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テーマ:皮膚と臭いのトラブル対処法!

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大腸がんにより、ストーマを造設することになり、生きていくうえでストーマと付き合っていくようになる人は近年、増加の傾向にあります。

公共施設や、大きいショッピングセンターにもオストメイト対応トイレが設置されているのを見るようになりました。数年前には、探さなければいけなかったのに今ではトイレの横に併設されているのが、当たり前になっているように思います。オストメイトの正確な人数は把握されていませんが、身障者手帳の交付数から永久ストーマ保有者は21万人いると推計されています。

病棟看護師としてストーマ造設直後の悩みから、訪問看護師としてご自宅で生活するうえで患者様本人や、ご家族が管理を行えるようになるまでのお手伝いや、皮膚のトラブル、臭いについての困りごとなどに寄り添って対応した経験から、トラブル対処法について学んだことをお伝えしていきたいと思います。

口を開けている手

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この記事の目次

1.ストーマの皮膚トラブルについて

ストーマを造設後は、お腹の穴から排便します。普通は肛門から出る便が、お腹に穴をあけて造った場所から排便するようになります。肛門と違い、「我慢して便を出さないようにする」といったことが出来なくなります。つまり、「所かまわず出てしまう」という状態になるため、常に袋状のパウチを着けていないといけなくなります。

このパウチを着けることにより、ストーマ周辺の皮膚に起こるトラブルがあります。すべての人にトラブルが起きるわけではありませんが、今まで何もつけていなかった部分に24時間365日パウチを装着していなければいけなくなるため、トラブルが起きやすくなります。

【皮膚トラブル:皮膚炎の原因】

  • 接触性皮膚炎:便や尿に含まれる消化酵素や細菌が皮膚にダメージを与えます。特に水様便はアルカリ性で消化酵素を多く含むため、短時間で皮膚障害を起こすことがあります。
  • 機械的外傷:装具(パウチなどのこと)の剥がし方が粗雑だと皮膚を傷つけてしまうことがあります。
  • 感染:不十分なケアや、皮膚の保護剤がはがれてしまうと細菌感染を起すことがあります。
  • ストーマの種類や排泄物の性質:小腸(回腸)ストーマは大腸(結腸)ストーマよりも皮膚障害を起こしやすい傾向があります。小腸(回腸)ストーマは便の水分が多く、漏れやすくトラブルも起きやすくなります
  • そのほかの原因:ストーマ周囲にシワやくぼみがある場合、装具が密着しにくくなり、排せつ物が皮膚に触れてしまうことで炎症を起こします。
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2.皮膚トラブルの対処法

トラブルの原因を突きとめることが大切です。原因が分かれば対処法が見いだせますが、原因は個々の生活習慣や、食生活や行動により様々です。本人は気づかないこともあるので、対処法を試したうえで難しい場合には専門家へ相談して特定しましょう。

 

【対処法】

  1. パウチの着脱方法を丁寧にします。粘着力が強いので専用の剥離剤を指の腹でそっと隙間に滑らせていく感じで剥がします。ただれていると痛みが増すので、少しずつ行います。また、入浴時に体を洗い、そのまま剥離剤を使うのも効果的です。お湯や水だと痛み刺激が増すので人肌よりもややぬるめの微温湯がお勧めです。
  2. 便漏れが起こりやすい方向を剥がしたパウチ面から確認し、剥がれるまでの時間を計算して、交換するタイミングを短くしてみることも効果的です。
  3. パウチ内のガスの貯留や、便の貯留状況を見てこまめに中身を処理する。パウチの内側に便が潜ってしまうと、皮膚のただれの原因になるので、袋内に便やガスが溜まっていないかをこまめにチェックして、袋内に溜まるのを少なめに抑えてみるのも効果的です。 

私が訪問看護師として介入していたAさん(68歳 男性やせ型 身長168㎝ 体重51㎏)の場合は、原因はやせすぎによるパウチの装着面の密着ができていなかったことです。

回腸ストーマで、便の性状は水様便でした。パウチの接地面を温めて装着しても、瘦せて窪みがあることでパウチ面が密着できずに剝がれやすく、隙間から便が染み込んでパウチが外れ、ストーマ周囲の皮膚がただれてしまいました。

私が当番の日だったのですが、1~2時間おきに緊急コールがあり、丁寧に処置しても漏れてしまい、ただれている部分にパウチの装着が出来ず、おむつを当てて一晩耐えたことがあります。便が付着したままにしていると、皮膚のただれを悪化させるため、便を落とすために微温湯で洗浄しなければならず、我慢強いAさんでしたが洗浄時に痛みにこらえきれずに声が漏れるほどでした。

翌日までおむつで対応して一晩、腹部に便が付着する気持ち悪い状況を耐えることしかできなかったのですが、WOCナース/皮膚・排泄ケア認定看護師に相談してパウチの種類を変更し、さらにはストーマ周囲の窪みを保護剤でフラットな状態にするとパウチの固定を安定させることができるようになりました。と言っても、その状態に皮膚が戻るまでに10日ほどかかっています。その間、漏れる度に昼夜関係なく緊急コールで駆けつけていました。同じ日に3回駆けつけた時は、答えの出ない迷路に迷い込んだ気分でしたが、時間とともに解決できた時はAさんと一緒に喜んだのを覚えています。

ケーキを切っている手

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3.ストーマの臭い、その対処法 

        

先にも述べましたがストーマは便が出るところです。生き物は食べれば排便します。便は、どんな生き物でも臭いものです。しかし、肛門からの排便の場合は、体の後ろ側に出口があるため、臭いもあまり気になりませんが、ストーマは下腹部のため、臭いはまっすぐ自分自身の鼻に香ります。ストーマがある人は、周囲に迷惑をかけていないだろうかと不安になります。

また、臭いの元が自分自身から発したものだと気づかれたくないという心理状況にも陥ります。それは、ストーマでなくとも同じだと思います。他者から「くさい」と思われたくないのは当たり前の心理です。

対処法として、食事の内容や食べ方に気を付けることで臭いを軽減することが出来ます。また、物理的な対策法もご紹介します。*1

【食事で対処できること】               

1.匂い対策

  • 匂いの強くなりやすいもの:ニンニク、ネギ類、ニラ類、アスパラガス、卵、魚など
  • 臭いを和らげる食品:セロリ、パセリ、ヨーグルトなど

2.ガス対策

ガスの主な原因は、食事をする際に食べ物や唾液と一緒に口の中に入ってしまった空気、消化されなかった炭水化物で腸内細菌が活動することによって発生したガスです。

  • 空気を多く飲み込まないようにする対策:
  • ストローを使用しない
  • 話しながら食事をしない
  • 食事はゆっくりとよく噛むようにする
  • ガムをかむのは控える
  • 喫煙を控える
  • ガスの発生が促進される食品:アルコール、炭酸飲料、キャベツ、チューインガム、ニラ類、イモ類など

【物理的な対処法】

基本的には、装具は防臭素材でできていますので、漏れなければ匂わないようになっています。

  • 装具を適切に使用する。
  • 排せつ物を処理するときに衣類などに跳ねて、汚れが付着して臭いが残らないようにする。
  • 排泄物をスムーズに処理できるように袋内に潤滑油や消臭剤を使用する。
  • ガス抜きも同様です。ガスが出るときはどうしても跳ねやすくなるので、便器内になるべく近づけて処理する。

     

4.まと

 皮膚のトラブルは、悪化してしまうと回復に非常に時間がかかります。ストーマ造設したばかりで自身での管理が難しい方が多く、退院前に管理方法を指導してもらっても、なかなかうまくパウチの交換が出来ない、トラブルがあると対処しきれずに困ってしまう、という方も多かったです。

そんな方々に訪問して指導、処置を行っていました。ストーマの種類にもよりますし、体力、消化機能の状態でも排泄物の状態が違い、ただれやすい人と、そうでない人の差は大きく、みんなひとくくりにはいかないことを痛感しました。しかし皆さん、必ず良くなります。悪くなって、良くなって、を繰り返すこともありましたが、出口は必ずあります。どれほどひどくなっても回復できることを目指してお手伝いするので、心配なことがあるときには尋ねると良いと思います。

参考文献  ストーマとともに暮らす・支える|食事/NPO法人ストーマ・イメージアップ・プロジェクトSIUP

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この記事を書いた人

看護師:栗巣正子 <経歴> 看護師歴 23年  大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。 離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務 大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。 現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録 <資格> 正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)

看護師:栗巣正子

<経歴>
看護師歴 23年 
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。

離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務

大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。

現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録

<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)

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