子どもは検査や手術のため入院になったり、風邪などの症状が悪化して急に入院が決まったりすることがあります。入院が決まると、入院準備や子どもの体調のことなど心配事や不安で入院前から疲れてしまう親御さんはとても多いです。
また入院となった場合、親御さんは付き添いを求められることがあります。
あまり知られていませんが、付き添い入院は身体的・精神的にも負担がかかります。
子どもの入院で生じる困りごとや対処法を知っておくことで負担を和らげることが出来ます。
この記事では子どもの入院のことや困りごと、対処法についてお伝えしていきます。
この記事の目次
どんな時に入院するの?
子どもの年齢別に見た入院数
2022年に行われた厚生労働省の調査によると子どもの年齢別に見た入院数(人口10万対)は以下の通りです。
年齢 | 人数 |
---|
0歳 | 1065人 |
1~4歳 | 134人 |
5~9歳 | 71人 |
10~14歳 | 99人 |
0歳の入院が1番多く、次いで1~4歳までの入院が多いことが分かります。
入院になる病気
・肺炎
・気管支炎
・ぜん息
・インフルエンザ
・扁桃炎
・胃腸炎
・そけいヘルニア
・盲腸
・先天性疾患
など
耳にしたことのある病気も多いのではないでしょうか。家で安静にしていれば治るような病気でも、重症化して入院することもあります。また小さい子どもは急変する可能性があるため、症状が軽くても大事をとって入院することもあります。
参考:厚生労働省 2020年患者調査
入院の種類
入院には予定入院と緊急入院の2種類があります。
予定入院とは手術や検査、治療のために決められた日に入院することです。
退院日も決まっていることが多いですが、必ずしも予定日に退院するわけではありません。
医師の判断により、子どもの症状や状況を見ながら退院する日が最終的に決まります。
緊急入院とは急に入院が決まることです。
病院を受診して治療が必要となった場合、そのまま入院となります。また救急車で運ばれて、そのまま入院となる場合もあります。
けいれんが長時間続いて意識が戻らなかったり、高いところから落ちて頭を打ったりと緊急性が高いことが多いです。
避けて通れない「付き添い」の問題
付き添い入院とは?
付き添い入院とは親御さんなどの保護者が子どもと一緒の病室に泊まり込み、お世話をすることです。信頼している親御さんと過ごすことは子どもの安心につながるため、特に未就学前の小さい子どもの入院の場合は病院から付き添いをお願いされることがあります。
病院によって違う付き添いのルール
付き添いが必要かどうか、付き添いが出来るかどうかは病院によって異なります。主に感染対策のため、付き添いを禁止にしている病院もあります。また、付き添いは24時間必要となる場合もあれば日中しか付き添いが出来ない場合もあります。
母親の負担が多いという現実
付き添いをする割合は圧倒的に母親が多いです。次いで父親、祖父母の順です。男性の方が正社員である割合が高く、女性の方は男性に比べ専業主婦やパート勤務である割合が高いです。そのため女性の方が比較的に休みを取りやすく、付き添いをしやすいという環境があると考えられます。
付き添いで生じる3つの困りごとと対処法
付き添う親御さんの疲労
付き添いをすると身体的にも精神的にも疲れてしまいます。
どうして疲れてしまうのか、食事・睡眠・お風呂の3つ点から解説していきます。
まずは食事についてです。
付き添う親御さんの食事が出ないことがほとんどです。
短期間であれば病院の売店で買った食事だけで良いかもしれません。
しかし売店のみだと炭水化物が多くなり栄養素が偏ってしまいます。
同じような食事が続くと体調を崩してしまう方が多いです。
付き添いが長期にわたる場合はレトルト食品など日持ちするものを持ち込む、またはご家族に差し入れをお願いできないか相談することをおすすめします。
次は睡眠についてです。
付き添いにおいて寝不足になる可能性はとても高いです。理由は3つあります。
1つ目の理由は寝る場所、つまりベッドの問題です。
基本的に子どもの病室で一緒に寝ることになります。子どもの体が小さく、点滴など管が無い、もしくは抜ける心配が無いような時は一緒のベッドに寝ることも出来ますが、窮屈に感じる親御さんも多いです。
簡易ベッドを借りることも出来ますが、簡易ベッドは狭く固いです。
そのために睡眠が浅くなってしまうと感じる親御さんもいます。
2つ目の理由は子どもの夜泣きです。
普段の環境と違うと子どもは不安を感じてしまいます。あまり泣かないような子でも泣いてしまったり、普段からよく泣いてしまう子だとさらに激しく泣くようになってしまったりします。
3つ目の理由は看護師の巡回です。
看護師は異常がないかどうか、定期的に見回りをします。
人の気配や足音、懐中電灯の明かりで目を覚ましてしまうかもしれません。
マットレスを貸し出すことが出来る病院もあるため、相談してみるのも良いかもしれません。
音や光の刺激を和らげるために、耳栓やアイマスクを用意するのをおすすめします。
またお金との相談になりますが、差額ベッド代が気にならないのであれば個室に入ってしまうのもおすすめです。
最後はお風呂についてです。
お風呂は基本的にシャワーのみというところがほとんどです。
曜日や時間が決まっていることがほとんどであるため、タイミングを逃すとなかなかシャワーを浴びることが出来ないという事態が生じてしまいます。
ボディシートやドライシャンプーなどを持ち込んでおくと便利です。
ストレスを強く感じる
いつもとは違う環境で行動も制限されるため、子どもにとても大きなストレスがかかります。
小児科のある病院にはプレイルームと呼ばれる子どもの遊び場があることが多いです。
そこにはおもちゃや絵本などの遊び道具があります。
保育士さんやボランティアの方がいて、一緒に遊んでくれることもあります。
そういった場所で遊ぶことでストレスを発散することも出来ますが、治療状況によっては病室のベッド上で安静にしていなければならない時もあります。
少しでもストレスを緩和できるよう子どもが好きなおもちゃ、ぬいぐるみ、絵本など遊べるものや好んで使っているタオルケットなどを数点持ち込むことをおすすめします。
普段から慣れ親しんでいるものがあると子どもは安心を感じやすくなります。
持ち込む際は必ず病院の規則に従ってください。
そして親御さんも強いストレスがかかります。
食事や睡眠を十分に取れず、お風呂に入ることも出来ません。
子どもは親御さんが離れると泣き出してしまうこともあるため、子どもから離れてふっと休憩する時間も少ないです。また大部屋だとプライバシーが保たれずに、常に気が張った状態になります。
親御さん自身がリラックス出来るものやストレス発散出来るものを持ち込むことをおすすめします。
また余裕がない時は、看護師や保育士さんに相談してみるのもおすすめです。忙しそうにしているからと遠慮されるかもしれませんが、困った時は遠慮なさらずに相談してみてください。
付き添いをしたいが現実的に難しい
子どもが入院となったら付き添いをしたいと考える親御さんは多いと思います。
しかし仕事を何日も休めなかったり、他の子ども達の世話があったりすると付き添いは現実的に難しいこともあります。
まずは悩んで抱え込まずに周りに相談してみてください。
困っていることを伝えると祖父母や親しい友人、職場の同僚など力になってくれます。そのために日頃からコミュニケーションをとっておくことが大切です。
どうしても付き添いが出来ないという場合、付き添いの必要ない病院を探すことも視野にいれることをおすすめします。
まとめ
子どもの入院についてポイントをまとめます。
・子どもの入院は0~4歳までが多く、付き添いが必要になることがある
・食事、睡眠、お風呂で困ることが多い
・子どもの親御さんもストレスが溜まるため、リラックスしたり息抜きしたりすることが大切
・付き添いをしないという選択肢もある
・困ったら周りに相談することが大切
子どもの入院は子どもだけではなく、親御さんにとっても過酷なことです。
困ったら抱え込まずに、相談することが大切です。
普段からコミュニケーションを取っていないと、必要になってからでは難しいこともあります。周りの人とのコミュニケーションを大事にしてみてください。
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この記事を書いた人
山本みどり
【プロフィール】
看護師経験。大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。
現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。発達ケアを通して、子どもとご家族が安心して過ごせるように支援をしている。
食から身体のことを整えたいと思い、プライベートでは中医学・薬膳を学んでいる。
【経歴】
看護師/Webライター
看護師歴6年 NICU、精神科、訪問看護(成人・精神特化・小児発達ケア)
家政婦やベビーシッターとしても働いている