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看護師が解説!高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

高齢者が介護状態になる原因についてご存じでしょうか。

介護状態になる原因を、いくつかあげてみると、1番多い原因は『認知症』で全体の18.7%と多く、次に多いのは、脳梗塞や脳出血といった『脳血管疾患』で15.1%を占めます。

このほか、『高齢による衰弱』は13.8%を・、『骨折』は12.5%を占めています。

骨折は、介護状態になる原因で一番少ないように見えますが、認知症や高齢による衰弱になる原因にもなるため注意が必要です。

今回は、高齢者に多い骨折と原因について書いていきたいと思います。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因
この記事の目次

骨折の症状について

まず、はじめに骨折すると、どんな症状があるのでしょうか。

高齢者の骨は、弱くなっているため少しの力が加わっただけでも、簡単に折れてしまう場合が多く、本人も気づかない場合もあります。

骨折の症状を知ることで、早期に病院を受診し、治療を受けることで長期の入院を防ぐことができます。

骨折したときの症状は、以下のような症状が現れます。

①痛みがある

骨は表面を骨膜(こつまく)という組織で覆われています。
骨折すると痛みを感じる原因は、骨膜には神経が多いため、損傷や刺激を受けると「痛み」を感じます。
また、外から見ただけでは折れているかどうかわからない場合があります。

転倒し打った部分を押すと強い痛みがある場合は骨折が疑われます。

押したときに感じる痛みは「圧痛」と呼ばれます。
完全に折れているときだけでなく、ひびが入ったときもこの圧痛はみられます。
病的骨折(骨粗鬆症や病気が原因で起こった骨折)や疲労骨折(過度の運動によって生じたひびが原因による骨折)は、明らかな外力がかからなくても起こることがあります。

ケガをしたという覚えがなくても、痛みが続くときは骨折が疑われます。

②変形・異常可動性がある

骨折すると、外見からも明らかに骨が折れていることがわかる場合があり、これを「変形」といいます。
骨折による変形があるときは、骨折した部分がみるみる腫れてきて、強い痛みも出てきます。

「異常可動性」とは、関節以外の部位で骨が動く(曲がる)ことをいいます。
変形がなくても、異常可動性がみられれば骨折しています。

異常可動性がある場合は骨折部位を動かしたときにゴリゴリと異常音がする場合があります。

③内出血している

骨折すると、骨折した部分から出血する場合があります。
骨周辺の筋肉や腱といった組織も傷つくことが多く、そこから出血する場合があります。
出血量が多いときには、皮膚の下を伝わり、広範囲に内出血が出てきます。また、内出血は広範囲に広がる場合と出血が1か所にたまる場合があります。
これを血種といいます。

少しずつ出血が生じている場合は、骨折直後は外見的にはわかりませんが、数日後に現れることがあります。
内出血は、時間が経つにつれ、組織に吸収されるため経過観察をしていく場合が多いです。

対処は患部の「安静」・アイスノンなどによる「冷却」・ガーゼやタオルを患部に当てる「圧迫」・患部を心臓より高い位置に挙げる「挙上(きょじょう)」が一般的です。

病気により抗凝固剤を内服されている場合は止血しにくいため、内出血が広がる場合があるので観察が必要です。
広がってくるようであればかかりつけの医療機関へご相談ください。

内出血は、はじめは青紫色をしていますが、組織への吸収が進むにつれ、内出血の外側から黄色くなっていき、やがて消えていきます。
だいたい2~3週間で消えることが多いです。

いずれにしろ、軽率に自己判断することなく、病院にかかるのが安心です。

高齢者が骨折しやすい3つの理由

高齢者が骨折しやすい理由として次の3つがあげられます。

・骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で骨そのものの強度が落ちる
・筋力低下により転倒しやすい
・栄養不足で皮下脂肪が菲薄化する

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)で骨そのものの強度が落ちる

骨粗鬆症とは骨の中のカルシウムが少なくなることで骨の中に隙間ができ、骨がもろくなる病気です。

骨もほかの臓器と同じで細胞でできています。
古い骨細胞から、新しい骨細胞へと入れ替わる新陳代謝をすることで骨細胞の入れ替えを行い、骨折しにくい強い骨を作っています。

加齢や病気により、新陳代謝のバランスが崩れ、新しい細胞を作るスピードが遅くなり古い骨の割合が多くなり骨がもろくなっていく状態です。

①ホルモンの減少により骨粗鬆症がすすむ

骨粗鬆症は特に女性に多く見られるのには理由があります。

女性ホルモンの分泌が、骨の新陳代謝に関係しているため閉経後は、女性ホルモンの減少により骨細胞の新陳代謝が影響しています。

骨粗しょう症の有病率は加齢とともに上昇し、80歳代の女性では約5割が骨粗しょう症であると言われています。

②病気により骨粗鬆症がすすむ

あまり知られていませんが、糖尿病や腎機能に障害がある方は、骨粗鬆症が一般の方より進行するため、骨折しやすいといわれています。
原因は、骨を強くするために必要な栄養素の1つである、ビタミンDの不足があげられます。

通常、ビタミンDは腎臓で活性化し、腸管からカルシウムを吸収し骨を丈夫にする役割があります。
しかし、糖尿病や腎臓病で腎機能が低下すると、ビタミンDを活性化する力が弱まり、腸管からのカルシウム吸収が低下します。
カルシウムの吸収が少なくなると血液中のカルシウムが足りなくなります。
血液中のカルシウムは神経の電気信号を正しく送るために一定の濃度が必要になるので補う必要があり、骨のカルシウムを血液中に溶かし出すようになります。
そのため、骨のカルシウムが少なくなり骨粗鬆症となっていきます。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

筋力低下に伴い転倒しやすい

高齢者の筋力が低下する原因は、活動量が減ると同時に筋肉量も減少します。

特に太ももを持ち上げる働きのある腸腰筋(ちょうようきん)の筋肉量が少なくなると、歩行時の足の動きが鈍くなり、つまずきやすくなります。その結果、転倒により骨折しやすい状態になります。

栄養不良により皮下脂肪が減る

高齢者が骨折しやすい原因に、「栄養不足」があります。

高齢になると、活動量が低下や消化機能が低下することにより、食べる量が減ってきます。
食べる量が減ってくると、身体をつくるもととなる栄養素が不足し体重が減ってきます。
そのため、骨を守るための筋肉はもちろん、皮下脂肪が薄くなるため、骨を守るものがなくなり、転倒による衝撃が骨に直接加わるため、骨折しやすい状態になります。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

高齢者に多い4大骨折と特徴

高齢者に多い骨折とはどんなものでしょうか。

もともと、骨が弱くなっているためどの部位でも骨折はしやすいですが、この項では高齢者の代表的な骨折と特徴について述べていきたいと思います。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

大腿骨近位部骨折(だいたいこつきんいぶこっせつ)

大腿骨近位部は、ボールの形をした大腿骨頭(だいたいこっとう)と少しくびれた大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)と筋肉が付く大腿骨転子部(だいたいこつけいぶ)があります。

大腿骨頸部で起こる骨折を「大腿骨頸部骨折」。大腿骨転子部で起こる骨折を「大腿骨頸部骨折」といいます。

骨折のきっかけは、尻もちをついたり、ベッドからずり落ちたり、身体をねじるようにこけることで骨折します。
症状は多くの場合は、痛みと力が入らないために転んだその場で動けなくなります。

ごくまれに骨折が軽度のため、ひびが入った程度の場合は歩けることもできますが、動いた時に、股関節部の痛みが続きます。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)

橈骨とは両手の肘から手首までの骨のことを言います。正確には肘から手首までの骨は2本あり、橈骨は親指側に位置します。

橈骨骨折の主な原因は、つまずいて転倒するときに、手のひらを地面につくことで外力が加わり骨折します。
また、自転車やバイクに乗っていて転んだときにも起こしやすい骨折です。
骨折の位置として手首の近くが折れることが多く、心臓より遠い位置にあるため遠位と表します。

症状は手首に痛み・腫れ・熱感があり、内出血がある場合もあります。
また、手に力が入らないこともあり、骨折により神経が圧迫されておこる神経障害を起こす可能性もあります。
神経症状が起きる場合は人差し指から薬指がしびれる・動きにくくなることがあります。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

上腕骨近位部骨折(じょうわんこつきんいぶこっせつ)

上腕骨(じょうわんこつ)とは肩から肘までの骨のことを指します。上腕骨近位部骨折は肩の付け根部分が骨折していることをいいます。

骨折の原因は、転倒するときに肩から地面についたり、手をついたりすることで受傷します。
症状は肩周辺の痛みと腫れや熱感が現れます。上腕骨は腕の筋肉に覆われているため骨折直後は腫れに気づかない場合があります。
骨折により出血することで腫れに気づく場合があります。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)

脊椎とは身体をささえる骨のことをいい、一般的には背骨と言われています。

脊椎圧迫骨折の特徴は、脊椎に上下の圧力が加わり、つぶれるように折れてしまった状態をいいます。

脊椎圧迫骨折の多くは、胸からおなかの部分を支える胸椎(きょうつい)と腰の部分を支える腰椎(ようつい)に多くみられます。

高齢者の骨折予防①高齢者に多い骨折と原因

脊椎圧迫骨折の主な原因は、こけた時に尻もちをつく、重いものを持ち上げようとしたときに多くみられます。
また、高齢者は骨粗鬆症により、骨がもろくなっているため、せきやくしゃみ、身体を捻っただけでも骨折する場合もあります。

脊椎圧迫骨折の主な症状は、腰から背中にかけて痛みがあり、腰や背中が曲がってきます。
場合によっては足がしびれるといった症状を起こすこともあります。

おわりに

骨折は介護状態になる原因の順位としては低いですが、入院による環境の変化や手術をすることで身体的・精神的なストレスがかかりやすくなります。

筋肉は動かさないでいると1日1~3%ずつ減少していくため、手術前後の安静期間中にも筋肉低下は進んでいきます。

術後に機能回復のためリハビリテーションを行いますが、一度低下した体力や筋力を回復させるのには安静期間の倍以上の時間がかかります。
その結果、ベッド上での生活や車いすを使う生活になる可能性もあります。

「入院前は歩けていたのに」という言葉をご家族やご本人より多く聞かれるケースはあとを絶ちません。

高齢者の骨折しやすい部位や原因を知ることで、日々の生活に役立てていただければと思います。


この記事を書いた人

看護師:渡邉加代子

渡邉 加代子

【プロフィール】

看護師歴24年目。
これまで急性期(整形外科・外科・脳外科・内科・循環器)病棟での勤務を経験。
2016年に現在の職場に転職し、回復期リハビリテーション病棟は配属となる。
2019年から栄養サポートチームに所属し、各専門職と協力して週1回、入院患者様の栄養ケアを行っている。
今後は、退院先での適切な栄養ケアが継続できるようにパンフレットの作成や地域高齢者を抱えるご家族への栄養相談や講座の開催を考えている。

【所属】

一般社団法人 日本ナースオーブ所属 ウェルネスナース

【執筆】

食と健康について考えるブログ/note

【講座】

Wellnessチャートで賢くやせる/ウェルネス講座

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