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看護師がわかりやすく解説! 精神疾患② 精神疾患をもつ方とご家族Ⅱ

精神疾患をもつ方との生活で、ご家族が困ることの1つに「今日の体調は良いのだろうか」を判断することだと思います。

この記事では、看護師が日ごろ精神疾患をもつ方を観察している内容を基に、生活の中で体調を判断するポイントをお伝えします

この記事の目次

1.ご家族の困りごとの解決策

神疾精神疾患をもつ方のご家族の困りごとについて研究した結果

  • 服薬を続けさせる苦労
  • 迷惑行為などの心配
  • 病状の急変等の心配
  • 病院と考え方のずれ
  • 心身ともに疲れる

このような困りごとに対し、早めに不調に気づき受診につながれば解決の糸口が見つかります。

しかし精神疾患をもつ方は考えや気持ちがまとまらず、ご自分の不調をうまく伝えられないことがあります。
そのため精神疾患をもつ方のご家族が体調を確認する必要があります。
精神疾患をもつ方は精神状態や薬の影響によって、「普段の生活」が変化します。

体調を確認する方法はこの後に記載しますが、大切なのは「普段の生活」を知っておくことと「いつもと違うところ」に気づくことです。

体調を確認するポイントがわかると、早めに不調に気づき適切なタイミングで受診ができるので、困りごとの解決が可能です。

これが安心した生活につながります。

2.精神疾患をもつ方の体調を確認する時の7つのポイント

診察時には以下に紹介する7つのポイントを箇条書きにするなどして、ご活用いただけたらと思います。

①食事

食べ物や水分を摂ることは、生きるために必要なエネルギーを摂ることです。

食事量の増減は、例えばうつ症状があれば食べる量が減り、主に統合失調症で使用されるお薬には、食欲を増進させる作用をもつお薬もあります。
水分を摂る量もお薬の副作用により、増えることがあります。
極端に多いと体の電解質バランスが崩れ、体調不良につながります。

このように、食べ物や水分摂取には精神症状や薬の副作用とも関連しています。

普段の食べる量や内容、時間や好み、しっかり噛んで飲み込めているか等を確認しておくと、変化があった時に気づきやすくなります。

②排泄

人間は生きていくうえで、水分や食物を摂取し、尿や便として体内から出すことが必要不可欠です。

精神疾患をもつ方の症状により、排便をしたくないために食事摂取を拒否したり、トイレに行けなくなったり、あちこちに放尿するということがあります。
お薬の影響で尿や便が出づらくなることもあります。

普段のトイレに行く様子や、定期的に便が出ているのかを確認しておくと、変化があった時に気づきやすくなります。

③身だしなみ

清潔を保ち、身だしなみを整えることは、社会や人とのつながりにおいて重要な要素です。

観察ポイント

  • 体を洗ったり歯みがきをしたり、爪切りはできているか
  • 季節にあった衣服を着ているか
  • 化粧が急に派手になっていないか
  • 掃除ができているか 等

清潔を保てない・身だしなみを整えられない理由

  • やる気が出ない
  • 汚れていることに気づかない 等
    ※気分が高揚している場合、奇抜な化粧や華美な服装になることもある。

普段はどのようなペースでお風呂に入っているのか、着替えはできているか等を確認しておくと、変化があった時に気づきやすくなります。

④活動と休息

活動とは体を動かす・本を読む・人と関わる等のことです。
活動をした後は疲労の回復と活動のためのエネルギーを蓄えるために、睡眠や休息が必要です。
活動と休息のバランスがとれていると、健康が保てていると言えます。

精神疾患をもつ方は、活動をし過ぎることや、逆に日中に活動できないことがあります。
お薬の影響で夜に目が醒めることもあります。

普段の昼間の生活の様子や夜の睡眠の様子について確認しておくと、変化があった時に気づきやすくなります。

⑤コミュニケーション

心の健康や安心感は対人関係に左右されます。

精神疾患をもつ方に限らず、人間関係に問題を抱えながら生活をしている方は多いです。
精神疾患をもつ方は、精神症状やお薬の影響で、より対人関係が難しくなることがあります。

普段ご家族と会話している時に、どんな表情や口調で話しているかを確認しておくと、変化があった時に気づきやすくなります。

また、1人になって考えたり、判断したり振り返る時間も心の健康には大切です。

⑥安全に過ごせているか

安全に過ごすとは、精神疾患をもつ方が危険を予測して防いだり、危険な状況から身を守れたりすることです。

精神症状により、暴力を振るうことや、自分を傷つける可能性もあります。
このような時はすぐにかかりつけの病院へ連絡する必要があります。

薬の影響で歩くのが不安定になり、転ぶ可能性もあります。
もし転んだり、どこかから落ちたりした時に、意識がはっきりしない、痛みが強くて動けないという場合には救急車を呼ぶ必要があります。

普段と比べて落ち込んでいる、または興奮している、歩き方がフラフラしている等のことがあれば、早めに受診をする必要があります。

⑦お薬を飲めているか

精神疾患をもつ方の多くはお薬を飲んでいます。

どのような精神症状か、その症状はどのような強さなのかによってお薬の内容や量が変わります。
お薬を飲むことで精神症状が安定します。

ご自宅での生活を続けるためには、お薬を飲めているかは大切なポイントになります。

しかし、お薬の影響で生活に支障が出ることもあるため、普段の生活の様子を確認しておくことが大切です。

3.体調を確認するポイントがわかると「安心」できる

外来での診察時間は平均5分から10分です。

医師はこの診察時間の中で、体調やお薬の効果について判断します。
その際に指標の1つとなるのが、生活の様子です。

精神疾患をもつ方やご家族が体調を確認するポイントに沿って自宅での過ごし方を医師に伝えられると、症状に応じたお薬の処方や体調に応じたアドバイスを受けることができます。

自分に合っているお薬であれば服薬の継続がしやすくなる可能性があります。

大きな不調を防ぐことや、問題のある行動の対応についてのアドバイスを受けられます。

精神疾患をもつ方とご家族、そして医師が体調や治療内容について共有できると、思いの行き違いが解消され信頼関係の構築にもつながります。

これらのことは結果的にご家族の負担を減らし、心身の疲れを軽くします。

4.おわりに

診察の時に伝えようと思っていることを、診察の時間内へ医師に伝えきれないこともあります。
病院には看護師やソーシャルワーカーがいます。
また薬局には薬剤師がいます。

病院での困りごとを解決する相談先

体調面看護師
お金
社会制度
ソーシャルワーカー
お薬薬剤師

このような状況の時も体調を確認する7つのポイントに沿って説明すると各担当者から適切なアドバイスがもらいやすくなります。

この記事では、精神疾患をもつ方は不調をうまく伝えられないことがあるため、ご家族の安心につながるよう、体調を確認する時の7つのポイントにお伝えしました。

次回は精神疾患をもつ方とのコミュニケーションにおいて心がけたいことについてお伝えします。


この記事を書いた人

清水明日香 プロフィール 看護師経験23年。総合病院(消化器外科・内科、整形外科)、リハビリテーション病院(地域包括支援病棟)、老人施設で勤務。 現在は精神科訪問看護師として月に約100件の訪問をしている。 精神科訪問看護では、薬物療法などの治療が継続して受けられるようにする支援、ご利用者様やご家族の悩みや困りごとを一緒に明確にし、解決する方法を考え、行動できるように支援している。 ウェルネスナースとして女性が健康でいるための情報を発信している。 執筆・講座 「いつも疲れを感じている40代女性がセルフケアを身につけ元気を取り戻すためのお話会」/ウェルネス講座 「自分で心とからだを元気にするためのブログ」/note

清水明日香

プロフィール

看護師経験23年。総合病院(消化器外科・内科、整形外科)、リハビリテーション病院(地域包括支援病棟)、老人施設で勤務。

現在は精神科訪問看護師として月に約100件の訪問をしている。

精神科訪問看護では、薬物療法などの治療が継続して受けられるようにする支援、ご利用者様やご家族の悩みや困りごとを一緒に明確にし、解決する方法を考え、行動できるように支援している。

ウェルネスナースとして女性が健康でいるための情報を発信している。

執筆・講座
「いつも疲れを感じている40代女性がセルフケアを身につけ元気を取り戻すためのお話会」/ウェルネス講座
「自分で心とからだを元気にするためのブログ」/note

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