を助け、体圧を分散させて快適な姿勢をサポートしてくれます。
ベッドや布団などいろんなタイプの寝具がありますが、吸湿性・放湿性に優れ、自分に合った硬さのものを選びます。洗いやすく、清潔に保てることも重要ポイントです。
季節によって気持ちのよい寝具を選びましょう。
寒い冬、掛け布団を重ね過ぎると、重くて寝苦しくなりリラックスできないので注意が必要です。
枕選びは特に重要です。高さや、硬さ、形、素材など多種多様な製品があります。
合わない枕は、首に負担がかかり身体への負担も大きくなります。
枕専門店もあるので、是非最高の自分枕を見つけて下さい。
寝衣は、首やお腹周りを締め付けないもの、生地の肌触りや吸湿性・収縮性などで選びましょう。季節ごとにお気に入りのパジャマを着るだけで、心も体もリラックスできます。
4.心地よく眠るための食事
①夕食の時間と内容
よい眠りのためには就寝4時間前に食べ終わるのがよい、と言われています。食事直後は胃腸が活発に動き深部体温が上昇するため、眠りが浅くなります。
夕食に何を食べるかも睡眠に影響します。
夕食に糖質や脂質が多いと入眠に時間がかかり、食物繊維を多くとると寝付きがよいようです。
仕事の関係で食事が遅くなる方は、お昼にしっかり食べて夕食を軽くするなど、食習慣を変更することも考えてはいかがでしょうか。
②飲み物
眠気覚ましにコーヒーなどを飲む習慣はありませんか。コーヒーに含まれるカフェインが眠りを妨げることは広く知られていることです。
カフェインの覚醒作用は摂取15分頃から出現し、最大効果は30~60分、効果が半減するには2~8時間かかるようです。
利尿効果もあるため、カフェイン摂取はできれば18時までが理想です。
カフェインを含む飲み物には、緑茶・ほうじ茶・コーヒー・紅茶・ココアなどがあります。どうしても飲みたいという方はカフェインレスの製品がよいでしょう。
麦茶・ルイボスティーにはカフェインが含まれていません。
睡眠導入のためにアルコールを飲まれている方もいらっしゃると思います。
アルコールを摂取すると、眠りにつくまでの時間は短縮されますが、中途覚醒を起こし、その後再び眠りにつきにくくなります。
利尿効果もあるためトイレに起きるなど、結果的に睡眠の質を下げることがわかっています。適度な量(ビール500ml、日本酒1合・ワイン2杯程度)を夕食時にたしなむのは問題ありません。
5.心地よく眠るための生活習慣
よく眠るためには日中の過ごし方が大切です。朝同じ時間に起きて太陽の光をしっかり浴びる、ほどよく身体を動かすなど規則正しい生活習慣を心掛けます。
入浴は就寝2~3時間前に38度のぬるめのお湯で25-30分、42度の熱めのお湯なら5分程度が良いとされてます。体温を上昇させることで眠りを助けてくれます。
眠る前に毎日行う行動は入眠儀式といいます。
歯磨き、着替え、読書、瞑想など一連の行動を毎日同じ順序とテンポで行うことで、脳が睡眠の合図として認識し、自然な眠りに繋がります。
横になったらゆっくり呼吸することに意識を向けると、全身がリラックスできます。
是非入眠儀式の仕上げに加えて下さい。
まとめ
睡眠は些細なことに左右されます。子どもやパートナーと同じ部屋、同じ寝具で眠ることは、お互いの睡眠に影響を及ぼします。良い睡眠環境も個人差があるため、お互いに思いやりを持って誰にとっても快適な睡眠環境を作りたいものです。
悩みや不安、心配ごとなどで簡単に眠れなくなったことは誰もが経験することです。睡眠の大切さは、眠れなくなってはじめて感じるのかもしれません。この記事をきっかけにご自身の日頃の睡眠を見直すきっかけになり、心地よい睡眠がみなさまの健康の一助になれば幸いです。
参考:厚生労働省e健康づくりネット
柳沢正史、快眠法の前に今さら聞けない睡眠の超基本、朝日新聞出版、2024
この記事を書いた人
看護師:青木 容子
〈プロフィール〉
看護師経験30年
(病院勤務通算8年、身体障害者施設3年、訪問看護15年、そのほか新生児訪問指導など)
現在は特別養護老人ホームなどで勤務する傍らCANNUS新長田を運営中。
紙屋克子氏らから、NICD:意識障害・寝たきり(廃用症候群)患者への生活行動回復看護を、黒岩恭子氏からは黒岩メソッドを学び、実践するとともにそれらの普及を目指している。