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看護師がわかりやすく解説! 小児医療①子どもの体調観察チェックポイント
月齢・年齢が低いほど急にお熱が出たり、吐いたりすることがあります。 子どもは大人と違い、言葉で体調を伝えることが出来ません。そのため親や周りの大人が体調の変化…
厚生労働省死因順位によれば、0〜9歳までの死因の上位に不慮の事故があります。
1〜4歳では第2位、5〜9歳では第1位です。
子どものケガの予防と応急手当てについては常日頃から気に留めておくことが大切です。
しかし、親や保護者は子どもがケガをしないように目を離さないようにすることは現実的ではありません。
どうして子どもはケガをしたり事故にあったりしやすいのか、どうすれば予防出来るのか、もしケガをしたり事故にあったり時はどうすればいいのかポイントを押さえて知っておくことでケガや事故を少なくすることが出来ます。
この記事の目次
1、子どもがケガをしやすく、事故をおこしやすい理由
0~12歳でケガや事故で救急搬送される人数が多いのは0~5歳の子どもというデータがあります。
その中で、1番救急搬送が多いのは1歳の子どもです。
2番目に多いのは2歳、3番目に多いのは0歳です。
参考:東京消防庁 図 3-3 年齢別の救急搬送人員
東京消防庁 図 3-5 発生場所別の救急搬送人員
どうしてそのくらいの子どもがケガをしやすかったり、事故を起こしやすかったりするのかを3つのポイントで説明します。
ポイント1:子どもは成長する
大人との1番の違いは「子どもは成長すること」です。
生まれてから1歳前後までに体重が約3倍、身長は約1.5倍になります。
体もどんどんと大きくなり成長していきます。
そして今まで出来なかったことが出来るようになっていきます。
例えば、いきなり寝返りが出来るようになった、ハイハイが出来るようになった、1人で歩けるようになったなど昨日まで出来ていなかったことが、いつの間にか出来るようになっていきます。
そして2歳までに大きな変化があります。
それは「自分で歩けるようになること」です。
個人差はありますが1歳頃になるとハイハイ、つかまり立ち、伝え歩きが出来るようになってきます。
1歳を過ぎると、つかまったり支えてもらったりせずに自分の力で立てるようになります。いわゆるよちよち歩きが始まります。
はじめは1歩1歩がおぼつかず、数歩歩いてお尻をついてしまうかもしれませんが徐々にスタスタと歩けるようになります。
2歳頃には自由に歩き回れるようになり、さらに走ったり、ジャンプをしたり、高いところに登れたりするようになっていきます。
しかし、まだ成長の過程であるため自分の身体を思うとおりに使うことが出来ません。
例えば足が思ったように上がらず、段差で躓いてしまうことがあります。
ポイント2:3頭身の体
子ども特有の身体の特徴があります。それは3頭身であるということです。
個人差はありますが3頭身から4頭身で頭が大きくて、重心が高いためバランスを崩しやすく転びやすいという特徴があります。
ポイント3:危ないことを判断できない
子どもは好奇心旺盛です。色々なことに興味を持ち、五感を使って確かめていきます。
見たり、触ったり、聞いたり、匂ったりとします。だから、興味あるものは触ったり、口の中に入れたりしてしまいます。
熱いものに触ってしまったり、危ないものを飲み込んだりしてしまう原因です。
2、0〜5歳で起きやすいケガや事故、予防と応急手当て
東京消防庁によると、0~5歳までの子どもで救急搬送される理由は
第1位 落ちる
第2位 ころぶ
第3位 ものが詰まる等
と発表されています。
参考:東京消防庁 図3-6 事故種別ごとの救急搬送人員と中等症以上の割合
第1位:落ちる
・ベッド、いす、ソファーから落ちる。
・階段から落ちる。
・高い段差から落ちる。
・公園の遊具から落ちる。
・家やマンションなどの窓から落ちる。
・自転車から落ちる。
ベッドやいす、ソファーから落ちてしまうことがあります。子どもは頭の方が重くいため、上から下を覗き込むと頭から落ちてしまいます。遊具や家の窓から落ちてしまうのも、同じような理由です。
予防
家の中であれば、キッチンや階段など危ない場所へ入れないように柵をつけます。柵のないベッドやソファーになるべく寝かせないようにします。もしそうしなければならない時は寝返りをしたり、動いた時に落ちてしまうため目を離さないようにします。またベッドやいす、ソファーの下には落ちても大丈夫なようにクッションマットなどを敷いておくと安心です。窓の近くにはよじ登れるような柵や踏み台を置くと登ってしまうことがあるため注意が必要です。
応急手当て
頭を打っていないか、意識はあるか、身体に傷があるか血が出ていないかなど無いか確認します。
「落ちる」ことで考えられるケガは打撲と骨折があります。特に気をつけたいのは頭を打っている場合です。
冷やして安静にすることが大切です。
頭の場合、遅れて症状が出てくることもあるため1~2日は注意して体調をみます。
もしけいれんしていたり、普段と様子が違ったり、嘔吐を繰り返すようであればすぐにて救急車を呼んでください。
顔から落ちたりすると、歯が折れてしまうこともあります。
再移植出来ることもあるため、乾かさないようにして病院へ持っていってください。
腕や足など曲がらないはずの方向へ曲がっていたり、子どもが強い痛みを訴えている時は骨折しているかもしれません。
なるべく早く病院を受診してください。ケガの程度やその場の状況によって、救急車をすぐに呼んだ方がいいか、なるべく早く受診した方がいいか、家で様子を見て良いか変わります。
判断に迷う時はかかりつけ病院など医療機関へ相談したり、公益社団法人日本小児科学会が監修している「こどもの救急」などのサイトを参照したりすることで救急車を呼ぶかどうか、様子を見ていいのかを慌てずに判断出来ます。
または休日や夜間など、厚生労働省が運営している「こども電話医療相談」に電話するという方法もあります。#8000とプッシュすると自動的に転送されて、小児科医や看護師につながります。
受診の目安やホームケアの方法を教えてくれます。
第2位:ころぶ
・段差につまづいてころぶ。
・ワゴンなど動くものにつかまってしまいころぶ。
・電源コードにつまづいてころぶ。
・走ってころぶ。
・お風呂場の中でころぶ。
まだ身体を上手に使えないため足が上がらなかったり、障害物をよけれなかったりしてつまづいてころんでしまいます。
予防
「落ちる」ことへの予防と似ています。
段差を出来るだけなくしたり、段差があるような場所には柵をつけて子どもが入れないようにします。
また、子どもはころぶものとしてテーブルの角を保護しするなどころんでもケガが小さく済むように準備しておくと良いです。
応急手当て
「落ちる」時の対応と似ています。
・頭を打っていないか
・意識はあるか
・身体に傷があるか血が出ていないか
など無いか確認します。
ころんだ時によく見られるのが擦り傷です。昔は消毒をしていましたが、現在は水でしっかりと傷口を洗い流して、絆創膏などを貼って傷口を乾かさないようにすることが一般的です。血が止まらなかったり、傷口が深かったりした場合は病院を受診します。判断に迷う時は「落ちる」時と同様です。
第3位:ものが詰まる等
・危ないものを飲み込む。
・口に入れたものが詰まってしまう。・危ないものを飲み込む。
- ・危ないものを飲み込む。
-
たばこや電池、洗剤、化粧品や薬などの化学製品や針やアクセサリーなどとがっているものを飲み込んでしまう。
公益財団法人 日本中毒情報センタ…
中毒110番・電話サ-ビス | 公益財団法人 日本中毒情報センター
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- ・口に入れたものが詰まってしまう
-
子どもの口の大きさが最大3.9cmと言われています。3.9cmより小さければ口の中を通り、喉奥で詰まってしまい窒息する可能性があると言われています。どれくらいの大きさかというちょうどトイレットペーパーの芯と同じ程度の大きさです。トイレットペーパーの芯を通り抜けてしまうものは危ないかもしれないと覚えておくと便利です。よく詰まりやすものは、食品であればブドウ、ミニトマト、ピーナッツなどです。食品以外であれば小さいおもちゃ、ビー玉など危ないと言われています。
予防
なるべく目に触れる場所に置かず、食品の場合は小さめに切ってたべさせること。
注意したいのは手の届かない場所に置いたり隠したりしても、子どもは大人の行動を見ており「あそこに何かある。」と興味を持つことがあります。
その場や子どもの成長に合わせて、臨機応変に対応していくことが大切です。
応急手当て
化学製品など飲み込んでしまった場合、すぐに救急車で病院へ行かなくてはならないものもあります。
どんなものを、どれくらい飲んだか確認してください。
むりに吐かせようとすると症状が悪化することがあります。
かかりつけ病院など医療機関や日本中毒情報センターへ相談をしてください。
詰まらせてしまった場合、吐かせます。
詰まっているものが取れず、呼吸が苦しそう、呼吸が止まってしまった、意識がない、けいれんがあったりして、「おかしい」と感じた場合はすぐに救急車を呼んで問題ありません。
3、おわりに
子どもが成長するにしたがってケガや事故は増えます。
大人が「どうしてそんな危ないことをするの!」と思ってしまうようなこともスルッとやってしまいます。
ケガや辛い思いをさせたくないという思いでずっと気を張って子どもについていても、どこかで疲れてしまいます。どんな時期に、どんなケガをしやすいか、どんな事故を起こしやすいかはある程度分かってきています。「この時期はこんなケガをしやすいんだ」と知っているだけでも、張り詰めた気をふっと緩められるタイミングを作ることが出来ます。
ずっと気を張り詰めると疲れてしまいます。「いつもは気をつけているのに」「いつもはしていないのに」ということが重なると、いつか大きなケガや事故につながってこともあり得ます。
子どもの命を守るために気を張っていることはとても素晴らしいことですが、リラックス出来る時間も増やしていくことも同じくらい大切です。
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この記事を書いた人
山本みどり
【プロフィール】
看護師経験。大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。
現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。発達ケアを通して、子どもとご家族が安心して過ごせるように支援をしている。
食から身体のことを整えたいと思い、プライベートでは中医学・薬膳を学んでいる。
【経歴】
看護師/Webライター
看護師歴6年 NICU、精神科、訪問看護(成人・精神特化・小児発達ケア)
家政婦やベビーシッターとしても働いている