目次

WHO警鐘!医療格差ってなに?その原因4選

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「医療格差」に直面したことはありますか?私は今まで生きてきた中で、医療が受けられなくて困ったという経験をしたことがありません。

この記事を読んでくださっている皆様の大半は、私と同じかと思います。日本では保険証を持っていると、医療費の支払いを大幅に割り引かれるため、経済的な負担は小さく済みます。

ほとんどの地域には、最寄り駅や近所に医療機関があります。また救急対応ができる病院も近隣にあるため、受診したい時にすぐ受診することができます。このように日本に住むと、当たり前に医療を受けることができます。

しかし、様々な理由で医療を受けることができない方がたくさんいます。WHO(世界保健機関)が2017年発表したデータによると、世界人口の約半数が基本的な医療を受けられていないということが明らかになっています。WHOは「全ての人に健康を」という目標を掲げています。全ての人が健康にいるためには医療が必要です。医療が提供できるように、世界で様々な取り組みを行っています。

今回はなぜ医療を受けることができないのか、医療格差の問題点、原因や対策などについて、一緒に考えたいと思い執筆いたしました。もしご興味あればお付き合いくださると嬉しいです。

この記事の目次

1.医療格差の問題点

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医療格差とは、医療におけるあらゆる格差について指します。例えば、医療機関を受診する機会や受けられる医療の質など、医療を受ける際に生じる差や不公平のことを指します。医療格差と言えば、発展途上国をイメージされる方が多いかと思います。確かにその通りです。しかし、アメリカなどの先進国や日本でも医療格差が起こっています。

しかし何故、医療が受けられないことが問題なのでしょうか?大きく分けて3つ、医療格差の問題点について説明します。

(1) 感染症拡大リスクの増大

医療格差が顕著なのは発展途上国です。特にアフリカ諸国に多いです。アフリカ諸国の主な死因は、エイズやマラリアの感染症です。感染症の治療や予防が遅れてしまうために、ウイルスや細菌が蔓延しやすい環境となってしまっています。感染症が怖い理由は、人から人へ感染してしまい、一気に拡散されてしまうからです。つい数年前にあった新型コロナウイルス感染症でも、みるみるうちに広がり、命を落とされた方や後遺症が残った方がいます。感染症を拡大させないためにも、全ての人に医療は必要なのです。

(2) 生活の質の低下

適切な医療を受けられないことは、健康でいられるかどうかに多く影響します。病気の予防や治療が遅れることで、重症化してしまうこともあります。重症化すると体力の回復に時間がかかったり、一人で生活することが難しくなったりするため、日常生活に支障をきたします。病気からくる身体的・精神的ストレスの増大などにより、生活の質が低下します。そのため、適切なタイミングで医療を受けるということは健康でいるためには必要なのです。

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(3) 格差が広がる

医療格差があることで、様々な格差が生まれます。健康を維持できなくなった方は、仕事ができない状態が続いてしまいます。そのため収入が減り、治療を続けることが難しくなり、回復に時間がかかり、仕事に復帰することができなくなったりすることが想定できます。このことから医療格差により、経済格差が生まれてしまいます。低所得層は高所得層に比べ、死亡率や認知症発生率が高いというデータがあります。このデータからもわかるように、経済格差により健康格差が生まれます。さらに健康格差により、経済格差がより大きくなるという悪循環が出来てしまいます。一度悪循環に入ってしまうと、抜け出すのは非常に難しくなります。このことから、医療格差はできるだけ小さい方がよいのです。

2.医療格差の原因

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医療格差が深刻な問題であり、世界各国で対策がされています。それでも、何故生じてしまうのでしょうか。医療格差の原因は、大きく分けて4つあります。

(1) 経済的な原因

医療を受けるためには、費用が発生します。経済的に余裕がない方は、医療の優先順位を下げてしまい、受診を控える方が多いと言われています。また、病気により仕事を継続できず収入が減ることで、治療の継続が難しくなることも考えられます。このことから医療格差の小さくするためには、経済的な支援が必要です。

(2) 地域的な格差

住んでいる地域によっても、受けられる医療に差が生じます。自宅から医療機関に行く所要時間が長ければ長いほど、定期通院の負担が大きくなります。また、地域によっては、医療機関や医療従事者の数に偏りがあり、医療体制を維持することが難しい場合もあります。例えば、日本では人口が減少している「過疎地」や交通の便が悪い「僻地」があります。厚生労働省がそれぞれ該当する地域に医療を確保するために、様々な支援を行っています。住んでいる地域による医療格差は、国や社会が動くほどの大きな取り組みが必要なのです。

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(3) 社会的な格差

性別、障がいの有無、民族差別、教育によって、受けられる医療サービスに差が生じます。受診の際に差別的な態度をとられ、医療機関の受診から遠のいてしまっているというデータがあります。また、教育が不十分であるために誤った認識をしてしまい、医療の必要性を理解できていない人もいます。医療に対する正しい情報発信、性や障がいなど正しい理解を深める必要があります。

(4) その他の格差

医療サービスどころか、生命の安全すら保障されていない国もあります。今の日本では想像しにくい状況ですが、国によっては内戦や紛争などで医療サービスが機能していないところもあります。政府が機能していないということは、医療も受けられないということであり、死亡率が上がっていきます。国境なき医師団やユニセフ、ジャパンハートなどの団体が支援活動を行っています。以上の格差で、十分な医療を受けられていない人は多くいるというのが現実です。

3.まとめ

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今回のコラムでは、

✓医療格差の問題点

✓医療格差の原因

についてお伝えしました。少し難しい内容だったかもしれませんが、医療格差について少しご興味をもっていただけたでしょうか?次回からは海外と日本の医療を比較し、医療格差をもっと深堀りしていきたいと思います。

<参考資料>

日本医師会 世界に誇れる日本の医療保険制度

協和キリン 【解説記事】世界の医療格差問題とは?SDGs3つ目の目標にも関係する取り組みを紹介

ELEMINIST 先進国にも存在する医療格差 世界や日本の現状とその原因を解説

Spaceship Earth 医療格差とは?世界と日本の現状・原因、地域格差をなくすための解決策・私たちにできることを紹介

この記事を書いた人

冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業

冨永美紀

母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業

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