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看護師が解説!介護負担軽減②介護負担を一日単位で軽減できる通所サービス
前回は時間帯で介護負担を軽減できる訪問サービスについてをお知らせしました。 今回は通所サービスについて。 通所サービスを利用することで、ご家族がどのように介護…
在宅介護をできるだけ続けたいと思っていても、急用や仕事の都合などでどうしても介護が難しい状況もあります。
また、日々の医療ケアが多く在宅介護が不安な人もいらっしゃるでしょう。
今回の記事では、介護を様々なサービスで24時間サポートする小規模多機能型居宅介護について説明します。
この記事の目次
1.はじめに
小規模多機能型居宅介護は、介護に負担を感じ始めているが、できるだけ住み慣れた家で介護したいと願うご家族に知っていただきたいサービスです。
このサービスは住み慣れた地域で、最後まで生活できるようにと「宅老所」をモデルに2006年に制度化された地域密着型サービスのひとつです。
「宅老所は」1980年代において、認知症に関する理解や制度の整備が進んでいなかった時期に、通い・訪問・宿泊などのサービスを提供していました。制度内では対応できない部分を対応してくれていたという歴史があります。
令和元年度、厚生労働省の小規模多機能型居宅介護の資料の中で、小規模多機能型居宅介護をご家族が利用することになった理由が述べられていました。
その理由は53.7%が通い・訪問・宿泊を複合的に提供してくれるからだと回答しています。
小規模多機能型居宅介護サービスは、3つのサービスを利用できることが大きなメリットであり、ご家族の介護負担軽減につながっています。
サービスについて詳しく見ていきましょう。
2.小規模多機能型居宅介護について
(1)小規模多機能型居宅介護とは
地域密着型サービスの一環として提供されるます。
以下のの3つのサービスを、ひとつの事業所から提供しています。
小規模多機能型居宅介護
- 通所介護(デイサービス)
- 訪問介護(ホームヘルパー)
- 泊り(ショートスティ)
介護を受ける人の心身の状況や環境に応じて、サービスを組み合わせることができます。
24時間365日サポートを受けることができるため、介護をする人にとって心強いサービスです。
また、環境の変化が苦手な高齢者にとっては、職員や他の高齢者と顔なじみの関係性が築きやすいため、安心して利用することができます。
利用条件や利用可能な人
利用条件 | 要支援、要介護認定を受けている方 事業所と同じ市区町村に住んでいる方(住民票がある方) |
利用可能な人 | 介護認定を受けていれば認知症以外の方でも利用可能 |
(2)小規模多機能型居宅介護のメリット
- 通所介護、訪問介護、泊りを一か所で受けることができる。
- 同事業所で1回契約すれば3つのサービスを受けることができるため、契約の手間が省ける。
- 24時間365日利用回数の制限なく利用することができる。
- スタッフ間の連携が取りやすい環境にあるため、情報共有がしやすい。
- 介護サービス利用料が月額定額制である。(食費、宿泊費は別途料金が必要)
- 急な利用が可能である。
- 3つのサービスを利用しながら下記のサービスを併用できる。
・訪問看護
・訪問リハビリ
(訪問リハビリは訪問看護、訪問介護を利用していない時間帯に利用できる。)
・居宅療養管理指導
(医師や薬剤師が通院困難な要介護者の自宅を訪問し、療養上の管理指導を行うサービス)
・福祉用具貸与
・住宅改修
(3)利用時の注意事項
- 小規模多機能型居宅介護を利用する際は、施設専属のケアマネジャーに変更する必要がある。
- 各サービスの利用定員数が決まっているため、サービスを利用できない場合がある。
- 利用回数が少ない人は、現在の介護保険サービス利用料より高くなる場合がある。
- 以下のサービスは併用できない場合がある。
・居宅介護支援(他事業所のケアマネジャー)
・訪問看護(看護小規模多機能型居宅介護を利用中の場合)
・訪問介護
・訪問入浴
・通所リハビリ(デイケア)
・通所介護(デイサービス)
・ショートスティ
3.さまざまな活用方法
(1)働く介護者をサポート
娘さんと同居する母親Aさんは、通所介護を週3回利用、訪問介護を週2回、泊りを週1回利用している。
娘さんは仕事が遅くなり夕食を作る時間がないため、Aさんは通所介護利用日には泊りの利用者と一緒に夕食をとり帰宅している。
(2)一人暮らしをサポート
一人暮らしの男性Bさんは週5回の通所介護、毎日の訪問介護、週1回の泊りを利用している。
隣の市に息子さんが住んでおり、週1回様子を見に来ている。
朝は通所介護の送迎時に、介護士が朝の服薬が出来ているか確認をしている。
Bさんは介護士と洗濯物干しを一緒に行い、通所介護に来ている。
通所介護がない日も訪問介護が入り、食事作りなどの生活援助や服薬確認をおこなってもらっている。
(3)急な泊りにも対応
Cさんは週4回の通所介護と、週3回の訪問介護と週に1回の泊りを利用している。
長男夫婦が介護しているが、入浴介助の介護負担が大きいので、通所介護時だけでなく訪問介護でも入浴介助をしてもらっている。
急遽、親戚に不幸があり長男夫婦は他県へ2日間行くことになり、Cさんは泊りを利用することになった。
4.医療ケアが必要な場合
医療面をサポートしてもらいながら、在宅介護を続けたいときは、「看護小規模多機能型居宅介護」という選択肢もあります。
小規模多機能型居宅介護をベースとして、訪問看護を組み合わせています。
以下の4つのサービスを、ひとつの事業所から提供しています。
看護小規模多機能型居宅介護
- 通所介護(デイサービス)
- 訪問介護(ホームヘルパー)
- 泊り(ショートスティ)
- 訪問看護
退院直後やガン末期などの医療依存度の高い人が、利用できるサービスが不足していたことから始まりました。
利用条件や利用可能な人方
利用条件 | 要介護認定を受けている方 事業所と同じ市区町村に住んでいる方(住民票がある方) |
利用可能な人 | 医療処置が必要な方(胃ろう、気管切開、人工肛門の管理、インスリン注射、カテーテル交換、点滴、床ずれ) 認知症の方 機能訓練やリハビリが必要な方 看取り期の方(ガン末期、老衰) 自宅や看護小規模多機能型の事業所内でも看取りを行いたい方 |
小規模多機能型介護と同様に24時間365日サポートを受けることができます。
医療ケアの必要度に合わせ、小規模多機能型居宅介護か看護小規模多機能型居宅介護のいずれかを選ばれると良いと思います。
5.まとめ
在宅介護は心身の疲労が蓄積することもあります。
介護負担が大きくなると、そろそろ施設を選ばないといけないと思われがちです。
そういう時に介護負担を軽減する手段として、これらのサービスが役立つかもしれません。
小規模多機能型居宅介護は顔なじみの関係が築けるため、細かなところまで気配りできる環境にあり安心して任せることができます。
看護小規模多機能型居宅介護は、退院後で在宅介護が不安な時、泊りを利用しながら体調や生活環境にあったアドバイスを看護師や介護士から受けることもできます。
今回紹介した介護サービスは、様々なサービスを利用することができるため、介護する人の生活リズムに配慮しながら介護を続けることができます。
在宅介護を続けたいと願うご家族の参考になれば幸いです。
次回はショートスティとレスパイト入院について説明します。
<引用、参考文献><引用、参考文献>
◆厚生労働省:小規模多機能型居宅介護(令和元年)
◆厚生労働省:看護小規模多機能型居宅介護
◆日本看護協会:看多機の開設準備
次の記事
看護師が解説!介護負担軽減④高齢者のショートスティとレスパイト入院
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この記事を書いた人
郷堀有里夏
<プロフィール>
看護師経験30年。急性期病棟やICUを10年経験した後、施設看護や訪問看護、ケアマネジャーとして多くの介護を必要とする方々やそのご家族と関わる。
県外で勤務していた頃、母親が介護状態となり地元へ帰省する。
仕事と介護と自分の人生に悩んでいた頃、認知科学を学ぶ。
学びを通してわだかまりのあった親子間や家族間の葛藤を解消し、介護中に修復する事が出来た。そして、母親を施設から引き取り家族と共に在宅看取りを行うことが出来た。
自身の経験を通して、「健やかに自分らしく生きること」や「安心して介護や看取りが行える環境づくり」が重要だと感じ、心の介護専門家として講座やお話会を通じ情報を提供している。
<経歴、職歴>
(一社)日本ナースオーブ所属 Wellnessナース
看護師経験30年(訪問看護管理者、施設看護、介護支援専門員、救急センター、ICU)
保険外自費サポート ひかりハートケア登録ナース
<講座>
親にイライラしない介護コミュニケーション/ウェルネス講座
<その他の活動>
心から看る介護と認知症のお話会
後悔しない親の介護 / ブログ
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著者の Facebook
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