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花粉症はなぜ起こる?!知っておきたい原因と症状

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春が訪れる頃、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状に悩まされる方が増えてきます。これらの症状はアレルギーの一種で花粉が関係しているものは「花粉症」と呼びます。

花粉症の原因や症状を知ることで、自分のからだの反応に気づき、花粉の季節を少しでも快適に過ごすきっかけになるのではないかと思います。この記事では、花粉症の原因と症状についてやさしく解説いたします。

この記事の目次

1. 花粉症の原因

花粉症の原因は、主に花粉に対するからだの「アレルギー反応」です。なぜアレルギー反応が起こるのでしょうか?

人には、生まれながら自分のからだを守るしくみ「免疫システム」が備わっています。スギ花粉などの花粉が鼻や目、皮膚に付着すると、それらをからだは敵である「抗原」と判断して、次の付着に備えて、「抗体」という武器を準備します。この抗体は、敵である抗原に合わせて少しずつ構造が異なります。

再び同じ抗原である花粉が付着すると、あらかじめ体内で準備していた抗体がすぐに反応して、からだの中から花粉を追い出そうとします。本来、これは花粉をからだの外に追い出すための有益なシステムですが、反応が過剰になるとヒスタミンなどの化学物質が大量に放出され、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状を引き起こします。これが「アレルギー反応」と呼ばれるものです。

日本ではアレルギー性鼻炎の患者が年々増加し、2019年には国民の49.2%がアレルギー性鼻炎に罹患していたという調査結果もあります。その中でも、花粉症の患者数は特に多く、まさに「国民病」といえる状況です。

しかし、同じ生活環境の中でもまったく発症しない人もいますね。なぜこのような違いが起こるのでしょうか?

 よくコップの許容量を使って、アレルギー体質の違いを例えられます。アレルギーが起こらない人はコップの許容量が大きいため、花粉という抗原が大量に入ってもこぼれません(ただし、許容量を超えるとアレルギー症状が現れます)。逆に、アレルギー体質の人はコップの許容量が小さいため、少量の花粉でもすぐにあふれてしまい、アレルギー症状が現れやすいのです。このコップの許容量には個人差があり、遺伝的な体質(家族にアレルギー体質があるかどうかなど)や花粉の曝露量、大気汚染などの環境要因も影響すると考えられます。さらに睡眠不足やストレスといった生活習慣の乱れも免疫システムに影響を及ぼし、花粉症のリスクを高めます。

2. 花粉症の原因となる花粉とは?

花粉は、植物が繁殖のために空中に放出する微細な粒子です。特に風によって運ばれる植物(風媒花)の花粉が花粉症の原因となります。日本で花粉症を引き起こす主な植物としては、春のスギ・ヒノキ、初夏から夏にかけてのイネ科植物(カモガヤなど)、秋のブタクサ・ヨモギなどが挙げられます。

花粉症の原因になる主な花粉

3. 花粉症の症状

花粉症の症状には、さまざまなものがあります。花粉の量や個人の体調によって、症状の強さや種類は異なります。主な症状を部位別に挙げると、次の通りです。

1) 鼻の症状

(1) くしゃみを連発する

(2) 大量の鼻水が出る

(3) 鼻づまりが起こる(鼻がつまると鼻呼吸がしづらくなります)

2) 目の症状

(1) 目のかゆみ

(2) 充血

(3) 涙が出る

(4) まぶたが腫れる

3) その他の症状

 (1) のどのかゆみ

 (2) 咳

 (3) 肌のかゆみ

 (4) 微熱

 (5) 頭痛

 (6) 全身のだるさ

4. 我慢はほどほどに…病院への受診はどうする?

 花粉症の方はご存じかもしれませんが、症状がひどかったり長引いたりすると集中力が低下し、仕事や家事をする意欲が奪われます。特に鼻の症状がひどくなると、作業効率が3割くらい低下するといわれています。

このように日常生活に大きな支障をきたすだけではなく、鼻などの粘膜が過敏になって気温差などの刺激に対しても敏感に反応しやすくなります。症状を放置すると、副鼻腔炎(蓄膿症)や中耳炎、気管支喘息、さらには生活習慣病など、新たな病気につながる可能性も出てきます。症状が軽いうちのほうが治療による改善もしやすいため、重症化する前に早めに受診することをお勧めします。

 鼻の症状が強い場合は、まず耳鼻咽喉科受診を考えるでしょう。一方で、咳や頭痛といった症状から始まった場合は内科受診をされることも多いかもしれません。しかし、内科の治療で症状が改善しないときは、鼻の不調が咳や頭痛などの原因となっている可能性が高いため、耳鼻咽喉科受診を検討してみてください。

「鼻の異常と咳や頭痛が関係するの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。実は、鼻から吸った空気は鼻腔→のど→気管→肺へ流れ込みます。同じ経路で鼻水も気管に少しずつ入ってしまうため、気管支や肺に刺激を与えて咳が出やすくなります。また、鼻は頭を適度に冷やす役割があるため、鼻づまりになると頭が十分冷やされずに頭痛が起こることがあるのです。

なお、目のかゆみなど目の症状も花粉症によるものとわかっていれば、耳鼻咽喉科で対応可能です。いずれにしましても、症状がなかなか改善しない場合は、耳鼻咽喉科受診を検討してみてください。

 耳鼻咽喉科で診察を受ける際には、医師から症状や重症度を確認されます。重症度は、1日に平均何回くしゃみをするか、1日に平均何回鼻をかむか、鼻づまりの程度はどのくらいかの組み合わせで判定されます。「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版」では、それらの指標に基づいた重症度の分類表が示されていますので、病院を受診するときに参考にしてください。

まとめ

・花粉症は、花粉が引き起こすアレルギー反応によって発症します。

・花粉が体内に入ると、免疫システムが過剰に反応し、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどの症状を引き起こします。

・花粉症は春だけでなく、秋にも起こるため、シーズンごとに適切な予防策を取ることが大切です。

・症状がひどくならないうちに耳鼻咽喉科受診を検討して、快適に過ごせるようにしましょう。

次回は、花粉症の治療法についてお伝えいたします。

この記事を書いた人

看護師:山田かおり 経歴〉 看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務) 看護教員養成研修 修了  認定看護師教育課程(認知症看護) 修了  医療安全管理者養成研修 修了  認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了 〈講座〉  認知症ケアに関する講座 多数  未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

ヤマダ カオリ

〈プロフィール〉
親に勧められ、自分が希望する心理学への道をあきらめ、看護学校に入学し、病院に就職する。周りの同期のように看護が楽しいと感じられず、私のしたいこととは違うと思い続け、「看護師は向いていない」と悩みながら3年間 病院で勤務後、退職する。事務職に転職しようとパソコンや簿記を学ぶが、25歳では事務職への転職は難しく、生活のために看護師に復帰する。

復帰後はマンネリ化した機能別業務に、再度「看護師は向いていない」と感じる日々が続いていた頃、関連病院で病床数増床のため看護師を募集していることを知り、心機一転すれば看護の楽しさがわかるのではと思い、異動を希望し、上京する。上京した病院で、自宅で最期を迎えたいと希望する患者や家族への退院指導の難しさと充実感を知り、新人教育担当として新人看護師が日々成長していく姿に励まされ、5S活動やQCサークル活動を通じて業務改善に手ごたえを感じるなど、看護師を続けたいと思えるようになった。それからは、自分の興味の赴くままに学びを深め、特に認知症に関する知識や技術を身につけ、「その人の行動の意味することは何か、生活歴を通して気づく看護の楽しさ」を伝えたいと思うようになった。
現在は、「看護が楽しい」と感じる仲間を増やしたくて、看護学校で看護教員をしている。

〈経歴〉
看護師経験 32年(内分泌代謝・循環器内科病棟、外科混合病棟、高齢者施設で勤務)
看護教員養成研修 修了
認定看護師教育課程(認知症看護) 修了
医療安全管理者養成研修 修了
認定看護管理者制度 ファーストレベル・セカンドレベル教育課程 修了

〈講座〉
認知症ケアに関する講座 多数
未来をつくるkaigoカフェ 「つづけるカフェ」隔月開催(現在休止中)

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