目次

看護師が解説!呼吸や深呼吸の大切さについて①

The importance of deep breathing

空気を鼻や口などから吸って吐く、呼吸。

人間も含めたほとんどの生物にとって、生命維持に欠かせない働きです。
生きるために必要な呼吸を忘れるほど、仕事に追い込まれてしまった経験はありませんか?

・・・わたしはあります。

自分は大丈夫と思っていましたが、知らない間に追い込まれてしまっていました。
これが呼吸を忘れることか、と振り返って気付くことができました。
仕事に追い込まれた経験から、呼吸・深呼吸の大切さについて学びました

ご多忙にされていらっしゃる方やストレスを溜めやすい方の一助になれれば幸いです。

この記事の目次

1.呼吸を忘れるほど仕事で追い込まれてしまった話

書類の山

(1)追い込まれた時の仕事内容

2020年1月から今もなお猛威を奮っている新型コロナウイルス。

今でこそ共存しつつありますが、一時期はどのくらい恐ろしいものなのかわからず、日本は大混乱していました。
その当時、わたしは訪問看護師として現場で働きながらコールセンターでの相談業務を行っていました。

訪問看護の仕事が終わってからコールセンターへ、また訪問看護が休みの日は一日コールセンターへという生活でした。
今回お伝えしたい事件はコールセンターでの勤務中に起こりました。

勤務していたコールセンターは、新型コロナウイルスに関する相談窓口が主な業務内容でした。
看護師150名体制の大規模なコールセンターで、ピーク時は朝から夜まで電話が鳴り続けていました。
帰宅後に電話の呼び出し音が空耳で聞こえてくるほどでした。。

(2)ミスを重ねて大失態

とある日、相談業務の中で普段やらないようなミスをしてしまいました。

次に生かそうと思い業務を進めていくけども、また別のミスをしてしまう。
注意を受けながら、鳴り続ける電話の対応を続けるものの、心が落ち着かない中での対応で、またミスを繰り返してしまうと悪循環でした。
最終的には電話中に声が擦れて出なくなってしまい、涙が出てきてしまう状況に。
このような精神状態の中では、適切な対応ができるはずもありませんでした。

結果的には責任者が出てくるような大きなクレームに繋がってしまいました。

(3)肺がしぼむ感覚

声が擦れて出なくなることは生まれて初めての経験でした。
ミスの連続で精神的にも参っていたこともあり、15分ほど休憩をいただきました。
休憩中に外の空気にあたって、ため息の後に息を吸おうとしたら大きくむせ返りました。
何度かむせ、呼吸が整ってきた頃、深く呼吸ができるようになりました。
自分の肺に十分な空気を送れておらず、まるで肺がしぼんでいるような感覚でした。

ここで初めて、呼吸をし忘れていたことに気付きました。

(4)なぜ追い込まれてしまったのか

ひたすら話し続ける電話相談業務。
しかし、いままでの看護業務の経験から考えると、追い込まれてしまうような業務量ではありませんでした。

業務量以外に何が原因なのか。
デスクワークで丸くなった背中、密集された空気が薄い中での業務など環境的要因がまず思いつきました。

他にも寝不足スケジュールの問題心と身体に不調がある方の対応ホルモンバランスなども心当たりがありました。
それらが絡み合って、小さなストレスが積み重なったと思われます。

ストレスは呼吸を浅くします。

浅い呼吸が続き、より大きく体に負担がかかったことで、不の連鎖が続いてしまったのでしょう。

今回の仕事に追い込まれてしまった時も、何度か深呼吸をし、肺に十分な空気を送り込むことで、肩の力が抜け、気持ちが楽になり、業務再開できました。
呼吸を観察することでストレスが溜まっていたこと、深呼吸することでストレスを発散することができました。
この経験から、呼吸・深呼吸の大切さについて実感しました。

2.呼吸のココがすごい3つのポイント

深呼吸をする女性

自分の経験から、仕事で追い込まれている時は呼吸が十分行えていないことに気付きました。
同じ状況を繰り返さないためにも、仕事への取り組み方を変える必要があると感じました。
その方法を調べると、呼吸にはとても大切な役割があることを知りました。

(1)生きるために必要

一般的な呼吸は一息で350~500mlの空気を吸って吐いてと繰り返し行っています。

吸って吐くことで、酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外へ排出します。
身体に必要なものを取り入れ、不要になったものを出します。
生死を確認する場合にも呼吸は観察されます。
それほど呼吸は生死に直接関わってきます。
生命維持に必要なため、特別な事情がない限り無意識下でも呼吸しています。

十分な呼吸ができていないと、酸素も十分取り入れられず、また二酸化炭素が十分排出できない状況になります。そのような場合、頭がボーっとしたり集中できなくなったり強い眠気を感じたりします。

酸素が不足すると最初に影響するところは脳細胞と言われており、脳機能障害が起こる場合があります。
身体に酸素を送り届けるためにも呼吸はとても重要なのです

(2)リラックスに必要

呼吸は自律神経に深く関係があります。

自律神経交感神経と副交感神経の2種類あります。

わかりやすい表現だと、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役割があります。
この神経のバランスを整えることで体や心のバランスが安定します。
交感神経が優位な時、呼吸が早くなります。

例えば以下の時は呼吸が速くなります。

  • 緊張している時
  • ストレスが溜まっている時
  • 不安が強い時

交感神経が優位になりすぎると頭痛、肩こり、手足の冷えやしびれ、不眠、倦怠感など多くの不調が引き起ってしまいます。

人は生活をするうえで交感神経が優位になりやすいです。

呼吸が浅く早いときは深くゆっくりすると交感神経と副交感神経のバランスが安定してきます。

少し冷静になりたい時、頑張りすぎている時、入りすぎた力を抜きたい時など心を安定させたい場合は、深いゆっくりとした呼吸をするのがよいです。

(3)姿勢改善に必要

呼吸をする時、たくさんの筋肉を使っていることはご存知でしょうか?

普段無意識に行っている呼吸は、あまり筋肉を動かさずに行っていることがほとんどです。
意識して深く大きく吸って吐くと、胸やお腹の筋肉が動くことに気付けるかと思います。
呼吸をするときに使ういくつかの筋肉を合わせて「呼吸筋」と呼ばれています。
呼吸筋は20種類以上あり、深く大きい呼吸、つまり深呼吸をすることで20種類以上の筋肉が動かされます。

例えば、背中が丸くなってしまっている方は、深呼吸によって一時的に背中が真っ直ぐ正しい位置に戻ります。
深呼吸を繰り返すことによって、少しずつ背中が正しい位置に戻る時間が増え、最終的には普段の姿勢もよくなります。
姿勢が良くなると、筋肉が効率的に動くことによって代謝が上がったり、体が疲れにくくなったり、体の健康に繋がります

3.オススメの深呼吸方法3選

アロマオイル

呼吸は体と心に大きく影響する、とお伝えしました。

呼吸の中でも深く大きく空気を吸って吐く深呼吸を行うことが重要です。

呼吸が浅く、仕事のミスを連発したわたしでも日常に取り入れているオススメ呼吸方法を3つお伝えします。

(1)呼吸法を試してみる

専門のことは専門家に教えてもらうことが一番です。

深呼吸はリハビリ、ヨガ、座禅、瞑想、準備運動など様々な場面で重要視されています。
Youtubeやブログなどで検索してご自身に合うものを選択したり、ヨガ教室など習い事として通ったりするのがオススメです。

呼吸に意識を向ける時間を作るキッカケを作りましょう。

(2)香りを用いる

美味しい香りやいい香りがすると、思わず深呼吸したくなりませんか?

水を飲むときも少し味がついている方が飲みやすい、というのと同じく、空気にも少し香りをつけると呼吸がしやすくなります。また香りの種類によっても、リラックス効果や眠気覚ましの効果があるものがあり一石二鳥です。

アロマオイル、ハンドクリーム、コロン、香水、石鹸など香りが良いものを選びましょう。

香りが強すぎると周りの人に迷惑がかかったり、肺によってよくなかったりする場合があるので要注意です。

オススメはアロマのコロンです。

手首に塗っておき、深呼吸したいときに手首を嗅いでから深呼吸すると、呼吸がしやすく深く大きく呼吸ができます。
お好みの方法で呼吸しやすい環境を作ってみましょう。

(3)歌を歌う

息を吐きます。
久しぶりに歌ってみると、こんなにこの歌を歌うのって大変だったっけ?と思うことはありませんか?
このように歌うことでご自身の呼吸筋や肺活量などの状況を把握することができます。
好きな歌を歌って気分も上がって一石二鳥です。

歌う以外にも音読も良いです。

わたしは週に1回ほどお寺の勤行に参加し、修行者と一緒に読経を行っています。
お寺によっては朝の勤行に参加できるところがありますので、早起きも兼ねていってみるのはいかがでしょうか?
発声すること、できれば大きな声を出すことが重要です。

4.まとめ

笑顔の女性

このコラムでお伝えしたことは、以下の3点です

  • 仕事などで追い込まれている時は呼吸が浅いことが多い
  • 呼吸は体と心の健康に影響する
  • 呼吸は体と心の健康に影響する

呼吸・深呼吸を意識していただき、より快適にお仕事ができるヒントになれれば幸いです。

日本成人病予防協会 呼吸~ストレス解消法~ 2019/10/18更新
日本経済新聞 悪い姿勢が招く「隠れ酸欠」 2019/4/2
独立行政法人 環境再生保全機構 すこやかライフvol.55
ヘルシスト274号(2022/7/10発行)掲載 特集 病気を遠ざける「体操」 「呼吸筋」を鍛えて「良い呼吸」を手に入れよう
 



この記事を書いた人

冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業

冨永美紀

母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。

<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
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