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保証人がいないと入院できない?知っておきたい現実と対策

「親が入院することになり、初めて“保証人が必要”と知って戸惑った」
「ひとり暮らしの友人が入院することになり、保証人がいなくて困ったという話を聞いた」

こんな経験はありませんか。
入院をする際には、保証人を求められることが一般的です。一人暮らしの方や、家族に頼りにくい状況にある方にとって、保証人の問題は悩みのひとつです。
「保証人がいないと入院できないのではないか」と不安に感じる方もいるかもしれません。
本記事では、「身寄りがない」という言葉を、家族がいない場合だけでなく、家族がいても頼りにくい状況にある場合も含めて使用しています。
今回は、入院時の保証人をめぐる現実と、知っておきたい対策についてお伝えします。

この記事の目次

1.入院時に求められる「保証人」とは

病院で入院手続きを行う際、「保証人」の記入を求められることがほとんどです。

保証人と聞くと、「家族でなければならない」「治療に責任を持つ人」というイメージがあるでしょうか。

入院中には、医療だけでなく、生活面でもさまざまな支援や調整が必要になることがあります。そのため病院は、緊急時や退院後も含めて連携が取れる存在として、保証人を必要としています。

例えば、入院時の保証人には、次のような役割が求められます。

・病状が急変した際の緊急連絡先となる
・手術や治療に関する説明時に連絡を受ける
・入院中に必要な衣類や日用品の準備を行う
・医療費の確認や支払いに関する連絡を受ける
・退院後の生活支援や迎えの調整を行う

また、万が一、患者さんが亡くなられた場合には、荷物の引き取りや死後の対応について、病院側が連絡・相談を行うという役割を担うこともあります。

つまり、保証人は「入院生活や治療をサポートする人」であり、「医療と生活をつなぐための連携先」としても求められているのです。

入院時の保証人は法律上必須ではありません。しかし、実際は多くの病院で求められているのが現状です。

一方で、近年は一人暮らしや高齢化、家族関係の変化などにより、「頼める人がいない」「家族に迷惑をかけたくない」と悩む方も増えています。

2.保証人がいないとどうなる?

では、保証人がいない場合、本当に入院できないのでしょうか。

結論から言うと、保証人がいないことだけを理由に、必要な医療が受けられなくなるわけではありません。

実際に国も、身寄りがない人であっても必要な医療を受けられるようにするための指針を示しています。

一方で、現場では保証人がいないことにより、さまざまな調整や手続きに時間がかかることも事実です。

3.医療現場で実際に起きていること

保証人がいない場合、実際にどのような問題が起こるのでしょうか。

入院、退院時に起こりうる問題

入院時に保証人がいない場合には、病院側が医療ソーシャルワーカーや地域の支援機関と連携しながら、入院中の生活支援や退院後の支援について調整を行うことがあります。そのため、入院が必要となってから、入院が決定するまでの調整に通常より時間を要することがあります。

また、退院後に介護や生活支援が必要になった場合には、自宅に退院することができるのか、誰が生活を支えるのかということや、介護サービスが必要なのかといった点が課題になります。

保証人と連絡が取ることができず、本人だけでは意思決定が難しい場合、退院後の生活を整え退院を調整するまでにも時間を要することもあります。

・病状急変時に起こりうる問題

入院中に病状が急変した場合、本人だけでなく家族や保証人へ連絡を取り、病状説明や今後の対応について共有します。

しかし、保証人がいない、連絡がつかない場合、治療方針の決定に時間がかかる場合もあります。

・入院生活の中で起こりうる問題

入院中には、想像以上に生活面での支援が必要になります。

例えば、着替えや下着が不足する、洗濯物の依頼ができない、入院に必要な日用品を準備できないということも想定されます。

普段は当たり前にできていることでも、病気や手術によって体力が低下すると、一人で対応することが難しくなる場合があります。

近年では、独居高齢者の増加や家族関係の変化などにより、「頼れる人がいない」という状況は珍しいものではなくなっています。そのため、医療現場では、保証人がいない方をどのように支えていくかが大きな課題となっています。

4.保証人がいない場合の支援や対策

保証人がいない場合に利用できる支援や相談先を知っておきましょう。
以下に、利用できる支援や相談先を紹介します。

・医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談する

病院には、医療ソーシャルワーカー(MSW)と呼ばれる専門職が配置されていることがあります。

入院時のサポートや医療費、退院後の生活について一緒に考え、患者さんと必要な支援をつなげる役割を担っています。

・地域包括支援センターへ相談する

地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護に関する地域の相談窓口です。

地域の高齢者と必要な介護サービスや地域支援をつなげる役割があります。
入院をする可能性があるけれど、周りに頼る人がいない状況になったときに、相談先の1つとして知っていると良いでしょう。

・民間の身元保証サービスを利用する

最近では、身元保証や入院時の支援を行う民間サービスも増えてきています。

例えば、

・緊急連絡先の代行
・入院時の手続き支援
・衣類や日用品の貸与
・退院後の生活支援
・死後事務のサポート

などを一括して行うサービスもあります。

一方で、民間サービスは事業者によって支援内容や費用が大きく異なる場合があります。また、たくさんの人が必要とするサービスである一方で、団体の財政が破綻しサービスが打ち切られたというトラブルもあります。

そのため、契約内容を十分確認し、必要に応じて家族や専門職へ相談しながら利用を検討することも大切です

5.今からできる準備

保証人の問題は、実際に入院が必要になってから慌てて考えるケースも少なくありません。

しかし、元気なうちから少し準備をしておくだけでも、いざというときの安心につながります。

例えば、以下のような内容を考え、整理しておくのはどうでしょうか。

・緊急時に連絡できる人がいないか考えておく
・相談できる窓口を知っておく
・利用できそうな支援サービスを調べておく
・自分の希望を信頼できる人に伝えておく

すべてを完璧に整える必要はありません。

「もしものとき、自分にはどんな支援が必要だろう」と少し考えておくだけでも、不安は大きく変わります。

6.まとめ

保証人がいないことに不安を感じる方は少なくありません。

実際に、入院時の手続きや退院後の生活などで困る場面があるのも事実ですが、医療の現場では、身寄りがない状況でも必要な医療につながることができるよう、さまざまな支援や調整が行われています。

医療ソーシャルワーカーや自治体、支援サービスなど、相談できる場所や利用できる支援もあります。

保証人の問題は、「一人で頑張って解決するもの」ではなく、「支援につながりながら考えていくもの」でもあります。

一人で抱え込まず、「困ったときに相談できる先」を知っておくことが、いざというときの安心につながります。

次回は、「手術の同意は誰がする?身寄りのない人の治療の決め方」についてお伝えします。

〈参考資料〉

・厚生労働省
「身寄りがない人への医療に関するガイドライン及び事例集」

・公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会
「身寄りのない患者を取り巻く社会的課題についての報告書」(2026/5/27利用)

・『おひとりさま「老後生活」安心便利帳 2026年版』扶桑社、2025年


この記事を書いた人

清水千夏
<プロフィール>

看護師経験15年(大学病院9年、訪問看護4年)
大学病院で、急性期(消化器外科、心臓血管外科、HCU)から退院支援部門まで幅広く経験を積む。その後、訪問看護ステーションに転職。

現在は立ち上げから関わっている訪問看護ステーションで勤務。0歳から100歳まで様々な年齢の方を対象に、住み慣れた自宅で暮らし続けるための支援を提供している。

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