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日本の医療は恵まれてる?!海外と日本の違い

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日本の医療は世界一流レベルと言われていることはご存知でしょうか。そりゃそうだと大きく頷く方が、ほとんどを占めると思います。

日本医師会は「日本の医療に関する意識調査」を定期的に行っています。2020年度の結果として、受けた医療に対する満足度は92.4%と高水準ということが明らかとなっています。他国からは「医療設備・科学技術レベルが高い」と評価されています。日本の医療を受けるために、来日する外国人も少なくありません。

なぜ日本の医療は、日本人からも他国からも高く評価されているのでしょうか。このコラムでは、日本の医療の特徴と他国と日本の違いについてまとめてみました。

この記事の目次

1. 日本の医療の特徴

日本の医療が高い理由の一つとして「国が国民の健康意識を高めるように政策を作っていること」が考えられます。では、日本は医療に関してどのような政策を展開しているのでしょうか。

それは、世界に誇れる制度「国民皆保険制度」です。日本の国民皆保険制度の特徴は3つに分けられます。

国民全員がいつでも必要な医療を受けられるよ。

日本医師会https://www.med.or.jp/people/info/kaifo/feature/より引用

(1) 国民皆保険制度とは

国民全員を公的医療保険で保障する制度を指します。この制度によって、すべての国民が医療保険に加入することになりました。

1961年に導入され、それまでは経済的な理由で十分な医療を受けることが出来なかった方が多くいました。しかし、国民皆保険制度のおかげで、新生児や乳児、妊婦、高齢者の受診が増えました。また、現役世代も医療が身近になり、安心して働くことができるようになりました。

この制度によって、医療格差が小さくなりました。結果的に日本は経済成長を成し遂げ、世界有数の経済大国となりました。

(2) フリーアクセス

日本では患者が医療機関を自由に選び、医療を受けることができます。これは普通なのでは、と思われたかもしれません。

しかし、フリーアクセスを備えているのは日本、ドイツ、アメリカのみです。この3か国以外の諸外国では、かかりつけ医の登録制を採用しており、最初は登録された指定医療機関を受診することになっています。

患者の選択肢が増える、いつでもどこの医療機関でも受診できるという精神的な安心感が得られるなどメリットがあります。

しかし、デメリットとしては、軽症でも大病院を受診してしまう点が挙げられます。大病院が混雑することで、大病院でしか対応できない重症な患者の対応が遅れたり、医療従事者の負担増大に繋がったりすると考えられます。

そのため、現在はフリーアクセスと並行に、かかりつけ制度の推進をしています。

(3) 現物給付と現金給付

治療費の自己負担以外の金額分が医療サービスという現物として給付されるたえ、「現物給付」と言います。医療機関を受診した時、1~3割の窓口負担分を除く部分が医療サービスとして給付されるものを指します。

また、自己負担が高額になった場合に、収入に応じて自己負担限度額が決められており、それを超えた金額を支給する制度もあります。病気やケガ、出産、死亡した場合等に、一定の金額を現金で受け取れる「現金給付」もあります。

傷病手当金、出産育児一時菌、出産手当金、埋葬料・葬祭費などを指します。これらの制度によって、医療を受ける際に経済的な負担を減らすことができ、日本国民は医療を受けやすい環境にいる訳です。

2.海外と日本の違い

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(1) アメリカ

アメリカの公的医療保険は2種類あります。65歳以上の高齢者や障害者などを対象とする「メディケア」と、低所得者を対象とする「メディケイド」のみです。

対象外のほとんどは現役世代の方で、民間の医療保険に各自で加入するしかありません。そのため無保険者が多数存在しているのが現状です。

また、アメリカの医療は日本に比べて非常に高額です。例えば、虫垂炎の入院医療費に関しては、日本では約31万円なのに対して、アメリカの私立病院では約599.5~816.5万円かかると言われています。(参考:公的医療保険って何だろう?1)

所得によって受けられる医療に大きな格差があることから、アメリカは医療格差が大きい国と言えます。

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(2) ヨーロッパ各国

国によって異なるものの、多くの国が公的医療保険を採用しています。イギリスでは、国民保健サービス(NHS)があり、すべての市民が無料で医療サービスを受けることができます。

ドイツやフランスにおいても、事実上国民皆保険制度となっており、国が医療費を一部負担する仕組みとなっています。

経済的な理由による医療格差は小さいのですが、いくつか問題があります。一番大きいのは資金面であり、予算の制限で医療の質の確保や医療スタッフの雇用などが課題となっています。

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(3) 東南アジア

中国の医療保険制度は、戸籍や就業の有無によって加入できる制度が異なります。自身が保険料を支払っている地域以外で受診する場合は、全額自己負担が原則です。また、医療を受ける前に支払いが必要になる場合もあります。

タイでは、3種類の公的医療保険があります。そのうちの国民人口の約4分の3が加入している「国民医療保障制度」では、原則として事前に登録した医療機関のみ受診が可能です。しかし、医療格差を小さくするために「30バーツ医療」と呼ばれている制度があります。これは1回の外来や入院につき、30バーツ(日本円で120~140円)の自己負担で医療が受けられるといったものになります。

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(4) アフリカ

医療を受ける以前に、食糧問題や衛生環境の問題があり、多くの人たちが食事を十分にとることが出来ず栄養不足に陥っています。

数少ないアフリカの医療機関でも、医師や医療従事者の数が圧倒的に足りません。交通インフラが整備されていないため、受診に行くことも困難、医療物資を届けるのも困難な環境にあります。

アフリカの現状を改善するために活動している支援団体が各国にあり、寄付やボランティア派遣などを行っています。

3.まとめ

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今回のコラムでは、

✓日本の医療制度

✓海外の医療制度

についてまとめました。日本での当たり前が、海外では当たり前ではなく特別なこともありましたね。次回は、日本国内の医療格差についてまとめたいと考えています。お付き合いいただけると嬉しいです。

<参考資料>

日本医師会 日本の医療保険制度の優れた特徴

医師のともキャリア 日本と海外の医療制度の違い

ジェイアイ傷害火災保険株式会社

厚生労働省 医療提供体制の国際比較

アフリカの医療問題、現状を知り必要な支援を考えよう

この記事を書いた人

冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業

冨永美紀

母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
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