目次

【歯を守ろう③】歯を守る8020運動

皆様、ご自身の歯は何本あるか数えたことはありますか?

答えられる方は多くないと思います。

私も初めて質問された時は答えられませんでした。

毎日歯磨きをしていても、歯の数さえも知らない方は多いのではないでしょうか。

歯が生えそろっている方は28~32本の歯があります。

通常、28~32本の内、20本以上あれば日常生活に支障がないと言われています。

この理由から、80歳になっても20本以上自分の歯を保ちましょうと提唱されています。

それが8020(ハチマルニイマル)運動です。

今回は8020運動についてお伝えします。

この記事の目次

1. 8020運動の目的

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(1)8020運動とは

改めて8020運動について説明します。

8020運動とは、1989年より厚生労働省と日本歯科医師会が「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」と提唱している取り組みです。

30年以上の普及活動によって、歯科の健康が大きく推進されています。

(2)8020運動の目的

歯の健康を維持することは、生活の質を上げるためにとても重要とされています。

以前のコラムでお伝えした通り、歯の役割は①ご飯を食べる②人と話す③笑顔になる④身体のバランスを保つなどがあります。

中でも食べることは、20本以上の歯があればほぼ満足できると言われています。

そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。

(3)8020の重要性

ただ長生きするだけでなく、日常生活に支障がない、もしくは健康で満足度の高い人生を送りたいですよね。

そのためには、80歳で20本以上の歯を保つことが大切であると、これまでの様々な調査でわかっています。

また、自分の歯で噛むことは、食べることはもちろん、全身の健康にも大きな影響があると言われています。

2. 8020運動 これまでの活動

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(1)8020運動が始まるまで

1981年、WHO(世界保健機関)が「50%以上の者が機能歯を20歯維持することが可能となること」という目標を提唱しました。

日本では少し遅れて1989年に8020運動が始まりました。

8020運動が開始された当初、「8020」を達成している高齢者は、10人に1人も満たない状況でした。

そのため、達成率が50%、つまり2人に1人が「8020」を達成するのは夢物語と言われていました。

しかし、様々な取り組みによって、その夢物語ではなくなりました。

8020運動を広く国民に展開しようとする趣旨で設立された「8020推進財団」という団体があります。

この団体は、歯科医師や研究者以外にも歯ブラシなどのアイテムを製造・販売する企業も所属しています。

いろんな視点から8020の推進、情報収集、調査研究を行い、積極的に情報公開した結果、大きく広がったと考えられます。

(2)8020運動が始まってから

歯科疾患実態調査結果より、8020達成者が50%を初めて超えたのが2016年でした。

10人に1人ほどだったのにも関わらず、約30年で夢物語が現実となりました。

現在も達成者50%超えを維持しています。

この約30年で何が変わったのか。

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8020推進財団が行った調査結果では、

・1日3回以上、歯を磨く者が倍以上に増加した

・デンタルフロスや歯間ブラシ等の補助的な清掃用具の使用者が増加した

・定期歯科健診を受診する人が増加した

など個人の意識が変わったことを挙げています。

(3)8020運動が貢献したこと

8020運動の結果から、この30年で歯の健康は推進されていることがわかりました。

現在の日本は、子供が少なく高齢者が増え続けている時代となっています。

社会の活力を維持するためにも、高齢になっても元気に生活していただくことがとても大切です。

歯の健康が推進されたことで、少なからず日常生活に支障がない高齢者を増やすことに貢献したと考えられています。

3.8020運動 これからの活動

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(1)歯の喪失以外にも大切なこと

8020運動を通して、歯を喪失した高齢者が減ったということがわかりました。

今後は、歯に関する何かしらの症状や訴えを減らしていくことが課題です。

歯に関する症状とは、「歯が痛い」「歯ぐきのはれ・出血」「かみにくい」などがあります。

特に「かみにくい」と訴えている人は、高齢になればなるほど増えているという統計結果があります。

歯の喪失をさらに減らし、残っている歯の嚙み合わせをよくしながら、歯のケアを進めていくことが必要となります。

(2)さらなる歯の健康のために

高齢になると、虫歯や歯周病になる方も増えます。

これらが重症化することで「歯が痛い」「歯ぐきのはれ・出血」の原因にもなります。

8020が達成できていても、歯にトラブルがあると日常生活に支障が出てしまいます。

歯の重症化予防のためには、定期的な歯科受診が重要なポイントになります。

2015年の調査ですが、4人に1人が2~6か月に1回程度の歯科受診をしていたことがわかっています。

さらなる歯の健康のためには、もっと多くの方に定期的な歯科受診を普及することが必要になると考えられます。

(3)一人ひとりのセルフケア

8020運動を機に、歯科健診などのサービスが充実してきました。

市町村や企業が歯科健診を実施しやすいように、助成金が支給されるシステムも導入されています。

また、むし歯予防に特化した歯磨き粉など、自宅でも簡単に歯をケアする商品が多く提供されています。

歯科医師や歯科衛生士、歯科関連の会社が努力するのも大切です。

しかし最終的には、健診を定期的に受けたり、歯を毎日ケアしたりと個人の努力が求められます。

4.まとめ

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このコラムでは、8020運動についてお伝えいたしました。

8020運動を推進し始めた1989年の平均寿命は、男性が約76歳で女性は約82歳でした。

そのため、8020運動では「80」歳を人生のゴールとして捉えられていました。

しかし、30年経過した2019年の平均寿命は、男性が約81歳で女性が87歳と約5歳以上も上回っています。

このことから、現在はより健康な老後を過ごすための運動という意味合いに変化しつつあります。

将来的に「8020」から「9020」や「9028」など変わっていくかもしれませんね。

次回は、『歯科を定期受診するメリット5選』についてです。

またお会いしましょう!

<参考資料>

8020推進財団

日本歯科医師会 8020運動

厚生労働省 e-ヘルスネット 8020運動とは

この記事を書いた人

冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業

冨永美紀

母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
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