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ストーマ管理で知っておきたい!便の性状とガスの工夫

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ストーマを造ると便の性状について悩む方も多くいます。それは、肛門から出ていた時とは便の性状が変わるからです。性状に加えて今までは特に困ることもなかったおならも、困りごとの一つになります。ストーマになったことで、それまで全く気にしていなかったことが生活の中でとても気になってきます。

これらの、困りごとについての対処法などをお伝えします。

この記事の目次

1.ストーマの種類について

消化管ストーマには結腸ストーマ(コロストミー)と回腸ストーマ(イレオストミー)があります。どちらも、手術で造設されるストーマの一種ですが、造設される腸の部位によって便の性状や排出量などが異なります。

1.結腸ストーマ(コロストミー)

結腸ストーマ(コロストミー)は、大腸で作られるストーマです。便の性状は硬い便の場合が多いです。大腸の部位によって4つの種類に分かれます。

  • 上行結腸ストーマ:水分の吸収がされておらず、水様便となります。
  • 横行結腸ストーマ:上行結腸よりも水分の吸収が進み、泥状便となります。
  • 下行結腸ストーマ:S上結腸に近づくほど水分吸収が進むため、軟便から固形便             に変化します。
  • S状結腸ストーマ:直腸に近い位置にあり、固形便となります。
     

2.回腸ストーマ(イレオストミー)

回腸ストーマ(イレオストミー)は小腸で作られるストーマで、水様便が多いのが特徴です。ここから排出される便は水様便から泥状便になることが多く、消化酵素を多く含むので皮膚への刺激が強い傾向があります。そのため、皮膚トラブル(ストーマ周囲がただれて炎症を起こす、などのトラブルがあります)のリスクが高くなります。また、水分の吸収がされる前に排出されることで脱水を起しやすく電解質のバランスも崩れやすいです。

 

    

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2.便の性状について

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ストーマの種類、位置で性状が違うことは前述しました。小腸から大腸の前半の便は水分が多く柔らかい便です。肛門に近くなればなるほど、水分は吸収されていくため、排出されるときには固形に近くなっていきます。

肛門からの理想的な排便は、「バナナうんちが良い」と言われています。健康な便の目安としてよく例えられるのですが、バナナのように太くソフトな便は、排便がスムーズだからです。肛門は、肛門括約筋という筋肉があるので便を出さないようにすることが可能ですが、ストーマの場合は止めることが出来ません。そのため、常にストーマにパウチ(袋)を装着して出てくる便を受けておけるようにします。

ストーマの場合の理想的な便とは、「泥状〜軟便」が望ましいと言われています。固い便はストーマから出にくく、反対に柔らかすぎる水様便は、こぼれやすかったり、漏れやすいのではないかと不安になります。

適度にやわらかい「泥状〜軟便」の場合、パウチから飛び散ることなく出すことが出来て、処理も簡単になります。硬すぎず、柔らかすぎず「スルリ」と出てくる、そんな便がストーマ生活では理想的な排泄といえるでしょう。

3.ガスについて

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肛門から出るガス、いわゆる「おなら」は音がしない限りはそれほど問題になることはありません。しかし、ストーマから出るガスは臭いや量、回数などによって、日常生活に支障をきたすことがあります。肛門からのガスは空気中にそのまま放出されるため「溜まる」ということがありません。一方、ストーマから出るガスはパウチ(袋)の中にガスが溜まっていきます。ガスの蓄積が進むと、袋がパンパンに膨れ、最悪の場合は破裂することがあります。さらに厄介なのは、ガスと一緒に袋内の便まで漏れ出てしまうことです。これがストーマ利用者にとって最も避けたいトラブルの1つです。

4.トラブルに対する工夫

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ストーマから出るガスや便の性状・そして気になる臭いは、日常生活に影響が出ることがあります。ですが、これらの問題は食事の内容や調理方法、食べ方を工夫することである程度コントロールが可能です。

  • 会話をしながら食事をする、すするように食べることで、空気を飲み込みやすくなり、結果的にガスが発生しやすくなります。
  • 反対に、口を閉じてゆっくりとよく噛んで食べることで、空気を飲み込みにくくガスの発生を抑える効果があります。
  • 同様に、ストローの使用・炭酸飲料の摂取・ガムを噛む。これらを控えることで、ガスの発生を抑えることができます。
  • 食べ方の工夫に加えて、食べ物の選び方にも工夫が必要です。ネギ類、豆類、炭酸飲料、貝類などはガスを発生しやすい食品です。

全てを完全に取り入れることは難しいでしょうから、栄養バランスを保ちながら、今までの食習慣の改善を、できることから少しずつ取り入れてみてください。

ここで以前、私が訪問看護師として訪問していたストーマを造られたご利用者の事例を参考に、支援内容や工夫をお伝えしたいと思います。

Aさんは男性72歳で、お一人暮らしをされていました。回腸ストーマ(イレオストミー)を造設されたAさんは体の変化を受け止められず、排泄の管理・食事の工夫なども出来ない、と出来ない尽くしでした。

また、高齢なうえに治療のために絶食の期間が長く、病院生活で運動量も減ったことで体力がかなり落ちました。訪問している看護師たちに怒りをぶつけることで現状から逃避している様子も伺えました。

イレオストミーは水様便が多く、ガスも多いために一日に何度もストーマパウチが破裂して緊急コール(何かトラブルがあったときに、定期の訪問とは別に必要な支援を受けられるシステム)が入っていました。Aさんは自分で自身のストーマを触ることが出来ず、訪問看護師が到着するまで、そのままの状態で待っていました。そのため、消化液の多い排便でストーマ周辺がただれ、洗浄することにも痛みがでており、大変つらい思いをしていました。

少しずつ少しずつ、ストーマについて説明して理解を深めていくことで、破裂した時の対処だけはできるようになりました。

 食事の支度はヘルパーが介入し、食事の内容を見直し、食べ方の指導も行ったことで破裂することは少なくなりました。数か月経過する頃には、パウチの交換こそできないものの、排泄物を絞り出して廃棄したり、パウチが外れた際にご自身で対処することができるようになりました。退院直後とはまるで人が変わったように、穏やかな生活を送れるようになりました。

このように食事や食べ方の工夫で日常生活に出る支障を抑えることは十分に可能です。

しかし、ストーマは見た目の変化が大きいため、精神的にショックを受ける方も少なくありません。その影響でストーマ管理が難しい方もおられます。特に高齢で一人暮らしの方は、精神的・肉体的な負担が大きく、支援が不可欠です。こうした方々の多くは訪問看護を利用しており、病院のストーマ外来では継続的なサポートが受けられます。ストーマに関する困りごとや不安がある場合は、早めに相談し必要な支援を受けることで、徐々にセルフケアができ安定した生活につながります。

5.まとめ

 病気の末に身体的な変化を受け入れなければいけない状況になると、なかなか受け止めきれないのは自然なことだと思います。

しかし、ストーマについての正しい知識と少しの工夫でトラブルも乗り越えていけるようになってきています。自分自身の状況を少しずつ理解し、向き合うことから始めてみてください。最近では、環境も道具も改善・進化しており、必要な情報にアクセスしやすくなってきています。ストーマと一緒に生きていくことを受け止めて、少しずつ不安を解消して、前に進んでいけるよう応援しています。次回からの記事もストーマに関する様々な工夫や情報をお伝えしていきます。

(参照ページ)

株式会社ザイタック/ストーマ保有者の食事について

オススメ関連リンク:自宅でカンタン!早期発見・再発予防の大腸がん検査キット



この記事を書いた人

看護師:栗巣正子 <経歴> 看護師歴 23年  大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。 離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務 大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。 現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録 <資格> 正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)

看護師:栗巣正子

<経歴>
看護師歴 23年 
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。

離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務

大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。

現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録

<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)

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