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高齢者でも入れる生命保険とは

生命保険は本来の目的である「残された家族等の生活保障」のほか、相続対策にも活用することができます。
しかし、保険には加入できる年齢制限があります。高齢者でも入ることができる生命保険について見ていきましょう。

この記事の目次

高齢になると保険に入れないのか

保険の種類にもよりますが、高齢になればなるほど、選択肢が狭まることは事実です。
それでも、多くの保険会社では85歳まで加入可能な保険商品を取り扱っています。
さらに、保険会社によっては90歳や95歳まで対応出来る商品があります。ただ、95歳まで加入できるものは少なく、一部の保険代理店の取り扱いとなります。

高齢でも入れる保険商品例とその特徴(2024年3月時点)

T&Dフィナンシャル生命 「みんなにやさしい終身保険」

95歳まで新規加入可能(通貨分散コースの場合)の一時払い終身保険。外貨の割合が25%と50%の2種類あり。
円貨コースの場合は80歳まで加入可能。

ニッセイ・ウェルス生命 「えらべる介護終身保険」

95歳まで新規加入可能(無告知、米ドル・豪ドル建ての場合)の一時払い終身保険。
告知あり・円建ての場合は90歳まで。
告知ありコースは一定期間後に保障額が増加。介護保障あり。

日本生命 「ニッセイ 一時払終身保険」

90歳まで新規加入可能の一時払い終身保険。リビングニーズ特約が自動付加されている。

住友生命 「ふるはーとJロードプラス」

90歳まで新規加入可能。
円建ての一時払い終身保険。職業告知のみで加入できる。
一定期間後に保障額が増額。家族による代理請求の登録が可能。

明治安田生命 「ずっとよりそう終身医療保険」

90歳まで新規加入可能の医療保険。
主契約は終身の入院時支援給付や外来時手術給付等、終身の死亡給付特約や入院時手術保障特約も付いている。

安心

加入条件に健康状態は関係あるのか

保険商品によって条件は異なりますが、以下のような保険であれば入れる可能性があります。

引受基準緩和型

告知(健康状態の質問)が少ないため、ご自身の病気のことを申告しなくて良いケースがあり、結果的に入りやすい場合があります。
ただし、治療中の癌は認められないケースもあります。

無告知型(無選択型)

告知(健康状態の質問)がありませんので、原則病気があってもお申込みできます。
ただし、告知に該当しなくても入院中など一定の状態の場合は、申込みが延期になることもあります。
無告知タイプは選べる保険種類に制限があります。

高齢者が保険に入る目的やメリット

十分な貯蓄があり、公的保障(年金・介護・福祉サービスなど)も受けられる高齢者であれば、保険に新規加入する必要はあまり感じられないでしょう。
ここでは、高齢者が新たに保険に加入する目的やメリットについて考えてみましょう。

●自分の葬儀費用を準備する

死亡保険を準備する目的のひとつは、自分の葬儀費用を準備するためです。
葬儀費用は地域や葬儀の規模によって異なりますが、残された家族が困らないように、葬儀費用を用意しておきたいと思う人は多いでしょう。
預貯金等で準備した場合、被相続人の金融機関口座は凍結され、原則として遺産分割協議が成立前には預貯金は引き出せません。
死亡保険金であれば、遺産分割協議とは関係なく、受取人が書類を整えて請求すれば、1週間程度で支払われます。保険会社によっては即日支払いサービスもありますので、家族に確実に葬儀代を残すことができます。

●家族の生活費を準備する

死亡保険を準備する目的の2つ目は、のこされた家族の生活を支えるためです。
例えば、夫婦が年金生活者の場合、どちらか一方が亡くなると受取年金額が大幅に減ってしまう場合があり、残された配偶者の生活費が足りなくなってしまいます。さらに子供がいる場合は、これまでの生活を続けていくことが困難になることもあるでしょう。死亡保険に加入していれば、そのような場合の家族の生活を支えられます。

●相続対策として活用する

死亡保険を準備する目的の3つ目は、相続対策としての保険の活用です。
死亡保険金は相続税の課税対象になる一方で、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、非課税枠を超えた分のみに相続税がかかります。
つまり、現金や預貯金等で財産をのこすより、死亡保険に加入して保険金としてのこすほうが、相続税を軽減できます。

また、死亡保険金は受取人固有の財産であり、原則として遺産分割協議の対象とならず、遺留分(遺言によっても保護される相続分の一定割合)にも含まれません。受取人は、他の相続人の同意なしに死亡保険金を受取れるので、特定の人に確実に財産を渡したい場合に活用できます。

●契約者代理請求の制度を利用する

これは死亡保険というより貯蓄型の保険に言えることですが、一部保険会社で採用されている「契約者代理請求」という仕組みを利用する方法です。
保険契約者が認知症等になった場合でも、貯蓄型保険を指定された家族が代わりに解約することが出来るので、介護費用や医療機関への支払いに使うことが出来ます。

死亡保険

高齢者が保険に入るデメリット

高齢者が加入する保険は、終身保険や医療保険などが中心となりますが、そのデメリットについても考えてみましょう。

●保険料が割高になる

若い人に比べて保険料が割高になります。
特に無告知型の場合はその傾向が強くなります。

●選択の幅が少ない

「月々払いではなく、一時払いしか選べない」「無告知型しか選べない」「外貨建てしか選べない」などの制約があり、選べる商品が少ないのが現状です。

●加入後一定期間は保障が少ない

高齢者の場合はこのタイプしか選択できないケースがあり、その期間内に死亡した場合は、一時払いした保険料より死亡保険金が少なるないことがあります。

以上のように、高齢者でも入れる保険は近年増加しています。

しかし、選択の幅は少なく、保険料も割高になりますので、できれば早いうちに保険に加入し、老後の対策に活用されると良いでしょう。



この記事を書いた人

齋藤 弘道(さいとう ひろみち) 遺贈寄附推進機構 代表取締役 全国レガシーギフト協会 理事

齋藤 弘道(さいとう ひろみち)

<プロフィール>
遺贈寄附推進機構 代表取締役
全国レガシーギフト協会 理事

信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。
遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の全国レガシーギフト協会)。
2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。
日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。

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