「相続対策に生命保険が活用できる」という話しを聞いたことがある方も多いと思いますが、
そもそも生命保険をどのように活用できるか皆さんご存知でしょうか?
まず、相続対策における生命保険の機能として、大きく2つあります。
1つは「相続税対策」としての活用、もう1つは「遺産分割対策」としての活用です。
- 「相続税対策」としての活用
- 「遺産分割対策」としての活用です。
それでは活用をお伝えする前に、相続税について簡単に触れておきます。
相続税はどれくらいの財産があると発生するのかというと、「基礎控除額」と呼ばれる相続税がかからないボーダーラインを超える財産があると相続税が発生してきます。
相続税の基礎控除額
3,000万円+(法定相続人×600万円)
例えば、相続人が2人いる場合。
配偶者
息子
基礎控除
3,000万円
法定相続人 2名
600万円 × 2 =1,200万円
計4,200万円
基礎控除額は
3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
よって財産額が4200万円を超えた場合に相続税が発生することになります。
ただし、特例などを使用して実際は基礎控除額を超えていても、申告をすることで相続税が発生しない場合もあります。
なお、相続税が課税される対象の方は、全体の約8パーセントです。
(国税庁ホームページ「令和元年分 相続税の申告事績の概要」)
また財産に不動産があると、東京などの地価が高い地域ではより多くの人に相続税がかかってくる可能性がありますので注意が必要です。
この記事の目次
「相続税対策」としての生命保険の活用について
「相続税対策」としての生命保険の活用について、死亡保険金の非課税枠を利用する方法が上げられます。
被相続人が契約者で相続人が保険金の受取人となるケースでは、相続税の基礎控除額とは別に
500万円×相続人の数が、死亡保険金の非課税枠となっています。
例えば、ご主人が亡くなり相続人が妻と子供2名の計3名の場合。
死亡保険の非課税枠として
500万円×3人=1,500万円
が利用できます。
もしも、基礎控除額を超えた財産をもって亡くなった方の相続人が、この1,500万円を死亡保険金ではなく預貯金として相続した場合、1,500万円についても相続税がかかってしまいます。
死亡保険金を活用して、同じ1,500万円という金額を保険金で受け取る場合は、1,500万円について非課税になるため、メリットとなります。
「遺産分割対策」としての活用について
死亡保険金は、あらかじめ指定した「死亡保険金受取人」に支払われますので、遺産分割を経ることなく保険金を遺したい人に遺せます。
受取人も葬儀費用などにすぐに使えるお金となるので、相続発生時の一つの安心材料となります。
遺産分割の際に代償分割の代償金として生命保険金を使用することもできます。
代償分割とは、不動産や自社株など分割が難しい相続財産を相続人の1人(複数でも可)が本来の相続分を超えて相続し、その代わりに相続人固有の財産を他の相続人に提供する方法のことを言います。
代償金を払う相続人が固有の資産を多く持たれている方ならいいですが、代償金支払い額ほど固有資産を持っていない場合は代償金を準備することが難しくなります。
その際に、生命保険に加入し、受取人を代償金を払う相続人にしておくことで、生命保険金を代償金として充てることができます。
このように相続発生後の対策をしておくことで争いを避けることに繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、一般的な生命保険の活用をお伝えしました。
生前対策は、早めに始めておくことが重要です。
具体的にどのような対策をしていくかというのは専門家にご相談されるのが良いでしょう。
その前に、まずは自分にどれくらい財産があるのか、相続税はかかりそうなのか、整理をしてみるのも良いかもしれません。
生命保険を選ぶ時、基準はその方、その方の家族構成によりさまざまです。
月々の掛け金だけを重視してしまうと必要な時に必要な保証が得られないということもありますし、万が一の時に遺されたご家族の生活を十分に支えられないというケースもあります。
逆に、家族構成やお子様の年齢、将来の相続対策などを加味しても、そこまで負担の大きな保険に加入しておく必要はないという場合もあるでしょう。
この記事を書いた人
三輪 新二(みわ しんじ)
<保有資格>
▮司法書士
<プロフィール>
■東京・札幌・大阪・広島・福岡・沖縄に拠点を展開する
みつ葉グループの東京オフィスにおいて、登記事業部に所属。
不動産登記を中心に相続・家族信託案件、商業登記に関する業務にも携わっています。
これまでの経験を活かし、様々な分野のご相談にも対応していますので、是非お気軽にご相談ください。