「膝が辛いのは、年齢とともに、軟骨がすり減ったから」 そう思っている方は多いかもしれません。
たしかに、年齢とともに膝関節には変化が起こります。骨や軟骨も、長年の負担の影響を受けていきます。
ただ一方で、研究では、健康な状態であれば、年齢だけで軟骨が急激に薄くなるわけではないという報告もあります。
では、何が膝への負担に関係しているのでしょうか。
そこで見落とされがちなのが、「筋肉の変化」です。膝関節は、骨や軟骨だけで体重を支えているわけではありません。太もも周囲の筋肉が衝撃を吸収し、関節がぶれないよう支える役割を担っています。そのため、筋肉量が変化すると、膝への負担感につながる場合があります。
筋肉の「貯金」は30代から減り始めている。実は、膝を支える筋肉の減少は30代からすでに始まっています。
そのペースは年間でおよそ1%。気づかないうちに、少しずつ、確実に進行します。50代以降はその速度が加速し、60代では20代の頃と比較して、太ももの筋肉量が20〜40%近く低下しているというデータもあります。
もし今、あなたが40代や50代であれば、すでに10〜20%以上の「膝を支える力」を損している計算になります。痛みなどの自覚症状が出る前から、膝を取り巻く環境は静かに変化していたのです。
「軟骨」よりも「支える力」に注目
「でも、軟骨がすり減っているのが原因でしょう?」そう思う方も多いはずです。確かに年齢とともに組織の変化は起こります。
しかし、近年の研究では、年齢を重ねることだけで一律に軟骨が顕著に薄くなるわけではない、とも言われています。むしろ現場で見ていて問題だと感じるのは、軟骨そのものよりも膝を支える「筋肉」の減少です。
膝関節は、骨や軟骨だけで体重を支えているわけではありません。周囲の筋肉は、膝への衝撃をやわらげ、関節の安定性を保つ役割を担っています。
加齢や運動不足などによって筋肉量が低下すると、膝関節への負担が増加しやすくなるといわれています。「膝の違和感の背景には、筋力低下によるサポート力の変化が関係している場合もあります。
この記事の目次
自分の膝の状態を知る「セルフチェック」
膝を支える太ももの筋肉は、年齢とともに少しずつ変化していきます。まずは、今の自分の状態を数値で確認してみましょう。
測定する場所は、膝のお皿の上端から10cm上。左右の太さに1〜2cm以上の差がある場合は、左右で筋肉の使われ方に違いがある可能性の一つの目安となります。あくまで参考の一つとしてご覧ください。
また、今の数値を記録しておくことで、今後の変化にも気づきやすくなります。
継続的な運動やケアによって数値が変わっていくことは、膝を支える力の変化を知る目安のひとつになります。
膝を支える力を取り戻す、2つのステップ
筋肉は、適切な刺激を継続することで変化が期待できます(個人差があります)。特別な器具は不要です。今日から自宅で始めましょう。
①椅子でできる「レッグエクステンション」
椅子に深く腰かけ、背筋を軽く伸ばします。
片脚をゆっくり持ち上げます。
床と平行になるまで膝を伸ばします。
そのまま5〜10秒キープします。
ゆっくり戻します。
太ももの前側に「じわっ」と力が入る感覚があればOKです。
左右それぞれ10〜15回を目安に行いましょう。
ポイント
勢いをつけず、ゆっくり動かす
つま先は正面に向ける
呼吸を止めない
注意点、腰を反らしすぎない、痛みがある場合は無理をしない
②膝への負担が少ない「クアドセッティング」
「脚を持ち上げるのがつらい」 「膝を動かすと違和感がある」
そんな方でも始めやすいのが、「クアドセッティング」です。関節を大きく動かさずに、膝を支える太ももの筋肉へ刺激を入れることができます。
やり方はシンプルです。
床に脚を伸ばして座り、丸めたタオルを膝の下へ置きます。
つま先を天井へ向けたまま、膝裏でタオルを押しつけるように力を入れましょう。
太ももの前側が「硬くなる感覚」があればOKです。
そのまま5〜10秒キープし、ゆっくり力を抜きます。
左右それぞれ10〜15回を目安に行いましょう。
大切なのは、「強く動かす」ことではなく、眠っていた筋肉を少しずつ呼び起こすこと。
小さな積み重ねが、これからの膝を支える土台になります。
「年だから」は、始める理由になる
「もう年だから仕方ない」と思ってしまうことは自然なことです。ですが、今の状態を知ることは、「今日からケアを始める理由」にもなります。
筋肉は、少しずつでも使い続けることで変化していきます。あなたの膝は、これから先も使い続ける大切な土台です。
※運動を始める前に、膝や関節に持病のある方、治療中の方は、必ず医師の指示のもとで行ってください。
■参考文献
① 筋肉量は25〜30歳頃から減少し始め、生涯を通じて進行する タイトル:サルコペニア|e-ヘルスネット(厚生労働省)
② 40歳以降で急激に減少し、特に大腿四頭筋が影響を受ける タイトル:サルコペニアとは|健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)
③変形性膝関節症は加齢だけが原因ではなく、運動・筋力が予防に有効 タイトル:変形性膝関節症|e-ヘルスネット(厚生労働省)
■下倉 雄介 施術家歴 16年半以上
トレーナー実績 安田大サーカス団長(トライアスロン)、他
2009年4月、ファクトリージャパングループ(FJG)に新卒入社。
カラダファクトリー西新井店を経て、2011年8月、カラダストレッチブランド立ち上げ時に店長となり、その後、支部長として数々のストレッチサロンの運営・研修・開店業務を担当。2016年8月に一度FJGを退職。外部クリニックに勤務し開業に携わる。その後、膝専門クリニックでのケアを担当するなどフリーランスで活動。2021年6月、復職。
営業部エリアマネージャー、部長を経て、現在、社長室「カラダストレッチ」担当部長(現任)
カラダストレッチ