近年、生活が欧米化したこともあって、「大腸ポリープ」の発症は増えています。
発症の年齢層にも変化が表れています。
実際に、大腸ポリープだと診断されるにはどういった状況が考えられるかについてお伝えします。
この記事の目次
1. 診断される状況とは?
大腸ポリープと診断された人は、症状がほぼありません。
それなのに、どのようにして診断されるのでしょうか。
人は、痛みを感じたり、怪我をしたり、痒みがあるなどの何かしらの身体的な不都合が生じれば、病院へ行くでしょう(中には行かない人もいるかもしれません)。
「どこが悪いのかな」と、原因を知って、治療をしてもらいたいと思うでしょう。
大腸ポリープの場合は、あまり症状がないのですが、ポリープが出来た場所や、その大きさなどのよっては、次のような症状が出ることがあります。
主な症状
- 血が混ざった便が出る
- 便に粘液が付着している
- 便秘や下痢になる
- 大腸ポリープが肛門から外に出てくる 等
このような症状が出た場合は、直ぐに病院に行こう、と思う方が多いのではないでしょうか。
実際、私は消化器内科病棟で勤めていた時に排便後に便器が真っ赤になったことがあり、不安に駆られて翌日に病院受診しました。
もしくは、健康診断です。
労働安全衛生法で決められているので、職場等で受ける健康診断に検便があります。
検査結果で、陽性となり再検査を言い渡されると病院受診するでしょう。
2. 診断された時には、どうする?
大腸にポリープがあるかどうかは、大腸内を見てみないと分かりません。
大腸内を見るためには、大腸カメラ検査が必要ですが、検査をするには、事前準備が必要となります。
何故なら、カメラで大腸内を映そうと思っても、便があっては撮影出来ないからです。
そのため、大腸カメラ検査をするには、最低でも準備のために1~2日は必要なのです。
そのため、検査前に「ポリープがあった場合に、切除できるようなら切除し、出来ない場合は一部分だけ切り取り、検査に出します」といった旨の説明を受け、同意書にサインして実施します。
検査後の麻酔が切れた時には「終わっていた。ポリープがあったが切除したそうだ」という方も少なくありません。
私の場合がまさにそのパターンでした。
肛門から出血して、便器内が真っ赤になったため、大腸カメラ検査を実施することになり、
- 出血点を確認し止血する。
- ポリープがあった場合は切除出来そうなら、切除する。
- 疑わしいものがあれば生検に出す。
- 稀に検査でショックを起こすことがありますがよろしいですか?その場合は出来うることをすべて実施して救命します。」といった内容の同意書にサインして検査をしてもらいました。
3. セカンドオピニオンを受けるべき?
私の母は内視鏡担当看護師でした。その母から聞いた話をします。
事例1
大腸ポリープがあり、検査に出してその結果、良性だと言われた。が、不安が拭えず、セカンドオピニオンを受けることにして、他院で再検して、結果が悪性だった。
既に15年以上前の事ですが、この方はセカンドオピニオンを受けることで命を長らえました。
医師も人間なので、上手い、下手があるのです。
採取する場所も経験によって学んでいくものですので、せっかく検査をしたのに、ポイントを押さえていなかったことで、見逃してしまい、危うく亡くなるところでした。
事例2
検査結果で良性だと言われたので、そのまま経過を見ていたら半年後に亡くなった。
この方のことを、検査に付き添っていた母は鮮明に覚えているそうです。
年齢や、性別などは教えてくれないのですが(守秘義務があるので)、こういうことがあったから、症状があった場合はすぐに病院に行きなさいと常々話してくれます。
この方は、検査結果で異常なしだったのですが、半年後に腹痛を訴え受診。
大腸内に癌が見つかり、かなり進行して手術も化学療法も出来ず、あっという間に亡くなったそうです。
入院してからも、何度か検査を行うために内視鏡室でその方を見ていて「どうして、もっと早くに見つけてあげられなかったのだろう」と、悔やんだそうです。
こうした事例からセカンドオピニオンを受けるべきだと、母は言います。
しかし、実際にはポリープが出来ても大きさによっては全く症状がないので緊急性を感じませんし、痛くも痒くも無ければ診断結果が良ければセカンドの必要性は感じません。
たまたま、母が見た一番悪い事例だったのだと思うのです。
4. まとめ
「あなたは大腸ポリープがあります」と診断を受けた場合の反応は様々ですが医療従事者でも、最悪の場合を想定することはあまりありません(この場合の最悪の場合とは「大腸がん」だった場合の事を指します)。
それよりも、私の周辺では「ポリープか。取るしかないよな」程度の感覚の人が多かったです。
消化器内科病棟で勤務していた私は、最悪のパターンの大腸ポリープの方もたくさん見てきたのですが、逆に「大腸ポリープだけで良かった~」と一泊入院して、笑顔で帰っていく人も多かったのが印象的です。
比率としては、「最悪なパターン」と「笑顔のパターン」の場合2対8くらいでしょうか。
8割の人は「検査入院して、ポリープ取って、大丈夫だった」と笑顔で帰っていきました。
まずは、結果を聞かないことには先には進めませんので、深く考えずにまずは検査をしましょう。
そうすることで、先が明るいか暗いかが見えてきます。
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この記事を書いた人
看護師:栗巣正子
<経歴>
看護師歴 23年
大阪府堺市で、50床~2000床の病院勤務(内科、外科、手術室、整形外科、療養病棟)。
離婚後、鹿児島県鹿屋市にて、老人保健施設、透析専門クリニックに勤務
大手生命保険会社に、営業主任として3年勤めた後、地域密着型の内科総合病院に17年(介護保険病棟、療養病棟、急性期病棟、心臓内科、腎臓内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、腹膜透析、血液透析、外来、救急外来、訪問看護)勤める。
現在は、派遣ナース、非常勤での健診スタッフ、訪問看護指示書作成等の委託業務、ナース家政婦登録
<資格>
正看護師/普通自動車免許/大型自動車免許/けん引免許/たん吸引指導者/ペットセーバー/労災ホームヘルパー(A)