水虫は、よく聞く病気ではありますが、その正体を知っている人は意外に少ないと思います。
水虫はかゆみだけでなく放っておくとひび割れや水ぶくれを起こして広がり、皮膚の内部で二次感染を起こしてしまう身近な感染症です。たかが水虫と侮るなかれ!
水虫菌は裸足で歩く場所であればどこにでもいるため、非常に感染を起こしやすい病気と言えます。
そこで今回は、水虫の原因と対処法をお伝えしていきます。大切な家族にうつさないためにも知っておくと安心ですね。
この記事の目次
1. 水虫について
水虫のことを専門的には足白癬(あしはくせん)と言います。
白癬菌というカビの一種によって感染する皮膚感染症なので、人にうつさないように気を付ける必要があります。
白癬菌は湿度の高いジメジメした環境で繁殖しやすいので、冬場に発症することは少ないですが、梅雨の時期から夏にかけて再発する人や、新たに症状が出てくる人など、隠れ水虫のかたを含めると、かなり多くの罹患者がいると思われます。
白癬菌はケラチンというたんぱく質を栄養源として生息していますが、ケラチンというのは皮膚の表面から角層、爪の主成分でもあるため、湿気やすい足指や爪に発症します。
ただし、いくら湿気があるといっても、粘膜にはケラチンがないため口の中に水虫は発症しません。
また、爪水虫は高齢になるほど発症率が増えていきます。
私は高齢者看護をするなかで、爪水虫を発症している人の多さに驚いたことがあります。
入浴後は爪切りをしながら足指の観察をし、水虫を予防することが大切なケアのひとつとなっています。
2. 水虫の原因
水虫を発症する原因の多くが家庭内での感染です。
水虫にかかった人の皮膚の角質が剥がれたところに、白癬菌がいれば、素足で踏んだ時に感染します。
家族において、素足で共有するスリッパや、そのまま使用しているバスマット、素足で過ごす畳や床から感染することがあります。
また、共同で過ごす寮生活、掃除が行き届かない施設などで感染することもあります。
昔は水虫というと成人男性に多い病気でしたが、最近では男女の差が少なくなっています。
女性でもブーツやパンプスなどを長時間履く職業が水虫に感染しやすい傾向にあります。
なかには水虫にかかったことを自覚していない隠れ水虫の人もおられますので、自分の足の状態には敏感になっていたいですね。
水虫は動物からも感染します!
白癬菌は動物からも感染します。
自宅でペットを飼っている方も多いですが犬や猫は接触しやすい場所の腕に白癬菌が感染して発症します。
濃厚に触れる、同じ布団で寝ることで感染することがありますので注意が必要です。
水虫がどのように始まるかを見ていきましょう
水虫の症状で多い順に解説しています。
- ①足の指の水虫
-
水虫でもっとも多いのが、足の小指と薬指にできる水虫です。
指の間の皮膚が長い間圧迫されることで湿度が上がり、ふやけてきます。
そのうちジュクジュクして指と指の間が赤くなり、痛かゆいという状態です。
そして、足指の間に亀裂が入り、さらにジュクジュクし、他の指にも広がってきます。
このタイプは、独特の臭いを伴います。
- ②足の裏や側面の水虫
-
足の裏や側面に小さな水疱ができます。次第に赤く腫れてくるようになりますが、この時、強いかゆみが出現してきます。水疱が破れて浸出液が出た後は乾燥し、皮がむけてきます。
- ③かかとの水虫
-
かかとのような角質層は厚くて硬いですが、この部分にも水虫はできます。
かかとの水虫はカサカサして白っぽく粉をふいたようになるのが特徴です。
一見、水虫には見えずに、かゆみもないため水虫だと気づかずに放置しやすいです。
- ④爪にできる水虫
-
爪にできる水虫を「爪白癬」といいます。
上記の水虫を放置すると、白癬菌が爪から侵入し感染することがあります。特に親指の爪に感染しやすく、爪が黄色味を帯び、白っぽく変色し、悪化するとボロボロと崩れるようになります。
このように水虫は自然に治る病気ではありません。
日頃から正しい対処法を行うことが、感染予防につながります。
次に、水虫の対処法をお伝えしていきます。
3. 水虫の対処法
水虫は白癬菌が付いたらすぐ、感染するというわけではありません。
白癬菌が繁殖するまで24時間以上はかかりますから、入浴、足浴で毎日足指を清潔に保つことが大切です。
水虫の疑いがある場合は、症状の悪化を防ぐこと、他の人にうつさないことに気をつけながら、以下のような対策をします。
対策
- かゆみのある足指、その間にせっけんをつけて泡立ててきれいに洗い乾燥させる
- 通気性の良い状態を保つ
- タオルやスリッパ、バスマットなどを他の人と共有しない
- 素足で過ごすところは拭き掃除をして清潔に保つ
- 外出時は5本指靴下、抗菌性のある靴下をはく
水虫は自然に治らない病気です。これらの対処法を行いながら治療を行うことが必要になります。
まずは皮膚科を受診し、水虫かどうかの診断をしてもらいましょう。
再発している方や受診の時間がとれない方は、市販薬を使用するのもひとつの選択です。
薬剤師に相談してみると良いですね。
私は、高齢者の在宅看護をしていた頃、白癬菌が「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」を発症するまで悪化し、入院した高齢者のかたを多く見てきました。どの方も在宅で水虫を放置していた高齢者でした。
「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」とは小さな傷や毛穴から細菌や真菌が侵入し、皮膚が赤く腫れて熱を持ち痛みが出る症状のことです。
健康な人であれば5日ほどで治癒するのですが、慢性疾患のある高齢者は2週以上の治療期間を要するため、蜂窩織炎(ほうかしきえん)にかかる前より動作が鈍くなり、生活に影響が出てしまいます。
この経験から、水虫は放置せず、しっかり治療することが大切だと知り、看護の現場でも生かしています。
4. まとめ
水虫の原因である白癬菌はカビの一種です。外用薬を塗って、症状が治ったと思っていても、まだ菌が根深く残っている場合があります。再発予防のためには、たかが水虫と、中途半端に治療を終わらせず、医師の指示を守ることが大切です。
足指は毎日体を支えたり、歩くために力を入れたりと体にとって大事な役割を果たしています。一生自分の足で歩くためにも「水虫かな?」と思ったら、正しい対処法を実践しながら大事な足を労わっていきたいですね。
この記事を書いた人
福井三賀子
<プロフィール>
小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。
同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。
結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。
在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。
現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。
<経歴>
看護師経験20年。
外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来)
介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム)
介護支援専門員6年
<資格>
看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター
<活動>
講座「更年期は黄金期」
ブログ「幸せな更年期への道のり」
メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」
スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」