- いよいよ透析が必要になったけど、 日常生活のイメージがつかない
- 週に3回も病院に通えるかな
- 気を付けないといけないことを説明されたけど、イマイチなぜそうしないといけないのかが分からない
- 仕事は続けられるのかな?
- 好きな旅行は、もう行けないのかな
そんなのあなたが安心して透析導入できるように、分かりやすく透析についてお話します。
この記事の目次
1. 腎臓の代替療法とは
今回は、いよいよ最終回。
この記事を読んで、透析導入の不安が解消されるように、わかりやすくお話していきたいと思います。
まず、腎臓の機能が悪化すると、腎臓の代わりをする治療が必要になります。
その腎臓代替療法は、(1)透析療法、(2)腎移植の2つに分けられます。
この腎臓の代わりになる治療について、お話したいと思います。
(1) 透析治療
透析治療には、①血液透析、②腹膜透析の2つがあります。
それぞれの透析治療の方法と日常の注意点についてお伝えします。
① 血液透析
- 1. 導入までに行う治療
-
血液透析を行うためには、一度に多量の血液を入れ替えるため、「シャント」と呼ばれる動脈と静脈を皮膚の下で繋ぎ合わせ、血管を太くする手術を行います。
血液透析は、このシャントを使用し透析を行います。
- 2. 血液透析と通院
-
血液透析は、通常週3回通院し、1回につき4~5時間透析を行います。
通院には、ご自身で通院する場合と、病院が送迎を行っている場合などがあります。
週に3回行いますが、月・水・金の3回と、火・木・土の3回に分かれて行う場合が多いです。
透析日は、病室の空きのある曜日などで調整されることが多いですが、ご本人の生活の都合とも相談し、曜日を決めるといいと思います。
- 3. 日常生活の注意点
-
日常生活を過ごす上で、必ず注意していただきたいことは、「シャント」を守ることです。
シャントが詰まったり感染してしまうと、透析が行えなくなり、生命に危険を及ぼすことになります。シャントがある腕では、重い荷物を持たないように気をつけてください。
透析を導入しても、合併症の予防や、スムーズに透析が行える体つくりとして、適度な運動や十分な食事は継続して自己管理をしましょう。
② 腹膜透析
- 1. 導入までに行う治療
-
腹膜透析を行うには、お腹にチューブを埋め込む手術が必要です。
だいたい2回に分けて行い、それぞれ1週間程度の入院してチューブを埋め込みます。
2. 腹膜透析の方法
-
腹膜透析という名の通り、腹膜を利用し透析を行います。
お腹に設置されたチューブを通して、透析液と呼ばれる液をお腹の中に入れ、老廃物などを吸収した透析液をお腹から出す方法になります。
これは、1日1回、だいたい寝ている間に機械を使って自動的に透析を行います。
受診は定期的に行いますが、週に3回病院に通う必要が無く、定期受診日に体調などを診察していただき、透析液など必要な備品を処方して持ち帰ります。
この腹膜透析は、寝ている間に透析ができるメリットがあり、学校に行っている子どもや仕事をされている方が導入されることが多いです。
また、腹膜の寿命もあり、5~10年で血液透析に移行する必要があります。
- 3. 日常生活の注意点
-
腹膜に設置されたチューブからの感染や、チューブが折れたりしないように注意する必要があります。
(2) 腎臓移植
腎臓移植は、他の人の腎臓を身体に移植することで、腎臓の働きを回復させる方法です。
方法として、①生体腎移植、②献体腎移植があります。
腎移植では、透析治療からの解放や、腎不全の合併症からの解放、より安全な妊娠や出産が可能となり、生命予後もよいなどがあります。
①生体腎移植
親族から腎臓提供によって、約3時間程度の手術によって腎臓を移植します。
移植可能かどうか事前の検査が必要で、臓器提供者(ドナー)と一緒に移植する病院に入院し、移植手術を行います。
②献体腎移植
亡くなられた方から腎臓を提供していただく移植になります。
献体腎移植には、心臓死からの移植と、脳死からの移植があり、日本臓器移植ネットワーク(JOTNW)にあらかじめ登録する必要があります。
2. 仕事や旅行はどうなるのか
(1) 仕事
今、あなたはどんな時間に働いていますか?
日中の勤務でしょうか?
看護師のように、シフト制で、朝も夜も関係なく働いていますか?
それとも、夜だけの勤務でしょうか?
私が出会った方は、透析導入と同時に転職し、昼間に血液透析を受け、夜にタクシードライバーとして働いていらっしゃいました。
また、夜間に行う血液透析は「オーバーナイト透析」と呼ばれ、夜間の睡眠時間を利用し行う長時間透析もあります。
オーバーナイト透析の場合は、昼間に行う透析時間より、1回の透析時間を6~8時間かけて行うため、身体の負担が少なく行え、昼間に仕事をして、夜に透析を受けるというメリットがあります。
近年では、透析寿命が15年ほどと言われていますが、透析の進化もあり、50年以上透析されている方もいらっしゃり、透析導入年齢によっては、まだまだ働きながら透析を受けるという選択が可能です。
(2) 旅行
一泊旅行は、透析日の間に行けるけれど、それ以上の連泊の旅行や海外旅行は無理なのかな、と旅行を諦めていませんか?
透析を受ける病院によっては、旅行先にある透析ができる病院を紹介してもらえます。
また、年に何回か海外旅行に行かれていた方は、透析専門の海外ツアーを取り扱う旅行代理店など利用されていました。
とは言え、体調や旅行による身体の負担はご自身で判断することなく、医師へ相談の上許可を得て旅行を楽しんでいただきたいと思います。
3. まとめ
日本腎臓学会の調査によると、国内で約1,330万人と推定されている慢性腎不全(CKD)患者のうち、1年間で約3万8,000人が末期腎不全に陥り、透析療法を受けています。
透析が必要と言われても、身近に透析を受けている方がいない場合は、知らないことだらけの世界。
そんな中、透析が必要と言われた場合、多くの方々が血液透析を選択されます。
しかし、血液透析を受けるには、週の2~3日の通院が必要になります。
- どんな方法で通院するのか?
- 仕事は続けられるのか?
- 旅行はあきらめないといけないのか?
実際に透析を導入すると、色々な日常生活上の変化が起こることが予想されます。
そんな時に、この記事があなたの背中を押し、透析導入をしても充実した日常生活を送ることができれば幸いです。
「透析と言われて」の5つの記事を読んでいただくことで、透析に対する不安が減ることを祈っております。
定期的にコラムの更新、キャンペーンなどご案内しています。ぜひご登録をお願いいたします
この記事を書いた人
看護師:渡辺ひとみ
<経歴>
看護師歴36年
ICU・CCU・重度心身障障碍者病棟・透析病棟・訪問入浴・地域包括支援センター等
2021年 寄心合同会社設立
2022年 保育士資格習得
2023年 CIAA認定資格習得
現在 社会福祉士資格チャレンジ中
【きしんコーポレーション事業内容】
・保険外看護(個別レジリエンスサポート、外出・旅行支援等)
・居宅保育
・ヨガインストラクターによるヨガ講座・音浴療法 他
ひかりハートケア登録ナース
<執筆・講座実績>
・地域福祉会館ヨガ講座&看護・介護相談
・区民センター健康講座
・某友の会健康講座 等