新生児とは生後0日から28日未満の赤ちゃんを指します。
子どもの成長は目まぐるしいです。
短い期間であっという間に大きくなっていきます。
このコラム内では新生児の体の特徴を乳幼児、幼児と比べながら説明していきます。
この記事の目次
1. 新生児、乳幼児、幼児、乳幼児とは
新生児 | 生後0日から28日未満の赤ちゃんのこと |
乳児 | 児童福祉法によって『1歳未満の者』と定められています |
幼児 | 児童福祉法によって『1歳から小学校就学の始期に達するまでの者』と定められています |
乳幼児
| 『乳児』と『幼児』を合わせた名称です。 明確な区分はありませんが、乳児期と幼児期を合わせた期間を指します。
0歳から6歳頃までの子どもと考えていると分かりやすいです。 |
2. 新生児の体の特徴
新生児の体の特徴を乳幼児と比較しながら説明をします。
①身長と体重
生まれたばかりの新生児の身長は平均50cm、体重は平均3kgです。
毎日30g程度ずつ体重が増えていくと言われています。
1歳頃には身長78cm、体重10kgまで成長すると言われています。
6歳になる頃には身長116cm、体重20kgまで成長すると言われています。
遺伝や男女の違いなど先天的な要因や食生活や環境などの後天的な要因が組み合わさり、身長や体重には個人差が出てきます。
②頭・頭蓋骨
頭蓋骨をイメージする時、イラストのようなイメージが湧いてきませんか?
確かに大人の頭蓋骨はイラストのような感じですが、新生児の頭蓋骨は大人とは全く違います。
赤ちゃんは生まれて来る時、お母さんの狭い産道を通ってきます。
その際、頭蓋骨を移動させ、頭の形を変形させながら産道を進んできます。
新生児の頭蓋骨は何枚かに分かれており、すき間があります。
その隙間が『大泉門』と『小泉門』と呼ばれています。
大泉門とは、額の少し上部分にあるすき間です。約3cmでひし形の形をしています。触るとペコペコする感触があります。よほど大きな力で押さない限り、触る程度なら問題ありません。しかし、頭蓋骨のすき間であるため強い衝撃は加えると脳に障害が残る場合があります。
小泉門とは、後頭部にある骨のない柔らかい部分です。生まれてすぐに閉じることが多いと言われています。
乳幼児期に注意したい『揺さぶられっこ症候群』
赤ちゃんを激しく強く揺さぶると脳内出血を起こすことがあります。特に首がすわっていない時期に見られやすいです。赤ちゃんはまだ首の力が強く、頭を支えることが出来ません。そのため強く揺さぶられると、頭が大きく揺れ動いて、出血を引き起こす可能性があります。
育児中のストレスで、衝動的に強く揺さぶってしまって起こることがあると言われています。例えば母親1人で育児をして、体力的にも精神的にも限界に近づいている時に赤ちゃんが泣き止まずに、泣き止まそうと衝動的に揺さぶってしまったというケースもあります。限界になる前に、育児の不安やストレスを誰かに相談して助けを求めてください。
赤ちゃんを高く持ち上げるような遊びや車に乗った際の振動など、通常の範囲内であれば揺さぶられっこ症候群になることはありませんのでご安心ください。
③目・視力
新生児の視力は0.01ほどと言われており、光を感じて近くの物がぼんやり見える程度と言われています。
徐々に視力が発達していき、形を認識出来るようになっていきます。
6歳までに視力は1.0以上になると言われています。
④耳・聴力
妊娠6か月でお母さんの心音を認識し、妊娠7か月から周りの音を聞きとるようになると言われています。
生まれてすぐにお母さんの声を聞き取ることが出来ます。
6か月を過ぎると言葉の区別がつき始め、聞き分けることが出来るようになってきます。
⑤胃腸・栄養を取り入れる機能
新生児の胃の形はS字にはなっておらず、とっくりのようなまっすぐな形になっています。
そのためミルクを飲んでげっぷをさせないと吐き戻しをしやすいです。
また容量が300mlと言われており、一度に大量のミルクを飲むことが出来ません。
個人差がありますが、新生児のうちはちょこちょことミルクをあげる必要があるため約3時間毎に授乳をすることが多いです。
S字のような大人の胃の形になるのは3歳頃と言われています。
⑥肺・呼吸機能
新生児は酸素の消費量が多いとされ1分間に40回呼吸をします。
成長するにつれ、少しずつ呼吸数が減っていきます。
幼児期には1分間に25回ほどの呼吸数になっていきます。
また新生児と乳幼児期は腹式呼吸をしています。
そのためげっぷを忘れて胃に空気がたまったままにしたり、便秘であったりすると腹式呼吸がしにくくなります。
6歳を過ぎると胸式呼吸になり、大人になると胸式呼吸と腹式呼吸を合わせて使いこなすことが出来るようになります。
また新生児と乳幼児は鼻呼吸です。
風邪を引いて鼻が詰まると、口呼吸が出来ないため呼吸困難になることがあります。
鼻水が詰まっているなど、綿棒で取り除いたり、吸引器で吸ってあげたりすると呼吸が落ち着きます。
⑦皮膚・体温調節の機能
新生児期、乳幼児期ともに汗をかく機能が未熟です。また体温も高いため、熱中症になりやすいです。
3. 新生児特有の〈原始反射〉
生まれてきた赤ちゃんは外の世界に適応しようと様々な刺激に対して反応を示します。原始反射とは刺激に対して、無意識的で反射的に体を動かすことです。原始反射の一部を紹介します。
吸てつ反射 | 口もとに何か触れると吸い付く動作
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モロー反射 | 大きな音や眩しい光、抱っこをしようとする時などの急で大きな動きに対して反射的に両手を広げて万歳をするような、または何かにしがみつくような動作 |
原始反射は脊髄と脳幹でコントロールされています。
成長していくと2か月から4か月頃には消えると言われています。
原始反射がずっと続いていたり、もしくは見られなかったりする際は小児科を受診するか、健診の際に保健師等に相談してください。
4. おわりに
このコラムでは新生児期の体の特徴について説明しました。
初めての子育ての場合、不安になることもありますのでご参考になれば幸いです。
この記事を書いた人
山本みどり
【プロフィール】
看護師経験。大学病院のNICU(新生児集中治療室)で勤務後、精神科、訪問看護を経験。
現在は小児発達ケア専門訪問看護ステーションで発達障がいと診断された子どもやそのご家族へ小児発達ケアを行っている。発達ケアを通して、子どもとご家族が安心して過ごせるように支援をしている。
食から身体のことを整えたいと思い、プライベートでは中医学・薬膳を学んでいる。
【経歴】
看護師/Webライター
看護師歴6年 NICU、精神科、訪問看護(成人・精神特化・小児発達ケア)
家政婦やベビーシッターとしても働いている