
小児とは15歳までを指します。中学生までの子供たちのことですが、小学校高学年から中学生に至っては、既に親の身長を追い越している子もおり、見た目には小児に見えないような子供もいます。もちろん、年相応の身長・体格の子もいます。しかしながら厚生労働省の定めで小児は15歳までと決まっているため、入院になった場合は小児科への入院となります。細やかな配慮が必要となりますので、その場合の持ち物についてお伝えします。
この記事の目次
1.小学校高学年から中学生の特徴
小学校を上下で分けると4年生から6年生のことを高学年といいます。4年生は10歳になる年で中学3年生は15歳になる年ですので、個人差が大きい時期です。
この時期の女の子は初潮が始まっている子も多く、体の変化が著しい時期でもあります。そんな時期に入院となると、体調不良に加え生理の不調も重なり身体的にも精神的にも不安定になりやすいです。男の子も女の子も見た目の成長とは反比例して精神面はまだまだ未熟ですのでよく様子を見て話しを聞いてあげることが大事です。また、低学年に比べると、勉強や習い事をしている子供も多いでしょう。そのため、入院期間に勉強や習い事の遅れが出ることに対する不安を抱える場合も少なくありません。
2.入院生活に必要なもの
この時期の子供たちは、大人でもない子供でもないような体格や精神面で入院の場合、持ち物も、大人のような子供のような必要物品になります。個々の体格差、成長度合いが違うので、それぞれに当てはまるものを準備してください。入院案内と入院時説明で看護師や事務員から説明されますので、それと照らし合わせながら自分の子供に必要なものを思い浮かべて準備しましょう。
- パジャマ:入院日数によりますが最低3組。前開きのものを推奨しています(治療や診察時に前開きのほうがよい)。
- 下着類:日数に関係なく3組くらいは必要。入浴できない場合に肌着だけでも着替えることができますし、点滴や食事などで汚れる可能性があります。
- ウエットティッシュ:病状によってはベッド上から動けない場合や安静のために動いてはいけない場合があり、手を洗いに行きたくても出来ない事もありますので、アルコールの入っていないウエットティッシュもしくは、赤ちゃん用のお尻ふきもあると便利です(容量が多くて安く、かさばらないのでお勧めです)。
- 室内履き:病院内で転倒しないために踵のある脱ぎ履きしやすい靴を推奨しています。場合によっては、リハビリ用の運動靴(室内用)と、スリッパ代わりのサンダル等もあると便利です。
- 洗面用具一式:歯磨き、洗顔、入浴用の物品(石鹸やボディソープ、シャンプー等)、入院日数が短い場合はトラベル用のもので良いですが、長くなる場合は入浴セットを準備しておくと便利です。穴のあいたプラスチック製の籠にシャンプー類を入れ水切りしやすくしておくと持ち運びにも良い上に衛生面も問題なく使えます。
- 生理用品類:初潮が来ている子供には必然的に準備が必要です。おむつは、夜尿のある子は準備しておくと安心です。環境の変化で普段はしない子でもあることがあります。とはいえ、病院ですので替えのシーツやマットレス等は普通のお宅に比べればたくさん替えがあるので一度失敗してからの準備でも間に合うと思います。
- タオル、バスタオル:入浴時のタオルはフェイスタオルの大きさのものが良いです。かさばらず、洗濯もしやすいです。バスタオルは1~2枚程度にし、掛物にしたり敷物にしたりと体を拭く以外の用途にも役立ちます。
- ティッシュペーパー、ビニール袋:ビニール袋は吐物を入れたり、洗濯物を入れたり衣類の仕分け等にも役立ちます。
- 箸、スプーン、コップ:洗い場や食器用洗剤がない場合がありますので、洗い替えがない場合は洗剤もスポンジも必要になります。コップはなるべく蓋つきのものが良いです。また、洗うことが難しい場合には割り箸をまとめて持参するのも一つの手です。使うたびに捨てるだけでよいので、洗わなくても良いという利点があります。
- 水筒:保温、保冷が効き、割れやすい物は避けたほうが良いでしょう。
- 時間つぶしに使えるもの:入院中は上手く時間をつぶせるために音の静かなもの(同室者に配慮)で、安静を保つことのできるようにゲームやスマホ等の使用も可能ですが、病状によっては向かない場合もあります。また、病院によってWi-Fiが無いこともあり、病室内での機器の使用ができない場合もありますので、入院時に確認しておくことをお勧めします。小さい子供だと絵本や塗り絵等をお勧めしますが、高学年の子供にも最近は大人用の塗り絵等ありますので、おすすめです。また、クロスワードパズル、読書できそうな病状なら普段は読むことのない物語などの本をお勧めします。
- 勉強道具:体調によりますが授業の遅れや宿題等が気になる場合は、持参してよいです。子供がやりたいと希望があれば、状態をみながら勉強するのも良いでしょう。また、小児専門病院や小児科が特化した病院には、院内学級があります。入院期間が長くなる場合には、そちらで勉強することも可能ですので、入院説明の際に確認してみてください。
3.入院中に気を付けること
個々によって違いますが、子供によっては親の付き添いが必要な場合があります。体格は大人並みになっている子供も多い時期の高学年から中学生は、病状や本人の精神的ケアのためなどに親の付き添いを依頼されることがあります。
1.病室の工夫
一般的な病院に入院したことのある人は、想像がつきやすいかと思いますが、病室は個室でない限りはかなり狭いのです。そこに親の付き添いをする場合、狭くて物の配置をどうすればいいのかわからなくなるほどです。新しい病院だと、使いやすいように配慮して造っていますが、厚生労働省で定められた病室の広さは2人以上の大部屋の場合4.5~6.3㎡以下ですので、二畳~三畳とちょっとです。この広さに親子で過ごす(生活する)のですから色々と工夫が必要です。
2.盗難、紛失に注意
病院内は誰でも出入りできます。そして、皆、似たようなものを持って来ていますので、紛失や盗難なども起きやすいのです。持参したものにはすべて記名してください。貴重品等は、入れるためのカギのついたボックスがありますが、設備によっては長財布一個入れられるだけ、というくらいに小さいものがほとんどですので日本は安心だと過信しすぎないようにしましょう。しかし、売店やテレビカードの購入などにもお金は必要ですので、持ち込みすぎないようにしましょう。紛失など同室者も嫌な気持ちになります。お互い、気持ちよく療養できる環境づくりに努めましょう。
4.小学校高学年〜中学生の持ち物リスト
とりあえず準備するもの | 食事用物品 | 便利なもの | お母さんの準備 |
健康保険証 | お箸(使い捨て可) | 延長コード | スリッパ |
母子手帳 | スプーン(使い捨て可) | S字フック | お箸・コップ |
マイナンバーカード | コップ(蓋つき) | タブレット | 洗剤・スポンジ |
お薬手帳 | 洗剤、スポンジ | DVDプレーヤー | 上着 |
診察券 | 魔法瓶 | 子供専用 | ひざ掛け |
処方されている薬 | 食事用エプロン | 勉強道具 | スマホの充電器 |
印鑑 | ストロー | おもちゃ(音が出ない物) | ポケットWifi |
お財布 | サランラップ | タブレット(イヤホン) | ゆるい服(夜間付添用) |
現金 | ウェットティッシュ(おしり拭きで代用可能) | 本 | お化粧品 |
筆記用具 | ジップロック | 勉強道具 | 普段飲んでいるお薬 |
メモ帳 | 衣類洗面用具など | 持って行ってはいけないもの | 頭痛薬など頓服薬 |
| パジャマ(前開き) | 高額の現金 | 生理用品 |
| 下着・オムツ(高学年) | おやつ(治療の妨げになる可能性あり) | 洗面用具 |
| ウェットティッシュ | 処方以外の薬 | タオル |
| 室内履き(踵あり) | 刃物(カッターやはさみ) | 洗濯用の洗剤 |
| シャンプー・リンス | 可燃物(ライターなど) | 大きめのビニール袋 |
| ボディーソープ | 音のでるゲーム、おもちゃ | アイマスク |
| フェイスタオル | | マスク |
| バスタオル | | 綿棒 |
| ビニール袋 | | 爪切り |
| ティッシュペーパー | | 常温保存できる食事 |
| 生理用品 | | |
5.まとめ
この時期の子供は説明をすることである程度理解できます。「あなたが楽になるように親は配慮して援助しているから安心して治療を受けてね」と説明することで理解してくれるでしょう。そうは言ってもまだ小児とくくられる時期の子供たちですので言葉だけでは理解が難しい場合もあります。そんな時には抱きしめてあげてください。いくら体が大きくなっても子供です。
言葉かけや態度もそうですが親のハグ以上に安心できるものはないのです。男の子も女の子も抱きしめる、手を握る、頭を撫でるだけで安心します。日本人はそういう習慣はないと言われますが、そうすることで絶対の安心感を持ってくれます。恥ずかしさもありますが、親が勇気を出すことで子供に安心感が伝わることと思います。上記のリストを参考に、子供に寄り添えることを願っています。
この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)