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看護師がわかりやすく解説!透析と言われる前に起こる身体の変化 透析と言われたら①

・ずっと治療していた腎臓の働きが悪くなって、透析が必要になるかもと言われた

・職場検診で、高血圧や腎臓の働きがよくないと言われてドキッとした

・子どもが、学校の検診で尿たんぱくが出ていると言われた

『腎臓っていったい何?』

・知りたい事。知っておきたい事。

あなたの体で起こっていることを、現役看護師がやさしくわかりやすくお伝えします。

看護師がやさしく簡単に解説!透析と言われたら①透析と言われる前に起こる身体の変化
この記事の目次

検査でわかる腎臓のはたらき

看護師がやさしく簡単に解説!透析と言われたら①透析と言われる前に起こる身体の変化

病院での定期検査

腎臓の働きがわかる検査値

腎臓の病気で目安となる検査には、尿検査と血液検査があります。

尿検査では、おしっこの中にあるたんぱく質の量などを知ることができます。

血液検査では、腎臓の機能の状態が分かる下記の検査値を調べます。

・尿素窒素(BUN)
・クレアチニン(Cre)
・推算式糸球体ろ過量(eGFR)

職場での健康診断

高血圧や血糖値・腎臓の働きがわかる血液検査などを行います。
腎臓は自分で感じるからだの不調を感じにくいことが多いですが、血液の中の成分によって異常を早期に見つけることができます。

学校での健康診

学校の健診では、尿たんぱく検査が重要です。
学校健診では検尿を行い、おしっこの中に異常が起きていないかを調べます。
尿検査では、おしっこの中にあるたんぱく質の量や流れ出した血液量を調べることができます。

これにより、子どもに起こりやすいネフローゼ症候群や糸球体腎炎などの腎臓の病気を早期に発見することができます。

透析と言われる前に起こる身体の変化

看護師がやさしく簡単に解説!透析と言われたら①透析と言われる前に起こる身体の変化

① 腎臓の働きとからだの変化

腎臓は主にからだの中の【老廃物】や、余分な【水分】【塩分】を尿としてからだの外にだしてくれる役割があります。

そして、もう一つは血圧を正常に保つ役割です。

腎臓のはたらきが悪くなると、からだがむくんだり、高血圧になったりするのはこのためです。

腎臓の中にある小さな血管の集まりである糸球体が目詰まりすると、老廃物や余分な水分、塩分を体の外に出せなくなり、むくみが起こりやすくなります。
更に血圧の上昇によって腎臓の血管も動脈硬化が起こり、透析治療の必要性が高まります。

② 透析導入になりやすい病気

第1位 糖尿病性腎症 (透析導入の10人に4人)

糖尿病と腎臓の病気は違うと思っていませんか?

糖尿病は、皆さんもよく聞く病気だと思います。
この糖尿病は、血液の中に含まれるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。

糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病腎症は、透析導入になる可能性が高く、早い時期から糖尿病の悪化を予防することによって、透析を逃れることができるといわれています。
また、糖尿病と診断されてから、10~15年経つと、糖尿病性腎症を発症する可能性が高くなるため、運動や食事などによって、透析にならないように予防することが大切です。

③ 透析導入の目安となる検査値

透析導入の目安になる検査値

腎臓の機能の目安となる検査

尿素窒素(BUN) 

正常値:8~20㎎/dl以下
透析導入の目安:80~100㎎/dl以上

尿素窒素とは、たんぱく質を分解するために作られるアンモニアなどの産物が最後に変化した物質です。

クレアチニン(Cre) 

正常値:男性0.61~1.04㎎/dl以下
    女性0.47~0.79㎎/dl以下

透析導入の目安:男女:8㎎/dl以上 

・筋肉で作られる老廃物の一つ。

推算式糸球体ろ過量(eGFR)

正常値:60㎖/分/1.73平方メートル以上
透析導入の目安:15㎖/分/1.73平方メートル未満 

・1分間に腎臓が血液をろ過する量=からだに必要のないものをおしっことして1分間にからだの外に出す量です。

尿たんぱく

正常値:陰性  
透析導入の目安:透析導入が必要か調べるには、一日のおしっこをためて、たんぱく質がどれくらい出ているかを調べます。

気をつけたい生活習慣

看護師がわかりやすく解説!透析と言われたら①透析と言われる前に起こる身体の変化

① 毎日の食事で気をつけること   

たんぱく質の摂り方

・食事に含まれるたんぱく質は老廃物となる成分を作りだし、腎臓のはたらきが悪くなるとからだに溜まりやすくなります。

健康な人で、一日のたんぱく質を摂る量はだいたい60~80gです。

腎臓のはたらきが悪くなると、からだにたんぱく質が溜まりやすくなるため、標準体重が60Kgの方の場合、40g前後にたんぱく質の量を減らす必要があります。

塩分の摂り方

1日6~7gを目標に減塩します。
高血圧やむくみがある場合は更に5g以下に制限されることもあります。

このほかにも、カロリーの取り方やカリウムの制限など、症状によって食事を変える必要があります。
しかし、食べてはいけない食品はありません。

腎臓や喜ぶメニューのご紹介

【野菜たっぷりスープ】

冷蔵庫にある野菜でスープを一品。
野菜は湯でこぼして、たんぱく質を減らしましょう。
野菜だけだとカロリーが不足しがちになるため、肉や魚を追加。
油の多い部分はたんぱく質が少なく牛や豚バラ肉、鶏もも肉、魚を入れるときは、白身や青魚がおすすめです。ご飯にかけてもオッケー!
更に、バターやオリーブオイルを入れてカロリーアップもできます。

【おなかが空いたとき】

ナッツやビターチョコをつまんでカロリー補給しましょう。

こんな風に、家族と同じ食生活でも、ちょっと工夫するだけでずいぶん違います。

② たばこ

たばこを吸うと血管は縮まります。
そのため、腎臓の血液の流れが悪くなり、腎臓の中にある細い血管の障害を起こしやすくなります。

③お酒

適度のお酒は腎臓のはたらきを悪くさせることにはなりません。
しかし、過度のお酒は腎臓のはたらきを悪くさせる恐れがあるので、飲みすぎに注意しましょう。

④不規則な生活習慣

運動不足や寝不足、ストレスなどは、腎臓のはたらきを弱める可能性があります。
過労を避ける、適度な運動を行う、質の良い睡眠をとるなど工夫し、ストレスを減らした日常生活を心掛けましょう。

まとめ

日本腎臓学会の調査によると、国内で約1330万人と推定されている慢性腎不全(CKD)患者のうち、1年間で約3万8000人(4000人に1人)ら)が末期腎不全に陥り、透析療法を受けています。

しかし、からだの変化に注意し、日常生活の工夫を行うことによって、腎臓の機能を長く持たせることができるといわれています。

肝心かなめ=本来使われていたのは『肝腎要』

腎臓と肝臓はからだにとってとても大切な臓器であるということ。

透析が必要といわれる前に、いままでしたことが無かった日常生活の工夫を行って、もう一度からだ声を聴き、日常生活を豊かに過ごしていきましょう。

〘参考文献〙
プチナースBOOKS 疾患別看護過程 任 和子 腎・泌尿・生殖器疾患
メデックメディア からだがみえる 人体の構造と機能 第1版 岡庭 豊 内分泌代謝   
       


この記事を書いた人

看護師:渡辺ひとみ <経歴> 看護師歴36年 (ICU・CCU・重度心身障障碍者病棟・透析病棟・訪問入浴・地域包括支援センター等) 2021年 寄心合同会社設立 2022年 保育士資格習得 2023年 CIAA認定資格習得 現在 社会福祉士資格チャレンジ中 【きしんコーポレーション事業内容】 ・保険外看護(個別レジリエンスサポート、外出・旅行支援等) ・居宅保育 ・ヨガインストラクターによるヨガ講座・音浴療法  他 ひかりハートケア登録ナース・ <執筆・講座実績> ・地域福祉会館ヨガ講座&看護・介護相談 ・区民センター健康講座 ・某友の会健康講座 等

看護師:渡辺ひとみ

<経歴>

看護師歴36年
ICU・CCU・重度心身障障碍者病棟・透析病棟・訪問入浴・地域包括支援センター等

2021年 寄心合同会社設立
2022年 保育士資格習得
2023年 CIAA認定資格習得

現在 社会福祉士資格チャレンジ中

【きしんコーポレーション事業内容】

・保険外看護(個別レジリエンスサポート、外出・旅行支援等)
・居宅保育
・ヨガインストラクターによるヨガ講座・音浴療法  他

ひかりハートケア登録ナース

<執筆・講座実績>

・地域福祉会館ヨガ講座&看護・介護相談

・区民センター健康講座

・某友の会健康講座 等

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