サブスプリクションサービス、略して「サブスク」を利用されている方は多いと思います。
「そんなの使っていないよ」という方もいるかもしれませんが、この言葉を知らないだけで、実際には利用している可能性があります。
サブスクリプションサービスとは、月単位あるいは年単位で定期的に利用料を支払うことで、その期間内にサービスを利用できる仕組みのことです。
例えば、新聞の購読や牛乳配達もサブスクの一種と言えます。
そう考えると、ずっと昔からあるサービスなのです。
数年前までは、「サブスク」という言葉を聞きなれない人も多かったと思いますが、現在では、映画、音楽、書籍など様々な配信サービスで、このサブスクが主流となっています。
この記事の目次
サブスク市場の動向
サブスクが急速に普及している背景には、視聴するデバイス(スマホやタブレット端末など)の普及・発展と通信速度の高速化があるでしょう。
サブスクのうち「動画配信」の市場動向は、以下のグラフのとおりです。
「定額制」と「定額制以外(従量制など)」の売上高の推移を見ると、明らかに「定額制」が伸びていることがわかります。
動画を見ただけ課金される従量制の方が合理的なように思いますが、見放題の定額制の方が安心感があるのでしょうか。
「音楽配信」の市場動向はこちらです。「定額制」と「ダウンロード」で比較していますが、こちらも定額制の方が圧倒的に増加しています。
通信速度の向上からストリーミング再生にストレスがなくなっていることと、それを前提とした利便性の高い配信サービスの普及が背景にあると考えられます。
サブスクの具体例
サブスクの相続を考えるとき、故人がどのようなサブスクを利用していたのかが問題になります。
それでは、サブスクにはどのような具体的なサービスがあるのか見てみましょう。
- 1.動画配信(映画やドラマ、アニメなど)
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Netflix、Hulu、U-NEXT、TVer、Amazonプライムビデオ、DMM TV、ABEMAプレミアム
- 2.音楽配信
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Spotify、Apple Music、YouTube Music、Amazon Music Unlimited
- 3.電子書籍、コミック
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Kindle Unlimited、めちゃコミ、Shelf、シーモア読み放題、楽天マガジン
- 4.その他
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ブルーミー(お花)、スタイルアップ便(洋服)、CLAS(家具)、ナッシュ(宅食)、ステラ(ワイン)、KINTO(カーリース)、コスモウォーター(ウォーターサーバー)など
この他にも、バック、時計、アクセサリー、ゲーム、コンタクトレンズなどがあり、また個人事業主が利用するビジネス関係では、ワークスペース、パソコン、ソフトウェアなとが提供されています。
サブスク契約の相続手続き
サブスク契約のある人が死亡した場合、相続人は、サブスク契約の有無を確認し、契約解除を行い、未払金があればその支払いをする必要があります。
では、サブスク契約をどのように探せば良いのでしょうか。
被相続人がサブスク契約について、何かしらの情報を残していれば、相続人はそれぞれの契約元に対し、死亡の通知を行い、解約の手続きを進めていくことになります。
ここで役立つのが「エンディングノート」です。
多くのエンディングノートには「公共料金等の支払い」「口座引き落とし一覧」のような項目があります。
ここにサブスク契約を書いておくと、残された相続人はとても助かります。
もし、サブスク契約について何の情報もない場合は、支払方法からその契約を探す必要があります。
クレジットカードの利用明細や預金通帳を確認して、サブスク契約がないか調査をします。
しかし、見ればすぐわかるかというと、なかなか難しい場合もあります。
クレジットカード明細にはサブスク他にも、多くの利用明細が並んでいて、その中から、サブス契約を本人以外が見つけ出すことは困難です。
例えば、明細内の「ドコモ決済サービス等」の請求の中にも、サブスク利用料が含まれている場合があり、このクレジットカード明細だけでは、サブスクの利用の有無が分かりません。
この場合、ドコモに問い合わせることになります。また、サブスク契約を特定できたとしても、次に連絡先を調べる必要があります。
では、「クレジットカードを止めてしまえばいいのではないか」と思われるかもしれませんが、クレジットカードの契約を解約しても、サブスク契約を解除したことにはなりません。
クレジットカードの請求がなくても、サブスク利用料の未払金が膨らんでいくという状況になります。
クレジット決済ができなくなり、未払いが数か月続くと、サービス提供元から利用料金の請求書が郵送されてくれば連絡先が分かり、契約解除できるようになりますが、必ず連絡が来るとは限りません。
毎月払でなく年払いの契約であれば、さらに連絡が遅れることが想定されます。
サブスク契約解約時の注意点
サブスクのサービスには、故人のブログやメルマガを管理するサービスや、写真のデータの保存に紐づいているものもあります。
一度解約してしまうと、故人が残したデータが消去され二度と戻ってこない場合もありますので注意が必要です。
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この記事を書いた人
齋藤 弘道(さいとう ひろみち)
<プロフィール>
遺贈寄附推進機構 代表取締役
全国レガシーギフト協会 理事
信託銀行にて1500件以上の相続トラブルと1万件以上の遺言の受託審査に対応。
遺贈寄付の希望者の意思が実現されない課題を解決するため、2014年に弁護士・税理士らとともに勉強会を立ち上げた(後の全国レガシーギフト協会)。
2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。
日本初の「遺言代用信託による寄付」を金融機関と共同開発。