子どもが入院するとなったとき、親も周囲の人間も慌てますね。子どもはとくに発達に応じて何が必要で何が不要なのか違ってきます。その判断は、実際に入院してみてから気づいたりします。「あ~、あれあったら良かったな~」と。入院しないに越したことはありませんが もしものために、今回は幼児の入院時に必要なもの」についてお知らせします。
この記事の目次
【1】幼児期とは
一般的に幼児期とは乳児期の後から小学校入学までを指します。厚生労働省の児童福祉法に基づくと、満1歳~6歳の子どもを幼児とします。乳児期が終わったばかりの赤ちゃんから小学校入学直前の子どもまでなので、かなり幅広く感じます。
歩くことが出来るようになり、言葉が理解できるようになり、自分でできることが少しずつ増え、しかし思った通りに出来ないジレンマと闘いながら徐々に人らしくなっていきます。とはいえ、幼児期の子どもは個体差が大きく、同じ月例、年齢でも個々で全然違いますので(それぞれの成長具合で違います)、ひとくくりにはできませんが、入院となった場合には、我が子に合わせて準備するものを考えて対応しましょう。
【2】とりあえず必要なもの
入院となり、準備する期間がある場合には病院から渡される「入院案内」の中にあるものをまずは準備しましょう。
『持ち物リスト~乳児編~』でもお知らせしましたが、乳児期に近い1歳から2~3歳くらいまではお母さんが普段持ち歩いているマザーズバッグの中身で、とりあえずはOKです。
小さい幼児(満1歳から3歳くらい)
・おむつ
・お尻ふき、ビニール袋
・ミルク、哺乳瓶
・着替え一式
・手持ちのおもちゃ等
3~6歳の幼児の場合は、マザーズバッグは持ち歩いていないかもしれません。ミルクや着替えなども赤ちゃんに比べるとあまり必要にならない年齢ですし(そうはいっても不測の事態に陥ることの多い年代ですので、私は個人的には着替え一式を持ち歩いていました)、トイレも自立できている子もいると思います。
地方によっては、小児に特化した病院がないかもしれません。その場合は、病院に子どもに合ったパジャマや病衣(おむつも)は準備されていないのがほとんどです。よって、入院となったらまず、治療しやすいように前開きのパジャマ・下着を準備しておくと便利です。子どもは寝相が悪いのでと、つなぎタイプのパジャマを使用しているのをよく見かけますが、つなぎになっていると診察や治療の時に不便なのです。医療者側の立場で見ると、困るなあと感じますが、子どもの親側の立場で見ると、しょうがないといったところでしょうか。ですが入院なので、治療しやすいように前開きのものを推奨します。
【3】入院生活に必須なもの
他には、生活そのものを家から病院へ移すと考えると、必要なものが頭に浮かんでくるのではないでしょうか。
- 食事に必要な箸、お手拭き(お尻ふきでも代用可)、スプーン等、蓋のできるコップ、食器を洗う洗剤とスポンジ(毎回洗うことが出来ない状況も考えられるため、食べられなくて残した料理をよけておけるようにサランラップなどもあると便利です)
- 歯ブラシ、歯磨き粉、コップ(持ち歩けるように小袋に入れておくと便利です。洗面所が同室内にない場合もあります)
- バスタオル(掛物にもできますので重宝しますがあまり大きいと荷物になるので1~2枚)、フェイスタオル(小さな子供はフェイスタオルで十分です、使用後は室内で乾燥対策に干しておくのも良いです)
- ティッシュペーパーはよく使うため箱で持っていくのがいいと思います。
- 入浴に必要なもの、シャンプー類、石鹸、汚れ物を入れておくビニール袋(洗濯物を院内でする場合には、洗濯洗剤も必要です)
- 音の出ない暇つぶしのできるおもちゃ等(個室の場合は多少の音も問題になりませんが、同室者がいた場合にはテレビのイヤホンも必要です。治療の間、おとなしくしていられる工夫が必要です。そのためにおもちゃや、絵本、DVDやタブレット等もあるといいでしょう。)
- スリッパになる履物(病院によっては転倒防止のためにかかとのある靴を推奨しているところもあります。入院案内の時に確認しておくと良いでしょう)
【4】あると便利なもの
病院での生活を想像できる人は少ないと思いますが、個室でなければ2人から4人部屋の大部屋の場合には、実際に使用できるスペースは2畳から2.5畳ほどだと考えられます。シングルベッドとその横に小さめのテレビを置いた台、貴重品が入れられるように鍵がついていたりしますが、その貴重品入れも小さいので、財布一個いれるとそれ以上は入らないほどだったりします。その台の下半分は冷蔵庫です。ビジネスホテルの冷蔵庫をイメージしてもらえばよいかと思います。
それ以外には衣類を入れる引き出しがある病院等もありますが、荷物を置いておく場所すらない環境だと思った方が良いのです。そのため、荷物をベッド周囲にかけておけるS字フックが大活躍します。小さめの物よりもベッド柵にかけられるものが理想的です。直径2.0㎝以上のものが良いでしょう。
ベッド上は子どもと一緒に過ごすリビングであり、寝室であり、食事をするスペースにもなります。そのたびに物の移動をしていると不便極まりないので、ベッド周囲にS字フックでかけておくと、ベッド上から必要なものを取り出すことが出来るのです。
私自身、膝の手術で1~2か月入院したことがあります。その際、暇つぶしのためにと編み物の道具を持参したのですが、置き場がない上に足が不自由でさっと取りに動けずに困ったことがありました。用事があるたびに忙しそうな(同業なので忙しいと分かりきっているので、ナースコールを押し辛かったのもありました)看護師を呼ぶのも気が引けてできませんでしたが、ベッド周囲に物をぶら下げておくことで、すべて自身で対応できるようになったのです。
小さな子供の入院で、付き添う親は離れられない状況になることが想像できます。その時に、生活しやすい環境を整えておくとイライラも少しだけ収まるのではないでしょうか。
【5】幼児の入院持ち物リスト
幼児期は1歳~6歳と幅があるため、小さい子はまだミルクが必要な場合もあります。急な入院でお母さんは考えることがたくさんあって大変だと思いますので、以下のリストを参考にしていただければ幸いです。尚、病院によって違いがありますので、不明な点は病院にご確認ください。
とりあえず準備するもの | 食事用物品 | 洗面用具・衣類など | お母さんの準備 |
健康保険証 | お箸 | 箱ティッシュ | スリッパ |
母子手帳 | スプーン | タオル | お箸・コップ |
お薬手帳 | フォーク | バスタオル | 洗剤・スポンジ |
印鑑 | 食事用エプロン | 歯磨きセット | 上着 |
筆記用具 | 蓋のあるマグ | 歯磨き用コップ | ひざ掛け |
お財布 | 保温性のある水筒 | シャンプー | スマホの充電器 |
幼稚園などの連絡簿 | ウェットティッシュ | ボディソープ | ゆるい服(夜間付添用) |
小さい乳幼児(1~3歳) | ストロー | 下着(多めに) | お化粧品 |
紙オムツ | サランラップ | 着替えやすい服 | 普段飲んでいるお薬 |
おしりふき | ビニール袋 | 靴下 | 洗面用具 |
ビニール袋 | ジップロック | 室内用のスリッパ・靴 | タオル |
ミルク | あったら便利なもの | 普段使っている軟膏 | 洗濯用の洗剤 |
哺乳瓶 | S字フック | イヤホン | 大きめのビニール袋 |
着替え一式 | 延長コード | 好きなおもちゃ | |
手持ちのオモチャ | ハンガー | DVD・タブレットなど | |
| | 絵本・塗り絵など | |
【6】まとめ
満1歳から6歳の子どもは、「我慢できない」時期です。我慢という言葉の意味すら理解できないし、説明したからわかるものでもない年齢です。親ですら、病状の理解が出来ずにまごまごしてしまう、現状に不安になる心境だと思います。そんな時に我が子を安心させられるような親なんて、理想でしかありません。
親の不安な心境が真っすぐ伝わる子供を安心させるにはしっかり抱きしめることが一番です。抱きしめているだけで不安な気持ちが少しだけ上向くものです。抽象的なことかもしれませんが、抱きしめて大好きだよ、愛しているよと伝えることで子どもの不安が和らぎ、親も落ち着きます。ハグには安心の相互作用があるのです。
私も二児の母で、子育てを経て思うのはしっかり抱きしめること。子どもはそうすることですべてを忘れられるほどの安心を得ます。
また、親の不安解消には情報です。医師や看護師にわからないことがある場合はなんでも聞きましょう。分からないことをそのままにせず、その都度、疑問は解消してくださいね。
この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)