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看護師がわかりやすく教える病院選び②実はこれだけあった!診療科の種類
体調不良や不慮の事故で病院に受診しようと思った時、どこの診療科を受診すればいいか迷った経験はありませんか? 内科、外科、呼吸器科、耳鼻科、神経内科、整形外科、…
体調が悪いので薬がほしい、怪我をしたので処置をしてほしい。
他にも、健康診断、予防接種、診断書作成などで病院受診する機会があるかと思います。
クリニックの看護師として勤務していた時、患者様の様々な困りごとを伺いました。
- 受診時には何を持っていけばいいのか。
- 次の受診はいつなのか。
- 先生の言っていることがよくわからなかった。
皆様は病院を受診するときに緊張しませんか?
わたしは今でもとても緊張してしまいます。
ついうっかりしてもう一度受診することになったことがあります。
看護学生の頃に受診した時です。
保険証もお金も持たずに受診しようとしてしまいました。
親切な受付の方に持ってくるものを教えていただき、一度自宅に戻ってから再度病院に行くことになりました。
体調が良くない中、自宅と病院を往復するのも辛かったですし、何よりも恥ずかしい思いをしました。
その経験から、自分が病院で困らないように事前準備しています。
今回のコラムでは、看護師と患者両方の経験から学んだ、受診時のポイントをお伝えさせていただきます。
少しでも緊張が少なく受診できる一助になれれば幸いです。
この記事の目次
1.受診前の準備は4つ
病院に行くときに何を持っていけばいいんだっけ?と立ち止まったことはありませんか?
持っていくものはあらかじめ準備ができるのでファイルやポーチなどにまとめておくと便利です。
(1)保険証
お会計の金額が変わりますので、お手元にある場合はお持ちください。
日本の制度では、原則すべての国民が何かしらの公的医療保険に加入することが義務付けられています。
雇用されている方、ご家族の扶養に入られている方、自営業の方などで種類は分かれるものの、皆様ひとりひとりに保険証が作成されます。
医療費の自己負担額は年齢や所得によって何割負担かが決まります。
保険証がないと医療費は原則10割負担となります。
保険証忘れの場合、後日ご自身で加入している健康組合に問い合わせ、還付手続きが必要になります。
(2) 病状がわかるもの
ご自身が今どのような治療を受けている、もしくは受けてきたかがわかる情報があると便利です。
例えば、紹介状、血液検査、健康診断の結果、お薬手帳、いま飲んでいるお薬などです。
特に紹介状をお持ちであれば、必ず受診時にお持ちください。
紹介状は医師同士のお手紙のようなもので、病歴やどのような治療が今後必要な見込みかなど詳細に記載されています。
受付時に診察券を提出する際に「紹介状を持参している」という旨を伝えるとスムーズです。
(3)現金
病院によってはキャッシュレスに対応していないところがありますので、現金は持っていくと無難です。
小さい個人病院で、古くから開院している病院は特にその傾向があります。
内容により差はありますが、診察料+処置料+お薬代の3割負担で大体1万円ほどあると安心です。
健康診断や予防接種だと金額が決まっていることが多いので、心配であれば問い合わせるのもよいでしょう。
(4)服装
状況によっては検査などで服を脱ぎ着する場合があります。
例えば胸部レントゲンだと上半身肌着姿になりますし、胸の聴診では胸や背中を聴診器で当てます。
そのため、特に上着は着脱しやすい服や前開きの服、怪我などの場合は患部を見えやすくできるような服がオススメです。
2.受診時に病院が知りたいこと
病院の入り口に入ってまず行うことは受付です。
初めての受診、もしくは新たな症状での受診の場合、問診票を記入するようにお願いされます。
問診票は、病院にとってどんな患者様が来院されて、どんな医療を希望しているのかがわかるとても重要なものになります。
受診する側にとっては、ここでどのような医療を受けたいかを伝えられる絶好のチャンスです。
病院によってはホームページで問診票のダウンロードができたり、インターネット上で記入ができるシステムを導入していたりするところもあります。
受付の時短になりますので、もし用意できそうであれば事前に記入していくと良いでしょう。
基本的に問診票通り記入していくと病院が知りたいことが伝えられるようになっています。
その中でも特に病院が知りたいことを看護師目線でお伝えさせていただきます。
(1)受診目的
医師や看護師の言う「本日はどうされましたか?」で教えてほしい内容になります。
問診票ではどのようなことで診察をうけたいのか、を明記します。
例えば発熱の症状があるとしても、熱が下がらなくて困っているのか、検査希望なのか等を記載します。
もし予約制の病院であれば、予約する際に事前にお伝えするとスムーズです。
(2)治療経過
現在の症状に関してどのような経過で現在に至るのか、ということです。
先ほどの発熱の症状で例えると、いつから発熱しているのか、すでに別の医療機関を受診しているのか等を教えていただきたいです。
他にもすでにお薬を飲んでいるのか、いままでに同じ症状は罹ったことあるのかもわかると有難いです。
治療歴が長い場合は時系列にして教えていただくととても分かりやすいです。
(3)既往歴・手術歴
今までどんな病気に罹ったことがあるのか、どんな治療を受けたことがあるのか、を記載します。
確認している理由は主に2つです。
- 症状の原因を模索するため
- 重症化やこれから想定される症状の特定のため
主な理由以外にも、処方を出す際にお薬の飲み合わせにも役立ちます。
3.受診時に確認しておくとよいこと
いよいよ順番が回っていて、医師に診察を受ける時が来ました。
よく言われるのが「お医者さんの前では緊張して聞きたいこと聞けなかった」ということです。
確かに物々しい雰囲気の診察室で、1対1の対面となると少し緊張しますよね。
また、医師によっては威厳や風格のよい方がいらっしゃいます。
しかし、診察後は帰宅して自宅で療養することが多いので、帰宅したらご自身で管理する必要があります。
そのため、聞くべきこと、聞きたいことは予め準備しておき確認しておきましょう。
(1)診察の結果、治療方針
例えば発熱だと、血液検査、レントゲン検査、ウイルス検査などを行う場合があります。
どの検査がどのような結果で、何と診断されたか、どのような治療方針かを確認しましょう。
もし、医師が説明していることが分からなければ、紙に書いてもらったり看護師に確認したりするのをお勧めします。
(2)自宅での過ごし方
診察の結果、よほどの緊急度・重症度ではない限り、ご自宅に帰ります。
自宅に帰った後の対応について確認しましょう。
- 発熱の症状ですと、高熱が出た場合どう対処するのか、いつまで薬を服用するのかなど確認しておく
- 怪我の場合だと、いつから包帯や絆創膏を外しても良いのか、次の受診まで処置はどうしておくか把握する
(3)次回受診日の確認
自宅に帰った後、基本的には十分な睡眠・休息で症状は改善します。
数日時間を要する場合がほとんどです。
自宅で医師の指示通りに過ごし、次回はいつ頃受診するべきか、もしくはどのような症状があれば受診なのかを確認しましょう。
また、しばらく定期的に受診が必要な場合、何週間後の受診が良いのか、予約が必要なのかも確認するとよいでしょう。
4.まとめ
今回のコラムでお伝えした内容は、以下の3点です。
- 受診前の準備
- 受診時に病院が知りたいこと
- 受診後に確認すべきこと
急な体調不良や不慮の事故の場合、気が動転していていつも通りの判断ができない場合があります。
その対応策として、事前の準備や受診時のシミュレーションがとても大切になります。
これらを参考にしていただき、少しでも緊張の少ない受診をし、受診への安心感に繋がることを望みます。
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この記事を書いた人
冨永美紀
母親の入院で関わった看護師に心を打たれ、看護師資格を取得。
看護師の現場で、臨場の場に立ち会うことで『生死』について興味が沸く。
恩師の紹介でお寺とのご縁が結ばれ、2020年から密教塾生となり修行の世界へ。
現在は仕事と修行を両立するため岐阜県へ移住し、夫と犬2匹と自然豊かな場所で暮らす。
<経歴>
看護師歴10年
・腎臓内科、糖尿病内科、内分泌科病棟
・救急救命センター
・自由診療のクリニック
・コールセンター
・訪問看護ステーション
・家事代行業