テレビを見ているとCMで「保険はネットで加入する時代」などと言って、スマホで簡単に見積りする様子が描かれています。
その一方で、保険会社や保険代理店の訪問型営業、店舗型やオンライン相談など、実にさまざまな形態があります。我々が実際に保険を検討する際に、どのようなルートで加入すべきか考えてみます。
この記事の目次
ネットで保険に加入するメリット
スマホで年齢などの条件を入力すると簡単に保険見積りができて、そのまま契約できるネット保険は手軽で便利なようにみえます。ネットで保険に加入するメリットは何でしょうか。
メリット
- 時間と場所の制約がない
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インターネットであれば24時間365日、自宅や外出先から手続きができる利便性があります。
- 対面の販売活動がない
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保険会社や代理店の対面での営業活動がないため、押し売り的な勧誘を受けるストレスがありません。
- 複数商品の比較が容易
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ネット上であれば複数社の商品内容や保険料を自由に比較検討しやすくなります。
- 低コストが期待できる
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対面営業の人件費が不要なため、中間コストが削減されており、保険料が安くなる傾向にあります。
- 加入時の手続きが簡単
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保険内容の理解は別として、加入の手続き自体はネット上の入力作業のみで簡単です。
- プライバシーが守られる
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家族や職場の同僚に知られずに加入できるため、プライバシーが保護されます。
一方、デメリットとしては、以下のようなことが考えられます。
- ネット上の説明だけでは理解が不十分な場合がある
- 専門スタッフとの対話がネットに限定される
- 加入後のアフターサポートが手薄になるリスクがある
ネットで入れる生命保険とは
一口に「ネットで入れる生命保険」と言っても、ネット専業保険会社もあれば、通常の保険会社がオンライン申込に対応したものなどもあります。その種類を見てみましょう。
- ●ネット専業の保険会社
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- ライフネット生命:2008年に開業したオンラインの生命保険会社
- アクサダイレクト生命:日本で最初のネット生保として2006年に設立
- ●通常の保険会社のオンライン専用商品例
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- SBI生命:クリック定期!Neoなど
- オリックス生命:終身保険RISEなど
- はなさく生命:はなさく定期など
- 東京海上日動あんしん生命:メディカルKit NEOなど
- ネオファースト生命:ネオde定期など
- ●ネット申込み可能な保険代理店例
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- ほけんの窓口(ほけんの窓口グループ株式会社)
- マネードクター(株式会社FPパートナーズ)
- 保険ライフ(ブロードマインド株式会社)
- 保険クリニック(株式会社アイリックコーポレーション)
- 保険市場(株式会社アドバンスクリエイト)
それぞれの方法について、もう少し比較して見ましょう。
- ネット専業の保険会社のメリット
低コストで保険料が安い、24時間いつでも加入可能など
- 通常の保険会社のメリット
対面で丁寧な説明、加入後もサポートなど
- 保険代理店のメリット
複数社の比較が可能、保険以外の提案が可能な場合もあるなど
比較サイトを利用する場合の注意点
保険についてネット情報を調べていると、保険相談サービスの評価サイトやランキングサイトを目にすることがあります。これらを利用する際は、以下のような点に注意が必要です。
運営主体の透明性 | 保険会社や代理店の影響下にあると中立的な評価は期待できません |
評価の信憑性 | 投稿内容が不自然に偏っている場合は気をつけましょう |
評価項目の妥当性 | サイトによって評価の尺度や重視するポイントが異なります |
複数サイトの比較 | 一つのサイトの評価だけを鵜呑みにしないようにしましょう |
ネット申込と対面申込の違い
生命保険をネットで加入するメリットは、確かに手数料が安く済むことが大きな利点です。一方で、保険の営業マンに相談して加入するメリットもいくつかあります。最近はネット相談の質が向上してきましたので、対面との差が小さくなってきましたが、それでも一般的に以下のメリットがありそうです。
1.ニーズに合った最適な商品を提案してくれる
家族構成、収入、ライフプランなどを詳しく伺い、将来にわたってニーズに合った商品を提案してくれます。
2.わかりやすい説明
契約内容は複雑な部分もあり、ネット上の説明だけでは理解が不十分な場合があります。
3.アフターフォローが期待できる
一人の営業マンが長く担当することが多く、家族構成や収入が変わった際に、プランの見直し提案や、保険金請求の手続き支援をしてくれるなど、きめ細かいフォローが期待できます。
保険目的や保険金額の観点
保険の営業マンと対面で相談する際には、以下のような観点から適切な商品とサイズ(保険金額)を提案することが期待できます。
保険加入の目的別の観点
収入保障 | 万が一の場合の生活費の補填 |
教育資金 | 子供の教育資金を確保 |
老後資金 | 老後の生活費を賄うための資金を準備 |
医療保障 | 手術や入院などの費用に備える |
ライフプランに応じた保障サイズ
- 年収の何年分が適切か
- 子供の教育費用の試算
- 老後にいくら必要か
- 医療リスクに必要な金額
さらに、加入時の年齢、健康状態、加入期間、一時払いか分割払いかなども考慮し、最適な保障内容と保険料を提案してもらえます。
つい先日、私自身も保険営業マンから「保険の契約満了時期が来るので見直ししてはどうか」と電話がありました。保険会社から通知は来ているはずでも見落としていたので助かりました。
ネット申込ではなく保険営業マンから対面で加入する場合、コストは少し高くなりますが、専門家の的確なアドバイスと手厚いサポートが受けられるというメリットがあります。ご自身の保険に対する知識や手間との兼ね合いで、どちらが合うのか検討すると良いでしょう。
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この記事を書いた人
齋藤 弘道(さいとう ひろみち)
<プロフィール>
遺贈寄附推進機構 代表取締役
全国レガシーギフト協会 理事
信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。
遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の全国レガシーギフト協会)。
2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。
日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。