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看護師がわかりやすく教える病院選び①病院ごとの役割
なんでこんな時に!と夜間や休日に体調不良や不慮の事故を経験したことはありませんか? 平日の日中であれば多くの病院が診察していますが、急な体調不良や不慮の事故な…
体調不良や不慮の事故で病院に受診しようと思った時、どこの診療科を受診すればいいか迷った経験はありませんか?
内科、外科、呼吸器科、耳鼻科、神経内科、整形外科、皮膚科などたくさんありますよね。
診療科とは「病院や診療所で、専門に診療する分野をいう」と辞書に記載されています。
つまり、〇〇科と標榜されている病院にはその科を専門に診療する医師がいるということです。
私の勤務しているコールセンターでは、自分にいま起こっている症状がどの診療科が最適かわからない、というお声もよく伺います。
今回のコラムでは、診療科の紹介と受診する際にどの診療科を受診したらよいのかについてお話いたします。
この記事の目次
1.基本は「内科」と「外科」の2種類
診療所やクリニックを調べると、「〇〇医院 内科、呼吸器内科、小児科」や「〇〇整形外科クリニック」と標榜されています。
総合病院だと外来の案内やホームページに対応可能の診療科が明示されています。
2008年4月に医療法が改定されるまでは表示できる診療科は38と決められていました。
現在は患者様が自分の症状に合った適切な病院を受診しやすくすることを目的とし、標榜方法が変わり診療科の数は大幅に増えました。
そのため、日本医師会が想定しているものだけで100近くあり、実際には100以上の診療科があると予想されています。
1.内科(手術は服薬で治療)
風邪、発熱、頭痛、めまい、腹痛、下痢、関、アレルギーなど一般的でよくある症状や疾患を対応します。
厚生労働省の統計では60%以上の診療所・クリニックが内科を標榜しているとされています。
2.外科(手術による治療を専門的)
また、日常で受傷してしまった怪我、例えば火傷や動物に咬まれた時の傷など、ご家庭では対応しきれない怪我を診察・治療します。
2.代表的な診療科
より専門的な診察・検査が必要な場合、専門の診療科を受診します。
(1)消化器内科・消化器外科
- 胸やけ、吐き気・嘔吐、腹痛、吐血、下血(赤い便)、黒い便、下痢、便秘などの消化器症状の場合
- 検診などでの肝臓の数値を指摘される、便潜血陽性が認められた場合なども消化器内科がよい
- 化器外科では胃カメラ検査や大腸ポリープ切除など内視鏡での手術を行う
※病院によっては痔核の手術など肛門周囲の診察も行う。
(2)呼吸器内科・呼吸器外科
- 咳・痰、血痰、呼吸が苦しいといった呼吸困難感などの呼吸器症状の場合に受診します。
- 検診での胸部レントゲン異常を指摘された場合なども呼吸器内科がよい
場所によっては禁煙外来も併設していることがある
- 呼吸器外科は肺がんや気胸など手術適応のある疾患を対応
(3)循環器内科・心臓血管外科
- 胸痛、胸部圧迫感、失神、動悸、高血圧、脈の乱れなどの循環器症状の場合に受診
- 検診で不整脈や心電図異常を指摘された場合、心臓手術後のケアなども循環器内科がよい
- 心臓血管外科は手術適応の心臓疾患や血管疾患を対応
(4)神経内科・脳神経外科
- しびれ、めまい、ふるえ、けいれん、脱力感、呂律が回らない、体がふらつく、など神経症状の場合に受診
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)の治療後、自宅での管理方法の相談・ケアを行う
- 脳神経外科は手術適応のある脳疾患、頭部外傷などを対応
- 病院によってはCT検査やMRI検査が可能
(5)腎臓内科・泌尿器科
- 尿の量が多い・少ない、血尿、頻尿、残尿感、男性に関する病気・泌尿器症状の診察
- 検診で蛋白尿など尿の異常を指摘された場合に受診
- 腎機能の低下がみられた場合、予防やケアなどは腎臓内科が対応
(6)整形外科
- 外科の診療所・クリニックの中では最も多い診療科
- 骨折・脱臼・捻挫・打撲などの怪我、膝や肩などの関節の痛み、首や背中や腰の痛み、リウマチ症状などの場合に受診
- 交通事故後の診察は整形外科を勧められることが多い
(7)皮膚科
- 皮膚、爪、毛髪に関する病気・症状の診察
- 蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、いぼ、皮膚や粘膜のできものなどの症状の相談・検査が可能
- 場所によっては、美容皮膚科も併設されており、保険診療外での治療も受けられる
(8)眼科
- 目に関する病気・症状の診察
- 目のかゆみ、痛み、見え方がいつもと違う、目を怪我した場合に受診
- コンタクトレンズのトラブルにも対応
(9)耳鼻咽喉科
- 耳、鼻、のどに関する病気・症状の診察
- 耳の痛みや聞こえにくさ、鼻づまり、咽頭痛、声のかすれなどの症状の場合受診
- 耳や鼻に異物が入ってしまった事故も対応
- 場所によってはいびきや花粉症、補聴器の相談なども可能
(10)産科・婦人科
- 妊娠、出産、不妊治療、女性に関する病気・症状の診察
例)生理痛、月経困難症、更年期障害などの相談・検査・治療など
- 妊娠中のトラブルは基本的に産科を受診
(11)小児科
- 中学生までの子供の病気を対応
- 子どもの予防接種や生まれつきの病気の相談・検査・治療を受けられる
(12)歯科・口腔外科
- 口の中に関する病気・症状の診察
- 口内炎、虫歯、口の中の怪我などの相談・検査・治療を受けられる
- 一般的な虫歯や歯周病などは歯科、特殊な抜歯や口周りの外傷は口腔外科が対応
(13)精神科・心療内科
- 不眠、食欲低下、うつ症状など心に関する病気・症状の診察
- 薬の調整以外にも臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを受けることが可能
3.受診する診療科を選ぶ3つのポイント
先述の通り、代表的な診療科でも数多くあります。
次の章では迷わないためのポイントをお伝えします。
(1)症状
今の症状は身体のどこの不調なのかで受診する診療科が決まります。
例えば、腹痛という症状1つだけで考えると消化器内科かと思いたくなりますが、お腹の痛む部分、嘔吐や下痢の有無、性別、既往歴、食べたものなどで受診する診療科が変わってきます。
症状の心当たりを観察してみましょう。
(2)紹介
かかりつけ医など医師に相談・診察を受けられた方は、医師から医師もしくは病院の紹介されることがあります。
例えば、発熱のために内科を受診しても原因がわからず、精密検査が必要になる場合があります。
そのため、その病院に精密検査するための医療機器がなく対応不可な場合、対応可能な病院を紹介されます。
(3)通院のしやすさ
症状や治療内容によって、1回の受診で診察終了とならない場合があります。
理由の一つとして、医師の治療方針によって経時的に症状の変化を観察する必要があるということが挙げられます。基本的には治療が終了するまで、同じ医師の診察を受け続けた方がよいでしょう。
よって、通院のしやすさは、治療中断しないためにも大切な要因になってきます。
例えば、自宅近くや、普段よく行く駅の近く、職場の近くで探される方が多いです。
また、一度受診するとカルテが作成され、病歴や治療経過が記録されます。
急な体調不良や不慮の事故の場合に、過去の記録を参考に治療を選択することができます。
基本的には、受診予定の病院に一度問い合わせていただき、診察可能かどうか確認することをお勧めします。
ホームページや標榜している看板の内容は最新の情報ではない可能性があります。
曜日が限定されていたり、現在は取り扱っていなかったりする場合もあります。
4.まとめ
今回のコラムでお伝えした内容は以下です。
- 基本的な診療科は内科と外科
- 代表的な診療科と対応できる症状
- 受診先を選ぶポイント
医療の発展により医師の専門分野も細分化し、専門的な治療を受けられるようになりました。
その反面、診療科も増え、選択肢が多く受診先に迷いが生じることに繋がってしまっています。
体調不良や不慮の事故の時は身動きが取れにくいことが多いので、必要最小限の受診で済ませたいところですね。
受診する診療科を迷われた際に、ご参考にしてください。
・上手な医療のかかわり方
・症状・診療科選択ガイド
・令和2(2020)年 医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況
この記事を書いた人
冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。
<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業