前回、「1:脂肪肝には、痛みはない」ということについて、お話いたしました。
前回の記事
看護師が解説!脂肪肝って、痛みがあるの? 脂肪肝①
私は、消化器内科のある病棟で、17年働いてきた看護師です。看護師なので学生時代から、教科書や、医療の現場で「肝臓」について習います。 肝臓には、こういう働きや役…
脂肪肝と診断されたとしても、「脂肪肝の場合には痛みはない」ということです。
今回は、脂肪肝と言われたら・・・
それは、治るのか?治らないのか?についてです。
まず、肝臓がどういう臓器なのか、どういう特徴があるのかをお教えします。
肝臓には自己治癒能力があります。
これは他の臓器には無い唯一の能力なのです。
自己治癒能力とは、どういうものか皆さんも 問われると、なんとなく・・・こういったものかな。
と、思いつくものもあるでしょうか。
自己治癒とは
「けがや病気になった場合に、薬を服用しなくても、それらを治そうとする機能」のことを言います。自然治癒力とも言います。
例えば、皮膚の小さな切り傷などが、いつの間にか治っていることはありませんか?
私の場合ですが
「あ~、やっちゃったなあ・・・」なんて思うような小さな傷などは絆創膏ですら、面倒でそのままにしておくことが、たまにあるのですが数日経過して、気付けば傷は無くなっていた。なんてことがあります。
現在、50代の私は若いころ(私の感覚で10代から30代前半くらいまで)に比べて、切り傷や、風邪をひいたときなどに、治るまでの期間が、明らかに長くなりました。
よく、私は包丁などで怪我をしてしまった時にその切り傷が治るまでを観察します。
どれくらいの時間で、どのように傷口が治っていくのかを観察するのが趣味というか、気になるのでついつい、観察してしまうのです。
人によっては、「傷口なんて凝視できないわ~」「気持ち悪い~」ってと感じる方もいらっしゃいます。
私が、看護師だからこその習性なのかもしれません。
かといって、看護師がみんな、そういう習性があるわけではないでしょうね。
傷口を見るのが苦手な看護師とかもいます。
今までに怪我をする度に(私の場合、指先の包丁の切り傷が多いので目につきやすいのもあるかもしれません)傷を負った日から、毎日その傷口を観察していると
- 10代から20代の頃には、切り傷は3~4日すれば、きれいに治ってた。
- 30代前半には、4~5日で、40代になると、7~9日かかる様になった。
これは、私個人の感覚となります。
そういう、自分自身を治す機能を唯一持っているのが、肝臓です。
肝臓だけは、自身で治癒しようとする力を持っているのです。
そんな、肝臓が脂肪肝と言われた場合治るのか?治らないのか?
「治癒力あるってことは、治るんでしょ?」と思いますね。
完全に何もなかったこと(脂肪肝になる前の健康な肝臓)には戻れないのですが、検査データを改善させることは出来ます。
皮膚の切り傷も、傷を負う前には戻れないですよね?治っても、傷跡がいつまでも残っています。
それと、同じです。どの内臓も、炎症や傷を負った後、何もなかった頃には戻れないのです。
そのため脂肪肝を治すには、脂肪肝になってしまう原因を知ることが大切です。
- アルコール性脂肪肝は、その名の通り
お酒の飲みすぎが原因となる脂肪肝です。
この場合は、まず、アルコールの摂取量を減らすことが治療のひとつです。
- 非アルコール性脂肪肝は、お酒をたくさん飲んでいなくても発症する脂肪肝です。
その原因は、肥満やメタボリックシンドロームなどです。
適正な体重を維持できるように、運動や食事制限などで体重を減らし、生活習慣を整えることが治療になります。
また、非アルコール性脂肪肝の中には、肝硬変や肝癌に進行するタイプである
「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」になる可能性があります。
放置すると『脂肪肝⇒NASH⇒肝硬変・肝癌』と時間をかけてゆっくりと進行していくものもあります。
(これについては、次回の 【③脂肪肝の何が怖いの?】で、お話しいたします。)
それでは、「脂肪肝を治す」には?
もうお分かりかと思いますが地味に、運動や食事制限、アルコールを断って、生活習慣を立て直して・・・といった普通に考えれば簡単なことの積み重ねです。
昔、見た目だけで 病棟勤務時代の肝臓内科専門医師から
「あんた、脂肪肝でしょ」と、言われた私。
その当時(10年くらい前で、私は40歳頃)、年二回、定期的に健康診断を受けていましたが採血で異常だと引っ掛かったことは一度もありませんでしたし、中性脂肪だって、正常範囲内の下の方で、低めでしたし。
ただ、見た目はぽっちゃりでした。
身長154センチに、体重は65キロという健康診断の結果には、「肥満」の二文字が。
そして「週に二回以上 30分程度の運動を・・・」と注意書きがありました。
肝機能の異常も何もないのに、肥満だから、BMIが30以上だから、脂肪肝でしょと診断できてしまうのだそうです。その専門医が言うには「見た目でわかるのよ」とね。
そして、その後 10年経過した今、私は51歳となりました。
現在体重は、人生最大となり、BMIは33です。
中性脂肪も上がり、そろそろ本格的にダイエットしないと、と毎日思っていますがなかなか続けるのも大変です。
運動が大嫌いな私はもう、見た目でお世辞にも「ぽっちゃり」とは言えない、「立派なおデブさん」に成長しました。
そして、体重の増加と共に、正常値内の低めの数値だった、中性脂肪も範囲の上限ギリギリとなりました。
*正常値は30~149mg/dL
脂肪肝だと言われた方々と一緒に、
「そろそろ本気で向き合わなくては!」と考えを改めていきます。
簡単なことの積み重ねで治るなら、こんなラッキーな病気はないですものね。
今のうちに、採血の数値の改善に取り組みましょう。
もし、それが出来なかった場合には薬物治療もあります。
薬物治療までの流れ
脂肪肝と診断⇒病院受診⇒「生活習慣の改善を」と言われた後⇒中性脂肪やコレステロール数値が一向に改善しない場合⇒先生からのお叱り⇒薬物治療がスタート
よほど、数値が酷くない限りは、大体この流れです。
なので、お叱りを受けて、治療開始となる前に、私(私史上最大のおデブさん)みたいになる前に、生活習慣と食事内容を見直して、体重を減らす有酸素運動をしてみましょう。
私は、肝臓内科で勤務してきた看護師です。
肝臓の病気の知識もあり、その経過の末路を知っています。
それでも、自分自身に甘くて不摂生をして、運動をしないでいると、こうなってしまうのです。
皆さんも、私のようにならないようにしてください。
それでは、次回「③脂肪肝の何が怖いの?」で、お会いしましょう。
この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)