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看護師が解説!小児医療③子どもの便秘と予防法

小児医療③子どもの便秘と予防法

子どもにとって規則正しい生活は、心と体を健康に育むためにとても大切なことです。

同時に、規則正しい排便習慣を身に付けることは、毎日を機嫌良く過ごすためにも親が気をつけたい重要なことです。しかし、製薬会社の調査によると、近年は子どもの便秘が急増し、子どもの健康にとても影響を及ぼしているそうです。

たかが便秘といっても、何日も便が出ないと排便が痛みや苦しい記憶となってしまいます。

排便という健康にとって基本的な習慣が悪い影響を与えることがないように、今回は子どもの便秘と予防法についてお伝えします。

この記事の目次

1.どのような状態が便秘なのか

便秘は4日以上も便が出ない、いきんでもなかなか便が出ない、肛門が切れて出血する、週に3日以下の排便でスッキリしない場合は便秘と言えます。

便秘が続き、便が硬くなると、排便することが怖くなり、お腹の痛みや不快感から不機嫌になるなど精神的にも悪影響を及ぼします。
また、排出されない便の細菌が胃や腸まで侵入し、嘔吐することもあります。

特に乳児は、母乳や人工乳から離乳食に変わると、一時的に便が硬くなることがあります。
そのため、離乳食を始めたばかりの頃から便秘をしないように親は注意深く観察する必要があります。

乳児期

2.便秘の原因

子どもは、成長の過程で便秘になりやすい時期があります。二つの時期をみていきましょう。

①乳幼児期

乳幼児期で母乳や人工乳から離乳食に移行する時期は食事の内容の変化に消化管が順応しようとするため、一時的に便秘になりやすいです。

乳幼児は体温が高めで、汗をかきやすいですが、発汗量に比べて母乳や人工乳を飲む量が少ないと便秘になりやすくなります。
この時期は排便の際に便が硬くて痛い思いをすると便意をもよおしても我慢するようになります。

②学童期

小学生になると学校でせっかく便意をもよおしても、恥ずかしい、においが気になるなどの理由で排便を我慢するようになります。休み時間にはトイレが混み合い、時間も限られているため、ゆっくりと排便できないことがあります。

このような理由から排便のタイミングを逃して慢性的な便秘になる場合があります。

小学生になると、行動範囲も広がり親の目が届かないようになりますが、日頃から子どもが話しかけやすい雰囲気づくりを心がけ、変化を見逃さないようにしましょう。

学童期

便秘の改善は「1に生活、2に食事、3、4がなくて5に薬」といわれています。
今一度、子どもの生活習慣を見直してみましょう。

3.子どもの便秘を予防する生活習慣

子どもは規則正しく生活することで健康な習慣が身についていきます。
規則正しい生活習慣そのものが便秘予防であると言えますが、具体的な方法を次にあげます。

①早寝早起き

体は生活リズムをつくると、決まった時間に便意を感じるようになります。
乳幼児以降の子どもは、質の良い睡眠のためには早寝早起きを心がけ、朝食後は腸の運動が活発になるためトイレに行く習慣をつけると良いですね。

時計、早寝早起き

幼児期のトイレトレーニングは、失敗しても怒らず根気強く見守りましょう。

便意がなくてもトイレに行くクセを体に伝えることが大切です。

②食事

便秘を予防するためには腸内環境を良くすることが重要です。
乳幼児はよほど体質が悪くない限りは便秘になることはありませんが、離乳食が始まる頃は取り入れる食材を工夫する必要があります。

  • 食物繊維
    食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
    水溶性食物繊維は便を軟らかくし、便が腸内を移動しやすくしてくれます。海藻類やこんにゃくに多く含まれます。
  • 発酵食品を摂る
    納豆や味噌などの発酵食品は、腸内環境を整える善玉菌を多く含みます
    発酵食品はにおいが気になり、嫌いな食材になることもあるため、食べやすいようにアレンジすることが必要です。
  • オリゴ糖を摂る
    腸内の善玉菌はオリゴ糖をエサにして増え続け、腸内環境を良好にします。
    バナナや玉ネギ、ブロッコリー、ごぼう、大豆に多く含まれています。
  • 油類を摂る
    油には腸を刺激し、便が腸をすべりやすくするための効果があります。
    ゴマ油やエゴマ油、アマニ油、オリーブオイルなど、種類が豊富でそのまま食べられる油もありますので、普段の食事に取り入れてみると良いでしょう。
  • 水分を効果的に飲む
    起床後にコップ1杯の水を飲むと、胃や腸の動きが活発になります。
    子どもは汗をかきやすいため、こまめに水分が摂れるように工夫をしましょう
  • よく噛む
    子どもはお母さんのおなかにいる胎児の頃から噛む訓練をしています。
    生まれる前は指しゃぶり、そして生まれると、お乳を吸うという食物を食べるための準備を進めていきます。しっかりと噛ませるためには、乳歯の生え始めから生えそろった後では食材の工夫をする必要がありますが、噛むことには以下の良い効果がたくさんあります。

噛むことによる効果

  • 唾液がたくさん出る
  • 虫歯の予防
  • 脳を活性化させる
  • 味覚を発達させる
  • あごを発達させる
  • 食物の消化や吸収を促進させる。

例えば、お味噌汁に野菜やきのこをたくさん入れると、よく噛むきっかけになります。

大切なのは、食事の時間を通じて噛むことの意味、食べることの大切さを楽しく子どもに伝えいくことだと思います。

食事

とはいえ、今すぐ便を出してあげたいという場合もあると思います。
次にすぐできる解消法をお伝えします。

4.すぐできる便秘解消法

①オリーブ油で肛門を刺激する

乳児や幼児に便が出ない時はオリーブ油を肛門に塗り刺激をすると効果があります。
先が大きめの綿棒で肛門を広げるようにやさしく「の」の字を書くようにすると良いでしょう。

②腹部のマッサージ

下腹部に大きな「の」の字を描くようにやさしくゆっくりマッサージをします。
両手を使い、力を入れないようにしましょう。

お腹にのの字を書く

③浣腸や座薬を使用する

それでも便が出ない場合は浣腸を使用する方法もあります。
薬局で子ども用の浣腸や座薬を購入できますので、薬剤師に相談してみると良いでしょう。
浣腸や座薬は一度使うとクセになるといわれていますが、決してそうではありません。

それよりも便秘が子どもの精神状態に影響することのほうがよっぽど問題ですので、考えすぎず応急処置と捉えましょう。

どうしても便が出ない時は小児科医を受診すると適切な処置をしてくれます。

困ったときは一人で抱え込まずに、適切な方法を選択すると良いですね。

5.まとめ

便秘は子どもが成長する過程で、誰でも体験することです。
親があまり神経質になりすぎると、敏感な子どもは親の顔色を窺うようになります。便秘になっても、お伝えした内容を実践しながら、その体験通じて子どもとの関係性がより良いものにできれば、便が出せる体に成長できると思います。

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この記事を書いた人

福井三賀子 <プロフィール> 小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。 同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。 結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。 在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。 現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。 <経歴> 看護師経験20年。 外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来) 介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム) 介護支援専門員6年 <資格> 看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター <活動> 講座「更年期は黄金期」 ブログ「幸せな更年期への道のり」 メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」 スタンドFMラジオ「幸せな更年期への道のり」

福井三賀子

<プロフィール>
小児内科、外科、整形外科の外来と病棟勤務で看護の基本を学ぶ。
同病院の夜間救急ではアルコール中毒、火傷、外傷性ショックや吐血、脳疾患など多くの救急医療を経験。

結婚後は介護保険サービス事業所で勤務しながらケアマネジャーの資格を取得。6年間在宅支援をするなかで、利用者の緊急事態に家族の立ち場で関わる。

在宅支援をしている時に、介護者である娘や妻の介護によるストレスが社会的な問題に発展していることに気づき、心の仕組みついて学びを深めると同時に更年期の女性について探求を始める。
現在は施設看護師として入居者の健康維持に努めながら50代女性対象の執筆活動やお話会、講座を開講している。

<経歴>
看護師経験20年。
外来、病棟(小児・内科・外科・整形・救急外来)
介護保険(デイサービス・訪問入浴・訪問看護・老人保健施設・特別養護老人ホーム)
介護支援専門員6年

<資格>
看護師/NLPマスタープロテクショナー/プロコミニュケーター

<活動>
講座「更年期は黄金期」
ブログ「幸せな更年期への道のり」
メルマガ「50代女性が自律するためのブログ」
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