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人類史上最大の病気
様々な世界記録を登録しているギネスブックに歯周病が掲載されていたことをご存じでしょうか?
2001年に出版されたものには「全世界で最も患者が多い病気は歯周炎などの歯周病である。
地球上を見渡しても、この病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない。」というように掲載されています。
歯周病は世界中で見られますが、日本ではなんと30代~50代で8割の方が歯周病もしくはその前段階にいる、という報告があります。
歯周病は歯の損失だけにとどまらず、糖尿病や認知症・がんなど重大疾病のリスクも上げるとても恐ろしい病気です。
最近ではオーラルフレイルを引き起こし介護の原因となってしまうため、歯周病対策が特に注目されています。
今回は歯周病の原因から、その怖さをご紹介します。
歯茎から血がでたら赤信号
一般的に「歯茎から血が出たら歯周病を疑ったほうがよい」と言われていますが、「歯周病」とはどういった状態を指すのでしょうか。
ここでは不健康な歯茎から、なぜ血が出るのかを解説します。
口の中には約500~700種類の菌がいると言われています。
もちろんすべての菌が悪いものではなく、腸内のように善玉菌と悪玉菌が共存しているような状態にあります。
これらの菌は口に残った食物を元に増殖し、時間が経つと、食物と菌と唾液中のカルシウムが混ざり「歯石」と呼ばれるものになります。
この歯石は普段歯磨きで届きにくい歯と歯茎の間にできやすいとされています。
歯石で増殖した菌は、なんと歯茎の毛細血管からカラダへ侵入しようとします。
それから身を守るため、人体では免疫の役割をもつ白血球を送るために血流を増やしたり、新たな毛細血管を構築したりと対応します。
これにより炎症が起こるため、不健康な歯茎は赤く見えるのです。
そうした血管は柔軟性に乏しく、ブラッシングの圧がかかると出血する、というメカニズムのため、歯茎から血が出たら歯周病の危険信号ということになります。
レッドコンプレックスの対策を!
先述したように口腔内には様々な菌が存在していますが、歯周病に関連する菌はこの中でも20種類と想定されており、影響の強さ順に色分けされピラミッド図であらわされます。
特に影響の大きい菌が3種あり、これは「レッドコンプレックス」と呼ばれ、この菌の増殖を止めることが出来れば、歯周病予防につながると言えます。
また常在菌のバランスを崩さないことも大切です。
口腔の中は善玉菌9割、悪玉菌1割が理想といわれており、いたずらに殺菌をすれば良いという話ではありません。
続きは次回のコラムにてご紹介いたします。
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≪参考文献≫
①厚生労働省 e-ヘルスネット
②Let`s8020
③日本臨床歯周病学会
④糖尿病情報センター
この記事を書いた人
沢目 晃誠(さわめ こうせい)
■保有資格
・管理栄養士
・調理師
■プロフィール
高校で調理師免許を取得した後、栄養学に興味を持ち管理栄養士養成大学へ入学。
卒業後、手指消毒用アルコールや石鹸,健康食品メーカーのサラヤ株式会社にて営業職を経験。
現在は食品部門の商品開発に従事。商品に関連する情報発信も行っている。