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知っておくと安心!大腸カメラってどんな検査?
近年、生活が欧米化したこともあって、「大腸ポリープ」の発症は増えています。
それを発見するために必要な大腸カメラ検査について、私自身の経験も踏まえて、お伝えしたいと思います。
1. 大腸カメラってどんなもの?
「大腸カメラを見たことがある」という人は、あまりいないとは思います。
私が勤めていた頃、患者さんに検査の流れは説明していましたが、機械を見せて「これが、その器械です。」なんて、説明することはありませんでしたので、おそらく検査を受けたことのある方も、どのような機械を使っているかまでは、ご存じないと思います。
現在使われている機械はこちらです。
先端にカメラが付いていて大腸の検査に使用するから「大腸カメラ」ですね。
昔は大腸ファイバー(ファイバースコープ)と言っていました。超小型CCDカメラが出来る前のことです。
当時、病棟で勤務中に私が患者様へ検査の説明を行っていたのです。
その説明を聞いていた消化器内科医から、「今は大腸ファイバーじゃないよね、大腸カメラって言わないとね。」と、チクリと嫌味を言われたのを思い出しました。
ですから正しくは「下部消化管内視鏡」と言います。
その管の直径は1.0cm程度で見た目は黒いホースのようなものです。
先端にカメラが付いていて手元のコントローラーでカメラの向きを変えたり、写真を撮ったり、照明も付いています。
物を掴んだり切ったり、水を出したり、吸引したり、空気を出すこともできるノズルが付いています。
2. 大腸カメラで分かること
大腸を見るのが「大腸カメラ」です。
肛門から先には便が溜まっていますので、カメラをそのまま入れても便しか映りません。
そのため大腸カメラを使う前に大腸内をきれいにしてから検査をするのです。
きれいな大腸内にカメラを入れると、上記の写真のように撮影できます。
3. 大腸カメラの必要性
腹痛がある、便秘や下痢が続く、血便が出る、血液検査で貧血を指摘された、便潜血検査が陽性だったなど症状や検査での異常があった場合はその原因を調べる必要があります。
症状によって検査の目的やタイミングが違いますので次に説明します。
(1) 定期検査(もしくは人間ドックや検診)で受ける場合
この場合は症状がなくても、病気や異常が無いかを調べるために検査を受けます。
(2) 検査のタイミング
大腸がんの多くは腺腫という良性のポリープが大きくなって癌になるというパターンを取ります。
アメリカからの報告では大腸内視鏡を行って大腸ポリープ(腺腫)をすべて切除することで大腸がんによる死亡率が53%低下したという報告があります。
また、大腸がんは早期であれば内視鏡の治療で切除が可能ですし、根治の治療を行うことが出来る可能性が極めて高くなります。そのため、症状が無くても定期的に検査を行うことで病気を発見しやすくなります。
検査を行う間隔は、ポリープの出来やすさによって変わります。
目安としては、検査をしたときにポリープがあれば一年後に検査を行い、ポリープの再発が無ければ、その三年後に。
というような間隔(タイミング)で、検査をすることをお勧めします。
しかし、個人差があり、人によっては「半年毎に出来る」という方もいらっしゃいました。
(3) ポリープや大腸の病気があり、経過観察の目的で検査を受ける場合
元々ポリープなどの異常を指摘されていて、すぐに治療をする必要はないが、大きさや性状の変化が無いかを定期的に観察する必要がある場合の事です。
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患という病気を持っている方も大腸カメラでの定期的な経過観察が必要です。
4. 私が経験した大腸カメラ検査の流れ
私が消化器内科病棟で勤務している頃、排便後に便器が真っ赤になり、青ざめた経験があります。
その時、真っ赤な便器を見てとっさに「切れ痔?それとも大腸がん?」と考えました。
翌朝病院を受診し、2日後に大腸カメラ検査をすることになりました。
大腸カメラ検査は大腸内に便があると検査が出来ないので、2日後になったのです。
- ・検査前日
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夕食を食べた後(なるべく早い時間に食べ終わる様にします)から絶食となります。
水分は飲んでもかまいませんが、お腹の中に残りそうな、消化の悪いもの、検査の妨げになるようなものは摂取してはいけません。飲んでも良いものは水かお茶です。
夜の9時に下剤を服用します。便秘ではない場合は錠剤を2錠服用します。
(私は、便秘ではなかったのでセンノシド2錠でしたが、便秘の方は水薬の場合もありますし、錠剤を増やす場合もあります)
- ・検査当日
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絶食のまま、予約の時間に病院へ行きます。
外来の検査の前室で看護師から説明を受け、2リットルの下剤を飲みます。
(同じ検査をする予定の他の方々と、会話しながらスポーツ飲料のような味の下剤を各自それぞれのペースで飲んでいきます)
私は前日に飲んだ下剤の効果で、真夜中から朝までに6回排便に行っていました。
2リットルの下剤を飲む時には、既に大腸の中は空っぽなのではないかと思うほどに排便に行き、眠る暇もないほどでした。
しかし、空っぽだと思っていても、出ます。
そして、排泄物の状態を看護師がトイレに確認に来ます。排泄後、流さずに看護師に観て確認してもらいます。
私も、自分の職場では患者さんの便を確認し、検査室のスタッフへ状態報告していましたので、便がどういう状態になれば検査ができるのかは知っていました。
2リットルの下剤を飲み終わる頃には「排尿したのでは?」と自分を疑いたくなるほどの水分が勢いよく肛門から出ます。
便器の中には透明な水分のみです。こうなって、初めて検査ができるのです。
大腸内に何も入っていない、きれいな状態を表しているのです。
- ・検査本番
-
私は、麻酔薬を使わせてもらいました。それでも、検査中に下腹部に鈍い痛みが有ったのを覚えています。大腸カメラを行うまでは、怖くて仕方がなかったのですが、麻酔のおかげで気付けば終わっていたのです。そして結果は肛門の内側に小さなイボ痔があり、それからの出血だったそうです。
今回は、特に大きな病気もなく事なきを得ました。
5. まとめ
大腸カメラ検査は、する方もされる方も、とても大変ですが、症状が軽いうちに発見出来ると後々困らないで済みます。安心を得るという意味でも大事な検査だと思いました。
参考文献:大腸カメラの詳細~楽な受け方のコツから痛くない挿入法まで~
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この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)