はじめまして。
バリアフリーeスポーツ団体「ePARA(イーパラ)」所属のニャーサエと申します。
皆様にゲームとはそもそも何?!という所から、ゲームそのものの楽しさだけではなく、そこに集いコミュニティが生まれて楽しさが倍増していく、ゲームの魅力について発信していきたいと思っています。
まずは自己紹介をさせて頂きます。
この記事の目次
私の障害、双極性障害Ⅱ型について
高校からは音大受験を視野に部活、楽器練習、日々の勉強、レッスン料を捻出するためにバイトに励む等、多忙な日常を過ごしていました。
家庭の事情で音大に進学できないことが判明してから18歳前後に体調を崩してしまいました。体にはどこにも異常がなかったため心療内科、精神科に通院するように勧められてから最初はうつ病、次は適応障害など病名を変化させながら、今は双極性障害Ⅱ型で間違いないだろうということで日々この病気と向き合いながら過ごしております。
双極性障害、以前は躁うつ病と呼ばれていたものでなんとなく病気のことをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
気分の浮き沈みが人生の様々なイベントや天気、気圧、何もない時でも病状が悪化している時は数分、数秒ごとに気分が変化して苦しい時もあります。自分の意思に反して気持ちが落ち込んだり逆に軽躁状態になった時は何でも出来てしまうので後になって心身共に疲弊したり…。躁状態、うつ状態を繰り返すと病状が悪化していくことが特徴です。
完治はない病気。生涯、持病と共に歩む
精神疾患の多くは完治できないものが多く、双極性障害もその一つです。
症状がある程度安定する寛解(かんかい)と呼ばれる状態まで持っていけることはできるものの、それを維持することは簡単なことではありません。
生活リズムを崩すと途端に病状が悪化するのでメリハリのある生活を心がけるようにしています。
何より一番大切なのが自分は病気だという認識をしっかり持って治療に取り組む姿勢をきちんと持つことです。
これを、病識を持つと言って精神疾患の治療では大切な考え方です。
これらを挫けそうになる時もありながらも主治医や地域の支援者の皆様にもご協力頂いて長年続けることができました。
ありがたいことに私の病状は小さな波はありながらも安定している状況です。
そもそもゲームとは何なのか?
私が所属する「ePARA」はバリアフリーeスポーツ団体ですが、唐突に「eスポーツ」「バリアフリーeスポーツ」等、いきなり言われても何をしているのかというのは想像がなかなかつかないかもしれません。そちらについても今後、できるだけわかりやすく解説していく予定です。
連載を通じて、できるだけ多くの方がゲームそのものに興味関心を抱いて実際にやってみよう!と思って頂くことができればと考えております。
第一回目ということで一度「eスポーツ」という単語は横に置いておくことにして、まずは日本におけるゲームについてスポットを当ててざっくりではありますが解説させて頂きます。
日本におけるゲームという単語の意味
「ePARA」の活動ではゲームそのものの存在が欠かせません。ゲームとは一体どういう意味なのか?深く考えずに単語を使っていましたが、ゲーム(英語でgame)は「勝負、または勝敗を決めること」という意味になります。
日本で利用されているゲームの意味には「遊び」「遊戯」の意味で使用される和製英語として今は多くの国民に浸透しています。
チェス、将棋、囲碁、トランプ、これらも全てゲーム
「ePARA」のメンバーならみんなeスポーツができるのか?ゲームがすごく上手なのか?そんな事はありません。
筆者も最初からテレビゲームに馴染みがあったというわけではありませんでした。
友人とトランプで神経衰弱、ババ抜き、七並べ、そういった国民の誰もが馴染みがあるものから触れていきました。
幼い時に保育園に通園していたのですが、敬老会の方がボランティアで園児と遊ぶという時間があった時に、顔も名前も知らないおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に囲碁で五目並べ、将棋で将棋崩し、トランプでババ抜き、他にもたくさんの楽しい遊びを教えてもらいました。
ゲームには勝敗があって負けたら悔しいのはありますが、それ以上にゲームを通じておじいちゃん、おばあちゃんとたくさん会話ができたこと、みんなでワイワイとこんなに楽しい時間を過ごせるツールがあるというのを知ることができたのは自分にとって素晴らしい思い出になりました。
イメージだけで決めないで!ほとんどが楽しく健全にゲームをしています
大人がゲームと聞くとテレビゲームまたは最近だとスマホゲームの方を真っ先に連想してしまうようで、勉強が疎かになる、依存してしまうのでは?等と一昔前よりは随分と改善されたもののまだまだ良いイメージを持たない方もいらっしゃるのが現状です。
特に依存などの問題があるのは事実ですが、ほとんどの方が自己管理できていて問題に陥る人間の方が少数だというのをどうか知って頂ければと思います。ゲームと上手に距離を取れているプレイヤーが大多数です。
デジタル、アナログ、それぞれの良さと弱点がある
コンピューターを用いて開発したデジタルゲーム。カードゲーム、ボードゲーム、囲碁、将棋、麻雀などのアナログゲーム。それぞれ良い所もあれば弱点もあります。
デジタルゲーム(ゲーム機、パソコン等を用いてプレイするもの)
パソコン、ゲーム機、インターネットについての知識
長所 | ・目的のゲームをしたいという気持ちからパソコンやゲーム機、機械系全般に関する知識が身につく ・知らないことをネットで調べようと検索力も高まる |
短所 | ・ゲーム機、パソコンなど機械やインターネットについてある程度の知識が必要になる ・今まで機械に触れたことのない人にとってはハードルが高い |
短所の解決策 | ・わかる人に教えてもらいながら始める ・わからないことをネガティブに捉えない、チャレンジすることも大切 ・導入しやすい家庭用ゲーム機器をまずは購入してみる |
身体面への影響
長所 | フィットネス系のゲームであればダイエット効果や心身の健康へ良い影響が期待できる |
短所 | ・フィットネス系以外のゲームは座ったままでプレイするため人によっては肩こりや腰痛など体に影響が出る場合もある ・長時間プレイし続けてしまうと眼精疲労や頭痛が起きることもある |
短所の解決策 | ・適宜、休憩をする ・目薬などでケアをする ・ゲーミングチェアー(ゲームを快適にプレイする用の椅子)を導入して体への負荷を減らす ・心身の調子に合わせてプレイ時間をあらかじめ決める |
コミュニティ、コミュニケーション面
長所 | ・インターネットさえあれば全世界の誰でも一緒にゲームを楽しむことができる ・友人同士、直接会わなくてもスマホなどの通話アプリを利用することで会話をしながらゲームを楽しめる ・ゲームによってはチャット(文字による会話)機能、ボイスチャット(声による会話)機能で海外の方とも通話が可能。他言語に興味を持つきっかけにもなる ・ゲーム機の通信機能を使えば本体とソフトを持ち寄ってみんなで集まってプレイすることもできる |
短所 | ・まずはインターネットを導入してゲーム機と通信接続する設定をしなければいけないため、その部分でのハードルの高さがある ・インターネットで知らない人と繋がる可能性があるためトラブルが発生する時もある ・コミュニケーションが楽しいあまりに時間を忘れてのめり込んでしまう場合もある |
短所の解決策 | ・インターネットの導入、通信設定を覚えるチャンスと思ってまずは自分で挑戦してみる。それでもダメならわかる人に教えてもらったり有料のサービスの利用も検討 ・ネットで出会う人は全てがいい人ばかりではないというのを常に意識する ・ゲーム内で助けてもらった時などは感謝の気持ちを伝える ・一日のゲーム時間をあらかじめ決めておいてのめり込みを防止する |
アナログゲーム(カードゲーム、ボードゲーム全般)
コレクション要素、保管について
長所 | ・カード、ボードゲームをコレクションするのも一つの楽しみ方。特にカードゲームに利用されるカードは発売期間が短く非売品等貴重なものについてはプレミアがつくことがある ・実際に物を動かして遊ぶ感覚は何にも代えがたい |
短所 | ・人生ゲームやモノポリーなどのボードゲームはそれ自体がとても大きいものが多く、保管場所の確保ができないと保持が難しい ・プレイの際はカードや駒などの実物を扱うのでそれらが消耗したり壊れたりする可能性がある |
短所の解決策 | ・保管場所がない場合ボードゲームカフェなどでゲームを貸し出してくれる所もあるのでそういったスペースを利用する ・物の消耗は全て覚悟をして利用する ・確保できる物であれば予備を用意する |
場所、時間、人員の調整
長所 | ボードゲームカフェ、カードゲームOKのスペースなどに集まることによって同じ趣味を持った人と出会うきっかけになる場合もある |
短所 | 場所の準備、メンバーのスケジュールを合わせないといけない |
短所の解決策 | ・スケジュール調整アプリ、オフ会(インターネット超しでなく実際に集まって会う会)管理ツールなどを利用する ・メールアドレスを教えてもらいメーリングリスト(メールグループやLINEグループのようなもの)を作成し集まるための日程調整、場所決めなどをする |
コミュニティ、コミュニケーション面
長所 | ・面と向かっているので相手の表情や仕草を見ながら駆け引きなどができる ・実際の会話に勝るものはない。 ・その空間を共に楽しく過ごしていることが何にも代えがたい |
短所 | 顔を突き合わせているため風邪やインフルエンザなどの流行の時期には感染予防が必須 |
短所の解決策 | ・どの季節であっても感染症対策として手指消毒、マスク着用を実施する ・体調に不安がある場合は参加しない |
環境が違うだけ!どちらも楽しいことには変わりない
ものすごくざっくりとしている上に主観になりますがデジタル、アナログ、それぞれの長所短所を書き出してみました。共通して言えることは「一緒に楽しい時間を過ごす、過ごしたいためのツールである」ということ。環境が違うだけで根幹は一緒です。
「ePARA」との出会い、やっぱりゲームは楽しい!
eスポーツを通じて様々な分野で挑戦・社会参加する場の提供を目指したコミュニティ、学校をモチーフとした「私立ePARA学園」で週に一度、部活動と称してオンライン上でDiscord(ディスコード)というアプリを利用しながらゲームの画面を共有、通話をしてコミュニケーションをして親睦を深めています。
毎週、プレイするタイトルが違うので自分ができないものは見学という形での参加も大丈夫ですし、体調などによっては途中退出してもOK。
メンバーのほとんどが障害、難病、他にも自分にとってのバリアを持った方が多いのですがゲームをしている時はそれがすっぽり頭から離れていくのです。
全盲の方、ほとんど聴こえないくらいの難聴の方、半身が麻痺して片手だけでプレイしている方、他にも様々なバリアを持った方と一緒にゲームをしていても、みんなのバリアになっているものを知っていたとしても「ePARA」のみんなとゲームをしている時に楽しいという気持ちが揺らぐことは今の今まで一度もありませんでした。
知恵を出し合ったり考えたりして環境を工夫してみたり、誰かに教えて!と頼ってみたりしながら、楽しいと思える時間を年齢、性別、障害の有無などを問わないで共有できる存在になれるもの。
それが「ゲーム」の持っている素晴らしい所だと私は思っています。
まずは一歩、始めてみませんか?
この記事を書いた人
ニャーサエ
<プロフィール>
バリアフリーeスポーツ団体『ePARA』所属のWEBライター。双極性障害(Ⅱ型)当事者。
物心ついた時からゲームが大好きだったが、家庭が厳しくなかなか遊べない環境であった。
大人になって自由にゲームができるようになってからは様々なジャンルのタイトルに触れる中でさらにたくさんのゲームがしたい!という気持ちからパソコン、インターネットに詳しくなっていく。
とあるゲームタイトルを通じて出会い結婚した夫とも一緒に様々な種類のゲームを楽しむ日々を送っている。