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親の変化を見逃さない!介護保険を意識するサインと対策



最近、親の忘れ物が増えたことが気になる。前より歩くのが遅くなっている気がする。そんなことはありませんか?
その変化は、もしかしたら今後介護が必要になるサインかもしれません。高齢になると、体力や認知能力が低下し、少しずつ今まで通りに日常生活を送ることが難しくなります。
早期から介護保険を利用してサービスを活用することで、親御様の生活に大きな支障が出る前にサポートすることができます。

今回は、親の変化の兆候やサインにはどのようなものがあるか、変化を見逃さないための方法や介護保険を活用するタイミングについて解説します。

この記事の目次

1. 親の変化に気づくサインと対策


身体的、認知的、生活習慣に変化が見られる場合、それは介護が必要になりつつあるサインです。
以下に代表的な変化の兆候を挙げ、それぞれの変化に対して、介護保険を利用してできる対策を紹介します。

身体的な変化

  • 歩行が不安定になり、転倒しやすくなる
    歩行が不安定になり、転倒することが増えた場合、自宅内の生活にも支障が出ている可能性があります。
    対策として、介護保険を利用し、筋力低下予防のためにリハビリサービスを利用する、家事支援のために訪問介護を検討することなどができます。また、福祉用具を利用して家の中で安全対策を施すことも大切です(例:滑り止めマットや手すりの設置など)。
  • 体重の減少や食事に対する興味喪失
    体重の減少や食欲不振は、健康状態が変化しているサインかもしれません。食事が作れない、食べられないと言っても様々な要因があります。
    訪問介護で食事作りを支援してもらう、デイサービスでいつもと違う環境で食事をすることも対策の1つです。
  • 排泄の問題(トイレに行くのが難しい、頻繁にトイレに行くなど)
    排泄に関する問題は日常生活に大きな影響を与えます。例えば、トイレまで歩くことが大変、夜間に頻繁にトイレに起きてしまうなど。
    対策の1つとして、福祉用具を活用してポータブルトイレを設置することなどができます。

認知面の変化

  • 忘れ物や約束を守れないことが増える
    忘れ物や約束を忘れることが増えてきた場合、認知機能に何らかの問題があるかもしれません。認知症予防やリハビリを兼ねて、デイサービスを利用することは対策の1つです。
  • 人や物の名前が思い出せない、時間や場所の感覚が不安定になる
    日常生活に支障が出るレベルの認知症の症状が見られる場合、介護保険で訪問介護などを利用して、日常生活を安全に過ごすことができるように環境を整えることも検討できます。

生活習慣の変化

  • 身だしなみや掃除ができなくなる
    身だしなみを整える、家事を行うことができなくなるのは、身体的、または認知的な問題のサインです。訪問介護を利用する、デイサービスで他の高齢者との交流を持ってもらうことも、生活習慣を維持するために有効です。
    また、訪問看護を利用し、生活や身体状況の観察、清潔ケア(入浴など)の支援などを受けることも対策の1つです。
  • 運転中の注意力が散漫になり、外出に危険がある
    注意が散漫になり、安全に運転をすることが難しくなりそうだと感じたら、運転をしなくても生活ができる環境を整えることが重要です。
    訪問介護で買い物を代行してもらう、趣味を楽しむことができるデイサービスなどで過ごす時間を設けることなどが考えられます。
  • 外出が減り、社会的活動への関心が薄れる
    今までは積極的に外出していたのに、家にこもりがちになった場合、社会的孤立が進んでいるサインかもしれません。外出を促すために、デイサービスなどを利用することで、社会的つながりを保ち、身体・認知機能の低下も予防することができます。

2. 介護保険の申請を意識するタイミング




親の変化のサインに気づいた時は、介護保険の申請を検討するのに良いタイミングです。
早期に介護保険を申請することで、生活の質の低下を予防するためにサポートを受ける準備が整います。
以下に、介護保険を意識するタイミングをまとめました。

  • 生活が自立できなくなってきたタイミング
    様々な理由で食事や掃除、身の回りのことを自分だけで行うのが難しくなってきた場合。
    介護保険を利用し、生活のサポートを受ける、リハビリを利用して生活機能の低下を防ぐことなどができます。
  • 本人が介護を受ける意向を示したタイミング
    親御さん自身が介護を受ける、家事などを手伝ってもらうことを希望された場合。
    ご自身で生活の変化を認識されている場合は、介護保険の申請やサービスの利用を積極的に進めやすく、親御さんの希望を叶えることにも繋がります。
  • 入院時、入院後
    入院をすると、普段よりもベッドで寝て過ごす時間が長くなります。元気な人であっても、身体を動かさないことにより、体力・筋力が著明に低下することが多くあります。入院をした原因にもよりますが、退院後に入院前と同じ生活を送ることが難しく、生活支援が必要になることが多いです。
    入院をきっかけに、介護保険を申請して退院時から介護サービスを利用することで、生活の質を維持することができます。

3. 親の変化に気づく方法:同居と別居の場合の工夫

親と同居している場合と別居している場合では、その変化に気づくタイミングや気づくための方法も異なります。それぞれの場合において注意点や対応方法を説明します。

1.親と同居している場

  • 日頃からコミュニケーションを取る
    親と同居している場合、変化に気づきやすい一方で、忙しさに流されて見過ごしてしまうこともあります。
    短時間でも定期的に親と話をして、体調の変化や困っていることがないかを尋ねるようしましょう。
  • 日常の些細な変化を観察する
    生活時間のすれ違いなどで、あまり話をすることができない場合は、目で見て分かる変化を観察します。
    例えば、身なりが整っているか、表情に活気があるか、急激な体型の変化がないかなどが挙げられます。

2.親と別居している場合

  • 定期的な連絡を心掛ける
    親が一人で暮らしている場合、電話で定期的にコミュニケーションを取り、体調や生活の状況の確認をしましょう。可能であれば、ビデオ通話など直接顔を見て話しをすることで、電話のみよりも体調や表情の変化を確認することができます。
  • 地域のサポートを活用する
    親が一人暮らしである場合、近所の方の協力を得ることも有効です。
    地域の見守りサービスや近隣の友人、親戚に協力をお願いし、定期的に訪問してもらう。様子の変化や気になることがあれば、連絡をしてもらうことで変化に早期に気が付くことができます。

4. 介護保険の申請手続き

介護保険を利用するためには、市区町村の窓口で要介護認定の申請を行います。申請後、認定調査が行われ、要介護度が決定されます。
申請手続きの詳細については、前回の記事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。

5. まとめ


親の変化は、突然訪れるのではなく、徐々に現れることが多いです。今回ご紹介した、身体的な変化や認知面での兆候、生活習慣の変化に早く気づくことが、老化による生活の質を落とさないための第一歩です。
親と同居しているか、別居しているかによっても、親の変化に気づく方法は様々です。同居している場合は、日々のコミュニケーションを通して、別居している場合は定期的な連絡や、近所の人からの情報などを通じて、親の様子の変化に気を配りましょう。

日常生活の変化が気になった時は、介護保険の申請を早期に行うことで、適切なサポートを受けることができます。早期から介護サービスを利用する準備をすることが、生活の質の低下を防ぎ、家族の負担を軽減することにもつながります。

介護保険や、介護保険の相談を出来る窓口(地域包括支援センター)をうまく活用していきましょう。

次回は、「親が入院…その後どうする?介護保険で受けられるサポート」というテーマで記事をお届けします。

<参考文献>

  1. 松川竜也(2024)『介護保険のしくみと使い方&お金がわかる本 介護サービスのトリセツ』株式会社ユーキャン学び出版
  2. 小林哲也(2024)『図解でわかる介護保険サービス』中央法規出版株式会社

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この記事を書いた人

清水千夏
<プロフィール>

看護師経験15年(大学病院9年、訪問看護4年)
大学病院で、急性期(消化器外科、心臓血管外科、HCU)から退院支援部門まで幅広く経験を積む。その後、訪問看護ステーションに転職。

現在は立ち上げから関わっている訪問看護ステーションで勤務。0歳から100歳まで様々な年齢の方を対象に、住み慣れた自宅で暮らし続けるための支援を提供している。

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