見た目年齢をあらわす代表的な指標のなかに姿勢があります。
姿勢による見た目は年齢を重ねるほど顕著にあらわれ、症状や病気にまで進めてしまう恐れがあります。
もう無理だとあきらめる前に、もう一度姿勢を見直してみませんか?
今回のお話が、ご自身の姿勢を見直すきっかけになれば幸いです。
この記事の目次
1.姿勢による悪影響で老けて見える
現代はパソコン作業やスマートフォンによる影響で体調不良を伴う人が増えているといいます。なぜ体調不良になるのでしょうか?
①血行不良
その一つが血行不良によるものです。長時間のパソコン作業やスマートフォンを見続けていると、前かがみの姿勢が血行不良を招いてしまいます。それが冷えやむくみとなり、次第に首こり、肩こりや頭痛の原因になります。
②腰痛
長時間のデスクワーク、テレビを見るなど同じ姿勢で集中していると、圧をさけるため無意識に反り腰になります。
画像のように背中から腰にかけて反りすぎると、骨盤が前に傾き、お尻が突き出されてしまいます。椅子にもたれかかった姿勢の方がリラックスしているかのように見えますが、腰を支える筋肉に負担がかかるため腰痛の原因になります。
③免疫力低下
血行不良がさらに続くと、脳に酸素が充分に行き届かなくなり不安やイライラなど、自律神経が乱れやすくなります。その結果、疲れやすい、集中力がなくなるなど活動性が低下するため、免疫力も落ちてしまいます。
➃太りやすい
それだけではなく、骨盤や内臓の位置がずれて臓器の機能が低下します。消化機能が落ちると代謝しにくくなるため、太りやすくなります。
➄ネガティブ思考
スマートフォンを見ている時間が長いと、首に相当の負担をかけていることになります。頭の重さは約5㎏ですが、45度傾けると約4倍の力がかかるといわれています。
私はよく、駅の階段を降りながらスマートフォンを見ている人を見かけますがこの時、首には20㎏以上もの負担がかかっているということになるわけです。
このような姿勢を日常的に続けていれば筋肉は硬くなり、首こりや肩こり、血行不良はもちろんのこと、脳にまで影響を与えてしまいます。
首の骨(頸椎)の一番上の骨は、脳幹とつながっています。脳幹からは神経伝達物質のセロトニンが分泌されますが、首の骨に負担をかけ続けると、セロトニン分泌が低下し、血行不良から冷え性、睡眠不足、疲れやすい、やる気がしないというようにネガティブ思考に陥りやすくなります。
以上5つのことが、身体的、精神的な影響を与え、結果として見た目を老けた印象にしてしまいます。
人体には常に重力がかかっているため、正しい姿勢を保たないと筋肉や関節などの運動器官が劣化し、内臓にも影響されてしまうのです。
これが、老化の本質です。
それでは、どのような姿勢が正しい姿勢なのでしょうか。今の姿勢と比べながら見ていきましょう。
2.きれいに見える立ち姿勢
正しい姿勢かどうかを判断するためには、基本的な姿勢を理解することが必要です。体を支える脊柱は筋肉や関節に負担をかけることのないよう常にS字カーブを保っています。
正しい姿勢かどうかを確認する簡単な方法として①~➃の手順を参考にしながら確認してみましょう。
①立ち姿勢で基本になるのは、壁に背中を付けて立った時、後頭部、両肩、お尻、両ふくらはぎ、かかとの5つが壁面についていることです。
この時、腕の力は入れずにダランと垂れ下がるようにします。
②背骨は4~5㎏もある頭を支えています。あごを引くと自然に背骨が正しい位置に戻るため、バランスが整います。
③次に、天井から頭部を糸でつり上げられているイメージを意識します。
④背筋を伸ばし、あごを引きます。
➄この姿勢がしばらく保てるかどうか、時々チェックしていきましょう。
3.きれいに座ると内臓が整う!
次に、普段から意識したい正しい座り方についてお伝えします。
どのような座り方が正しいのでしょうか?
①必ず深く座りましょう。骨盤を立てるようにし、足首、膝、股関節はおおよそ90度が理想です。
外出先でヒールの高い靴を履いている場合は、靴を脱ぐ、台を置くなどして椅子の高さを調整すると良いですね。
②背もたれにもたれないようにします。背もたれに寄りかかると、腰が前の方に出てしまいます。
③座った時も立位と同様に天井から糸でつり上げられているイメージを意識します。
➃足の裏が床についているようにします。
➄長時間座り続けていると、反り腰になりやすいため、必ず休憩をはさむようにしましょう
1時間で休憩する、身体を動かすなど、決めておくと良いですね。
※自宅で座る椅子は体形に合ったものを選びましょう。デザインよりも座り心地の良い椅子、機能性を重視した椅子をお勧めします。
4.正しい姿勢と呼吸の関係
呼吸は、エネルギー代謝に必要な酸素を取り込み、代謝後の燃えカス(二酸化炭素)を排出す
ることです。呼吸が浅いと細胞にまで酸素が行き渡らず、常に酸素不足の状態になります。
酸素不足はエネルギー代謝を低下させ、内臓の働きや運動機能を低下させるため、様々な支
障が出てきますが、その呼吸が浅くなる原因が姿勢なのです。
正しい姿勢と呼吸を結び付けているのは横隔膜という筋肉です。横隔膜を活用する呼吸は
肺の奥まで酸素が届けられ、普段無意識にしている胸式呼吸の2~3倍の換気量があります
そのために意識してほしいのが腹式呼吸です。
日常的に呼吸をしている時は、おもに肋間筋を使う胸式呼吸です。胸式呼吸は横隔膜をあま
り使わないため、腹式呼吸よりも酸素を取り込めず、無駄なエネルギーを使うために肋骨筋
に負担がかかってしまいます。
普段から腹式呼吸をした方が横隔膜を鍛えられて、正しい姿勢を保つことにつながります。
とはいえ、急に腹式呼吸を身に付けることは難しいと思いますので、1日5分でも10分で
も意識して習慣にしてほしいと思います。
以下にポイントを記載したので参照してください。
5.まとめ
正しい姿勢は健康にも美容にも良い効果をもたらします
●血の巡りを良くして内臓機能を活性し免疫力を高める
●脳に酸素が十分いきわたるため、ポジティブ思考になる
●疲れにくい体になるので活動性が増す
●筋肉や骨密度が維持される
●肌に張り、つやが出る
以上のような5つが循環しながら内側と外側のバランスが整ってくれます。
これこそが、本当の美しい姿であるといえるのではないでしょうか。
日常生活の中で少しずつ、出来るところから意識すると、次第に見た目が変わって来るのを実感できると思います。
参考文献:愛和メディカル岩井光龍著『美と健康の姿勢学』
この記事を書いた人
福井三賀子
<プロフィール>
小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。
同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。
結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。
在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。
現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。
<経歴>
看護師経験20年。
外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来)
介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム)
介護支援専門員6年
<資格>
看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター
<活動>
講座「更年期は黄金期」
ブログ「幸せな更年期への道のり」
メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」
スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」
動画配信YouTube「看護師mikakoの更年期チャンネル」